遠ざかる米国、空白埋める中国 中東の構図に転機

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『中国とイランによる経済協力合意は、中東での存在感が低下する米国に代わり、その空白を埋めようとする中国の戦略を色濃く映す。米国と中国の覇権争いを突くイランの思惑も見え隠れする。

中国が2019年に中東から輸入した原油は日量449万バレル。全輸入量の44%を占める。これだけで日本の石油消費全体を上回る規模だ。10年の輸入量である226万バレルと比較すると、9年間でほぼ倍増した。これからの経済成長を確か…

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これからの経済成長を確かなものとするためには中東に足場が必要だ。

中国の広域経済圏構想「一帯一路」が沿線国に外交・安全保障上の影響力を広げ、エネルギーや鉱物資源を安定確保する経済戦略上の狙いがあるとすれば、中東はその真ん中に位置する。

中東産の安価な原油は米国主導の世界秩序に不可欠だからこそ、米国は中東に深く関与した。しかし、シェール革命により米国は石油の純輸出国となる「エネルギー自立」を実現した。バイデン政権の下で加速する脱炭素の動きは、中東産油国の位置付けをさらに低下させる。

中東を必要とする中国と遠ざかる米国。中国とイランの合意は中東をめぐる構図に転機となる。

米欧の経済制裁下で苦境にあえぐイランにとっても中国は大きな後ろ盾になる。ただし、この段階での中国との大型合意には苦境の打開だけでなく、米欧との関係改善を呼び込むための駆け引きの側面を見逃せない。

トランプ前米政権は核合意から一方的に離脱し、イランへの圧力を強めた。バイデン政権は核合意への復帰とそのための外交を通じた問題解決を否定しない。しかし、政権は1月の発足以来、新型コロナ対策など米国内の問題に追われ、核問題に目立った進展はない。

バイデン政権の誕生を米欧との関係改善と国際社会復帰の足掛かりにしたいロウハニ大統領やザリフ外相らイラン国内の国際協調派はこれに焦りを強める。

核問題の打開に残された時間は限られているからだ。イランでは6月に大統領選挙を控える。ロウハニ大統領は今期で任期を終え、次期大統領には米欧を敵視する保守強硬派の候補の当選が有力視される。そうなれば核問題の解決は一段と難しくなる。

すでにイラン国会は強硬派が多数派を占める。シリアやイエメンなど中東全域で、親イラン勢力が関与するとみられる挑発行為が相次ぎ、イランと対立するイスラエルやサウジアラビアなどと一触即発の緊張状態にある。

大統領選挙までに核問題打開の道筋をつけたい。イランには米中の覇権争いを突いて中国接近を米欧に見せつけることで、譲歩を迫るゆさぶりの意図があることを見過ごすわけにいかない。

イランは現在、イラン暦新年の休暇中にあり、外交が本格的に再始動するのは4月に入ってからだ。中国に近づくイランの決断が奏功するかどうか。結論を導く時間は2カ月しかない。

(編集委員 松尾博文)