中国が排出量取引所、上海に6月新設 脱炭素へ加速

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『【上海=張勇祥】中国は二酸化炭素(CO2)排出量の専門取引所を上海に創設する。6月の取引開始を目指す。習近平(シー・ジンピン)国家主席の2060年にCO2排出量を実質ゼロにする目標に向けて金融市場を活用し、脱炭素を加速する。

上海市政府系の上海連合産権交易所、上海環境能源交易所が管轄する。政府が企業にCO2排出量の枠を定め、それを超えた企業は取引所を通じて他社から排出枠を買う仕組み。中国は13年か…

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中国は13年から北京や上海、湖北省などで取引を試行していたが、今後は地域をまたいだ取引も可能になる。

上海連合産権交易所の幹部は「計画通り準備が進めば6月中に取引を始めたい」と述べた。取り扱う商品は検討中とするが、スポット取引や先物が対象になる見込み。

中国は2月に「二酸化炭素排出権交易管理弁法(試行)」を施行した。まず発電事業者2225社に排出枠を定め、取引所に参加する第1陣になる見通し。政府は25年までに鉄鋼や建材、石油化学など7業種を加える方針で「排出枠の総量は50億トン、参加企業は8千~1万社に広がる」(上海環境能源交易所)。世界最大の取引市場の欧州連合(EU)の取引対象は年間で約20億トンとされる。

中国のCO2排出量は19年に98億トンと世界の3割近くを占める。習指導部は「30年までにCO2の排出量をピークアウトさせ、60年までに実質ゼロにする」との目標を掲げる。11日に閉幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の政府活動報告では「30年に向けた行動計画を策定する」としており、取引所も取り組みの一環となる。

外交面の材料になるとの思惑もある。米国と中国は19日までの外交トップによる初協議で、新疆ウイグルや香港、台湾などを巡り鋭く対立したが、歩み寄った数少ないテーマの一つが気候変動問題だった。取引所創設でCO2排出削減への積極姿勢をアピールする。

上海環境能源交易所の頼暁明・董事長は「できるだけ早く取引規模を年2億トンまで引き上げたい」とする。規模が大きくなれば流動性が増し、先物など派生商品の設定や、機関投資家や個人が投資するファンドへの組み込みも進むためだ。

現在、試行する地域によって排出量の価格に大きな開きが出る局面もあるが、取引の全国化で値動きが安定するとの期待もある。

課題は多い。まず挙げられるのが投機への対処だ。中国も欧米などと同様、景気下支えのため金融当局は十分な資金供給を続けている。流動性の一部は不動産や株式など投機的な売買に流れ込んでおり、排出量取引も巻き込まれかねない。

投機を抑えるため、当局は取引価格を低めに誘導する可能性が大きい。排出枠を多めに付与するのは手立ての一つだが、CO2の抑制効果は弱まる。市場関係者が見込む発足当初の平均価格は約50元(約840円)と、先物価格が40ユーロ(約5200円)を超えて推移する欧州との開きは大きい。

排出量取引への信頼を高める手立ても必要だ。これまでは地方景気や雇用への影響を恐れ、排出量を抑えられない企業への罰則を徹底しづらい状況があった。市場メカニズム重視にかじを切るか、従来通り指導や裁量に基づく行政を続けるか。取引所の制度設計や取引開始後の運営は、習指導部の真剣度合いを測る試金石になる。

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