中朝貿易 4月にも再開 米中対立下、連携加速も

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『【丹東(中国遼寧省)=渡辺伸、北京=羽田野主】中国と北朝鮮は新型コロナウイルスの影響でほぼ全面的に停止している貿易を4月中にも再開する方向で調整に入った。中国は国連の安全保障理事会が打ち出した北朝鮮による一部製品の輸出禁止の制裁を履行しつつ、物資の輸送再開に踏み切る考えだ。米中関係が悪化するなか、中朝間の連携が一段と進む可能性がある。

中国と北朝鮮の境界にある中国側の街、丹東市。貿易商社を営む30…

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貿易商社を営む30代の中国人男性は日本経済新聞の取材に「北朝鮮が4月中をめどに、中国からの荷物の受け入れを再開する予定だと聞いた」と語った。北朝鮮側から入手した情報と説明し、男性は貿易の準備に着手した。そのほか、複数の貿易商社社長も「4月に再開するようだ」と話す。

物資の輸送再開は中朝貿易の約7割を占める丹東市と北朝鮮の新義州をつなぐルートに限定し、まずは鉄道による輸送が始まる見通しだ。新義州ではPCR検査や物資を隔離する施設の整備などを進めている。船やトラックの運送も順次、再開する可能性がある。

中朝関係筋は「北朝鮮が求めているのは糖尿病や消炎剤などの医薬品だ。幹部の間でも医療物資が欠乏している。一方的に援助するのが実態だ」と明らかにした。春の種まきの季節となったため、農業生産の拡大に欠かせない化学肥料を要求しているとの情報もある。

北朝鮮は2020年1月下旬、新型コロナ対策として、中国やロシアと結ぶ航空便や鉄道を停止した。海外からの入国を禁じ、物資の輸送も制限した。5月以降は輸送制限が一部で緩和されたものの、中国で感染者が増加したため、10月に再び輸送を制限した。現在まで鉄道や船、トラックによる貿易がほぼ停止している状態という。

中朝間を流れる鴨緑江に架かる「新鴨緑江大橋」(新橋)の開通に向けた準備も本格化している。地元の遼寧省政府は3月9日、橋の安全を検査する入札を公告し、入札資料に「橋がまもなく営業を始める」と記した。

新橋は現在、使用されている「中朝友誼(ゆうぎ)橋」の下流にあり、開通すれば中朝貿易の新たな大動脈になる可能性がある。新橋は中朝が09年に建設で合意した。橋の本体は14年に完成したが、北朝鮮側の道路整備が滞り、未開通だった。

北朝鮮は貿易の9割強を中国が占める。中国の税関総署によると、20年の中朝間の輸出入額は19年比で80.7%減の5億3905万ドル(約590億円)に落ち込んだ。直近で最低の00年(4億8800万ドル)以来、20年ぶりの低水準だった。

国連の安保理は17年、北朝鮮による石炭や鉄、海産物、繊維製品などの輸出を禁じた。一方で、北朝鮮は制裁をかいくぐって貿易を展開。19年まではカツラや時計など制裁対象外の製品について、中国に材料を輸出してもらい、北朝鮮で組み立てた後、製品を中国に送り返す事業を行ってきた。「現在は境界封鎖でこうした加工貿易も止まったままだ」(貿易商社)。外貨獲得の手段が細るなか、北朝鮮は中国の支援に頼るしかない。

中朝の協力が再び動き出したのは米中関係の一段の悪化も背景にある。3月中旬の米中協議で安全保障や人権を巡る隔たりが鮮明になった。習近平(シー・ジンピン)国家主席は22日に金正恩(キム・ジョンウン)総書記と口頭でメッセージをやり取りし、連携を確認した。北朝鮮は25日に弾道ミサイルを発射した。バイデン米政権へのけん制とみられている。

韓国銀行(中央銀行)の推計によると、北朝鮮の実質国内総生産(GDP)は19年に前年比で0.4%増えた。建設業や農林漁業が増加し、3年ぶりのプラス成長だった。20年はマイナス成長に落ち込んだ可能性が高い。中朝間で物資の輸送が再開されても、人の往来が始まる時期はなお不透明で、貿易が完全に回復する見通しは立っていない。