データ移転ルール厳格に 自民・甘利氏、LINE問題踏まえ「保護不十分な国認めず」

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『自民党ルール形成戦略議員連盟の甘利明会長はLINE利用者の個人情報が中国から閲覧可能だった問題を受け、日本のデータ移転ルールを厳格にするよう提起した。移転先について「データ保護のレベルが日本と同等の国や地域に限るべきだ」と述べた。

違反した場合、企業名を公表する仕組みの導入も促した。

2022年春に施行する予定の改正個人情報保護法は移転先の国名を特定し、本人の同意をとることなどを盛り込んだ。甘利氏…

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甘利氏は「日本が間に立ってつなぐ役割を果たすべきだ」と説いた。

日米欧で共通の基準ができれば「国際標準をクリアした国同士でしかデータを出せなくなる」と話した。経済安全保障の観点で、データ移転先から中国を事実上外すことなどを想定する。

LINEは今回の問題を踏まえ、中国で日本で利用する人の情報を扱うサービス開発やデータの運用をしない方針に切り替える。

中国は17年に国家情報法を施行し、民間企業や個人にも情報活動への協力を義務づけた。LINE利用者のデータも中国の委託先を経由して中国当局にわたるおそれがある。

甘利氏は「これはLINE1社の問題ではない」と強調した。「データ処理やアプリ開発で中国に委託し、もっと深刻な問題を抱える企業もあるようだ」とも指摘した。

各省庁にそれぞれが所管する業界を通じ、中国の委託先企業の実態を調査するよう指示したと明らかにした。

現行の個人情報保護法は利用者が同意すれば個人情報を国外に移したり、日本にある情報を海外から見られるようにしたりするのを認める。

LINE側は利用者向けの指針で「パーソナルデータを第三国に移転することがある」と明記しており、法的な問題はないと主張している。甘利氏は「個人情報にかかわる重要な項目は真っ先に読まれるように改善を指導すべきだ」と訴えた。

日本は20年に個人情報保護法を改正した際、EUの「一般データ保護規則(GDPR)」を参考にした。GDPRはイラストなどを使って利用者に理解されないと同意を得たことにならないと定める。

LINEは日本発のプラットフォーマーとして期待されるIT(情報技術)大手だ。甘利氏は「プラットフォームは公的インフラであり、国益を意識してもらいたい」と呼びかけた。

グーグルやアマゾンなどGAFAにマイクロソフトを加えた米IT大手5社を意識したプラットフォーマーをめざすうえで「いい試練になったと捉えるべきだ」と言及した。LINE問題をきっかけに「日本全体で危機感が共有できる機会になった」と発言した。

データ流通のルールづくりを巡っては、安倍晋三前首相が19年の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で、データ活用の分野で「大阪トラック」を提唱した。

プライバシーを尊重し信頼あるデータの自由な流通をめざす内容で、国家主導でデータを管理する中国に改善を求めた。

自民党のルール形成議連は経済と安全保障が密接に絡む経済安保のあり方を議論してきた。軍事転用可能な技術の流出防止や輸出管理などの強化策を考える狙いは中国への対応にある。

米国も先端技術が中国に流出するのを警戒し、企業や研究分野での中国政府の活動への監視を強めている。

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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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ひとこと解説 日本企業は業種を超えて、ビジネスが米中対立の影響を受けていないか、経済安全保障リスクに直面していないか、今後の恐れはないかの点検が必要です。グローバルに国を意識せずに、コストや機能の優劣だけを基準にパートナー、生産拠点、委託先などを選べた時代は終わりました。経済安全保障も重要な基準として選ぶ必要があります。

コンプライアンスだけでは企業を守れないという危機感も必要です。経済安全保障のルールは形成途上であり、ただ法整備を待つことはリスクの放置と同じです。日本企業も政府渉外活動を強化し、自社に影響するルールを予測し、自らルール形成に積極的に参加することが求められていると思います。

2021年3月25日 14:02いいね
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滝田洋一
日本経済新聞社 編集委員
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分析・考察 LINE問題は個人情報保護と同時に情報安全保障の問題です。中国が2017年に施行した国家情報法では、民間企業や個人にも情報活動への協力を義務づけている。LINEについても実際にデータが流出したかしないかの前に、法制度上、中国の委託先を経由して中国当局にわたるおそれがある。そこに問題があるのです。

甘利氏がデータの移転先について「データ保護のレベルが日本と同等の国や地域に限るべきだ」と述べているのは重要です。中国はいわずもがなとして、政治的に中国への傾斜を深めている韓国などはどうなのか。事業者からの徹底的な聞き取りと早急な法制整備が望まれます。

2021年3月25日 12:46いいね
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村山恵一
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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ひとこと解説 個人データの取り扱いについてLINEは日本で「優等生」とみられてきました。そういう会社がこのような状況に陥ったことは重く、改めて日本全体でデータに対する意識を高める必要があります。社会、経済のためにデータを活用する流れは不可逆的です。これを機にデータ保護の体制をしっかり整え世界に発信できるくらいにならないと、国としての存在感、競争力が失われてしまいます。

2021年3月25日 12:16いいね
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