〔兵頭二十八氏のサイトから〕

 ※ 「戦略」的に重要…、と思われることを、抽出しておく…。
 
 ・「攻撃型無人機」は、どうもト※※が鍛えたものである節があること。

 ・「訓練」ということで、他者にそれを委託すると、ある種の「洗脳」の危険性があること。

 ・リビアのトリポリ政府vs.ハフタル勢力の対立でも、ト※※製「攻撃型無人機」が使われた形跡があること。

 ・「地下都市」の建設は、「核攻撃」からの生き残り戦略の側面もあること。

 ・中印国境紛争は、「水争い」「水源争い」の側面もあること。

『Ezzedine SAID 記者による2021-3-19記事「After big wins, interest in Turkish combat drones soars」。

   シリアでもリビアでもアゼルバイジャンでも、トルコ製の攻撃型無人機が絶好調。トルコはこいつの輸出にドライブをかける。

 これは単にカネの損得の話じゃない。攻撃型の無人機は、ただ製品だけ買っても現地兵には運用などできはしない。運用にはトルコ人の助けが要るのである。したがって、あたらしく買い手になった国の軍隊は、トルコの指導下に入ったも同然となるのだ。このようにしてオスマン帝国が徐々に復活するだろう。

 シリアのイドリブ地方では、トルコ製無人機がアサド軍の前進を撃砕した。
 リビアでは、トリポリ政府を応援するトルコ軍の無人機が、ハフタル軍閥軍を一転、敗走に追い込んだ。

 そして昨年の、世界の注目をあつめた、ナゴルノカラバフにおけるアゼル軍の大勝利である。

 トルコ大統領府の軍需産業部局SSBの長、イスマイル・デミールは言う。他国の武装型無人機の半額なんだよ、と。
 SSBの傘下であるトルコ航空工業TAIには、「アンカ」という攻撃型ドローン商品がある。

 トルコは2016年に始めて武装ドローンを実戦使用した。相手は、同国南東のクルド・ゲリラだった。

 12月〔2020年の?〕、国営のTAIは「アンカ」の輸出契約を始めてチュニジア政府と結んだ。総額は8000万ドルと見積もられている。

 しかし民間企業はもっと先行している。エルドアンの娘婿が経営するバイカル社の「TB2」は、何年も前から、ウクライナ、カタール、アゼルバイジャンへ輸出されている。
  ※この娘婿はもともとは設計技師だったのだが、いつのまにか経営者になっているようだ。詳しくは最新刊『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』を読んで欲しい。

 不吉なニュースは米国政府がSSBを2020-12に経済制裁対象企業(そこを相手に商売してはならない)に指定したこと。その長であるデミールも個人指名されてしまった。引き金になったのは、トルコがS-400防空システムをロシアから買ったこと。

 たとえば無人機のパーツとして以前ならば米国から必要なものを好きなだけ輸入して組み付ければよかったものが、爾後は、トルコ国内でかなりのパーツを国産せねばならなくなった。

 「Anka」の全長は8.6m、ウイングスパンは17.6m。SSBの工場はアンカラ市にあり、その敷地面積は400万平米。敷地内にミニ飛行場も擁する。従業員1万人、うち技術者は3000人である。

 ロンドンの国際ビジネス企業評論家氏いわく。トルコがドローン国産に努力注入を開始したのは、2016年の反エルドアン政変事件がきっかけであると。これによって空軍将校団をかなり間引き粛清する必要が生じて、以後しばらく、まともな空軍というものをトルコ軍は期待できなくなってしまったのだ。

 たとえば、保有するF-16よりも、そのパイロットの人数の方が少なくなってしまった。あらたに有人戦闘機のパイロットを育成するには4年かかる。が、武装無人機の操縦なら9ヵ月でマスターさせられる。

 ※もっと重要なことは、F-16訓練は若い飛行将校を米国へ派遣して稽古をつけてもらわねばならず、その間に将校が米国風の近代礼賛の考え方に染まってしまう。無人機訓練はトルコ国内で完結させられるので、空軍将校が米国のスパイになる心配がない。

 いま、サウジアラビアがトルコのドローンに注目している。対イエメン戦争で、それを使いたいのだ。トルコが傑出して優秀な武装ドローンを開発製造するようになったことで、それまで政治的に不仲であった周辺諸国が、一斉に秋波を送ってくるようになったのである。

 ※サウジは、イランの核武装がもう不可避だと判断して、イスラエルと「核同盟」したんだという話も『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』の中で説明しています。ビンサルマーン皇太子が、2030年までに、紅海北部・アカバ湾沿岸からヨルダン国境付近にかけて「長さ170kmの直線地下都市」を構築するぜよ、と1月11日にブチ上げています。これはわたしが昔から唱えてきた「耐核リニア・シティ」そのものです。表向き、環境対策がどうのこうのと言っているのですが、同計画の真面目は「イランの核から生き残れる予備の首都」を掘ることにあります。数学的に、都市を直線状に伸ばすことが、最も、核兵器の被害を局限化できる方法なのです。ビンサルマンはただの人殺しではないということがこれで分りました。国民を核攻撃の惨害から防御するために、数学的に合理的な新都市を造るという計画を立てて実行できるのだとしたら、それは現代の偉人でしょう。イスラエルが滅亡したあと、ユダヤ人の一部もこの地下都市に移住するのではないでしょうか。

 次。
 The Strategist の2021-3-21記事「China’s Troubling Solution to its Water-Security Woes」。
   中共は世界人口の20%を擁するのに、世界の淡水の7%しか支配できていない。
 その淡水の8割は国内南部にある。ところが国内人口の半分は北部にあるし、国内農業の三分の二も北部にあるのだ。
 熊っちゃう。
 中共北部の帯水層は、年に3mずつ、減っている。

 そこで中共は、インドとの係争地に近いメトク県(チベット)のヤールン・ツァンポ川に11個以上の巨大ダム郡を建設するつもりだが、この目的も、第一には、水だ。

 こんな僻地で60ギガワット発電しても、消費地まで送電することができず、無益である。発電など二の次なのだ。

 熊プーの大野心は、ヒマラヤから総延長1500kmの大運河を掘って北部へ真水を運送させることだ。
 ※治水の事跡を残すことで、古代の皇帝と並び称されるようになる。いよいよ己れの寿命を意識するようになり、名を残しておきたくなったのか。

 しかしヒマラヤ上流部で水をとられてしまえば、下流のインドのブラーマプトラ河は水位が4割に減りかねない。死活問題だ。 』