中国と対峙するための条件(The Economist)

中国と対峙するための条件(The Economist)
今後数十年続く対立で意識すべきこと
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM210EH0R20C21A3000000/

『中国の全国人民代表大会(全人代)は11日、香港の選挙制度を見直す決定を採択し、香港の民主主義をたたきつぶした。中国の厳しい統制が香港に及ぶことは、香港市民750万人の悲劇にとどまらない。それは、中国政府が主義主張を貫くのに一切の妥協を許さないとする決意表明でもある。

中国全人代が香港の選挙制度を見直しを決めたのは、中国政府が自らの主張を貫くのに一切の妥協を許さない決意表明でもあるとされる=ロイター

自由主義の価値観はソ連崩壊を機に世界で優勢を誇ったが、中国の揺さぶりを受け今、米ソ冷戦初期以来の試練に直面している。しかも香港経済が示す通り、ソ連とは異なり中国は西側諸国と緊密に結び付いている。この事実は自由主義世界に大きな難問を突きつけている。中国の台頭に伴い、経済的繁栄を維持し、戦争のリスクを抑え、同時に自由社会を守る最善の策とは何かという問いだ。

香港の現状は、この難問への解答が容易にはみつからないことを示している。中国は香港の有権者が投票できる直接選挙枠を立法会(議会)定数の50%から22%に減らし、選挙前にその候補者が「愛国者」かを審査することも決めた。香港の民主化抑圧の動きが究極に達した格好だ。

それでも対中投資は増える一方

域外から10兆ドル(約1090兆円)もの投資資金が流入する香港で自由主義が幕を閉じれば恐慌や資本流出、企業流出が起きると思うだろう。だが香港の金融市場は活況を呈している。中国主要企業が次々に香港取引所で新規株式公開(IPO)を実施、それに伴う欧米企業の動きも活発だ。引受件数上位には米モルガン・スタンレーや米ゴールドマン・サックスが入る。香港は基軸通貨の決済ハブでもあり、昨年のドル決済額は過去最高の11兆ドルだった。

政治の抑圧と経済の活況が共存する状況は中国本土も同じだ。中国は新疆ウイグル自治区の人権侵害、サイバー攻撃、近隣諸国への威嚇、習近平(シー・ジンピン)国家主席の人格崇拝をエスカレートさせている。それでもグローバル企業は株主には中国の現状を覆い隠し、中国事業について「非常に満足」(独シーメンス)、「目を見張るばかり」(米アップル)、「素晴らしい」(米スターバックス)と満足げに語る。

多国籍企業による2020年の中国本土への新規投資額は1630億ドルと、どの国よりも多かった。資本、金融市場の外資開放を進めていることもあり、外資金融機関の対中投資は累計9000億ドルに達し、世界の資金の流れは大きく変わろうとしている。

今や規模だけが中国の強みではない
世界の域内総生産(GDP)に占める中国の比率は今や18%だが、吸引力はもう規模だけではない。中国は企業が新しい消費動向や革新的技術を見いだす場でもあり、中国が商品価格や資本コストも決めるようになってきている。

世界の経済界は、中国政府は強権的で香港と中国本土では独立した司法や言論の自由さえ認めていないが、ビジネス分野での海外企業との契約内容は守られるとみている。

だがこうした状況は全て西側諸国の過去数十年の対中政策がいかに間違っていたかを示している。西側指導者の多くは中国の世界貿易機関(WTO)加盟を歓迎し、豊かになれば自然と民主化すると考えたが、そうはならなかった。そのため米国のトランプ前政権は中国に強硬姿勢で臨み、追加関税と制裁を科したが、それも効果はなかった。

米政権が効果を上げられなかったのは香港だけではない。米政権は通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)がスパイ行為をしているとして3年前から同社の機器を使用しないよう各国に働きかけたが、同社機器を使う170カ国で使用を禁じた国は十数カ国にとどまる。一方、企業価値が500億ドルを超える中国テック企業は7社から15社に増えた。

西側が取れる強行策に、中国への強硬姿勢をさらに強めて世界から孤立させ方針転換を迫るという選択肢はある。だがその代償は大きい。世界の工場である中国は世界の輸出製品の22%を生産する。その中国から西側の消費者を切り離せば物価が上昇する。米テック産業から独自動車産業、英銀行業、仏高級品産業、豪州の鉱業まで中国に依存する西側の産業各界は大打撃を受ける。中国にドルの使用を禁じれば世界に金融危機を引き起こしかねない。

孤立強いるのではなく関係維持しかない
こうした代償も、成果を出せるなら価値があるかもしれない。だが中国共産党を罰しても、その権力は奪えないと考えるべき理由は多くある。

まず西側と中国のどちらを取るかと問われ、中国を選ぶ国は多いかもしれない。モノの最大の貿易相手国が中国という国が64カ国に対し、米国が最大の国は38カ国にとどまる。中国を孤立させるはずが、米国と同盟国が孤立する事態になりかねない。石油収入に依存したソ連とは違い、中国は巨大で多様性と革新性に富むため、西側に圧力をかけられても新たな事態に応じて対応していくことが可能だ。中国が進めるデジタル通貨は、ドルと並ぶ決済通貨となる可能性があるし、半導体では自給自足を目指している。

中国との禁輸を進めれば、人権尊重を促す一助になるとの見方はある。だが独裁国家は孤立すると強権を強める傾向がある。西側とビジネス面、学術面、文化面で接触を失えば、中国市民は他国の意見や情報からさらに切り離される。中国に進出する外資企業約100万社は日々、中国の顧客や従業員と接触し、海外進出している中国企業4万社も世界とやり取りをしている。こうした交流には、政府の検閲の目も届きづらい。監視社会といえども、それで何百万人にも上る学生や観光客が日々、触れ合う機会を減らしているわけではない。

従って中国との関係を維持するのが唯一の賢明な策だが、融和策に陥らないようにするにはどうすればよいのか。この難題に直面するバイデン米政権は18~19日、中国の外交トップと協議した。英国も16日に外交・安全保障の方針を発表したが、西側各国は現在、中国に擦り寄ることなくどう付き合うか戦略の見直しを進めている。

中国指導者らの考え方がもたらす難題を意識せよ
西側は防衛強化から始めなければならない。中国政府の介入に備え、大学やクラウドシステム、エネルギー体制を含め様々な制度やサプライチェーンの強化も必要だ。様々な条約や決済ネットワーク、技術の標準など米主導で構築し、グローバル化を支えてきたインフラは老朽化している。それらを刷新し、中国が対抗して構築している制度とは異なる選択肢を提供できるようにする必要がある。

平和の維持には、中国が軍事攻撃に出れば大きな痛手を被るようにすべきだ。「Quad(クアッド)」のような日米豪印4カ国の連携強化や台湾の軍事力強化が必要だ。

中国と対峙する力を強化すれば開かれた社会を維持し、人権問題に毅然と臨めるようになる。中国と西側との対立が戦争という悲劇に至らなかったとしても、今後数十年は続く。その中で自由主義を標榜する各国政府が全体主義に代わる思想を説くことは、開かれた社会の活力を維持する手助けとなる。

普遍的価値と人権尊重を訴えることは単に西側が覇権を維持し、中国台頭を抑えるための姑息(こそく)な戦術ではないと示すことも重要だ。つまり企業は自社の供給網から強制労働による供給など非人道的行為を許容することがあってはならない。西側諸国が中国の非人道的行為に目をつぶれば中国の国家主義は脅威を増すことになる。信念に基づいて人権擁護を何年も訴えれば、中国国民が自由を求め立ち上がろうとするのを後押しするかもしれない。

中国の指導者らは独裁としっかり機能する官僚制度、政治の不透明さと開かれた経済、非人道性とビジネス面での確実さを共存させる道をみつけたと考えている。

香港の民主主義が排除された今、自由主義社会は中国指導者らのこうした考え方がもたらす難題を従来以上に意識しなければならない。今後長く続くことになる闘いに向け対策を講じ、守りを固める必要がある。

(c)2021 The Economist Newspaper Limited. March 20, 2021 All rights reserved.

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〔韓国は、中国との間で「2プラス2」を開催することで合意していた…。〕

 ※ 鈴置さんの記事に、記述があったんで、調べた…。

 ※ 本当だ…。

 ※ 韓国の国民は、このことを知っているんだろうか…。

バイデンの最後通牒を蹴り飛ばした文在寅 いずれ米中双方から“タコ殴り”に
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/03221700/?all=1&page=4

国務委員と王毅外相、韓国のカン・ギョンファ外相と10の合意に達する
2020/11/26
https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/wjb_663304/wjbz_663308/activities_663312/t1836486.shtml

『(※英文。Google翻訳文)

まずCOVID-19の共同予防・管理を強化し、「ファーストトラック」の適用を改善し、徐々に拡大し、健康・パンデミック予防に関する北東アジア協力機構の構築を推進する。

第二に、中韓関係の将来発展のための委員会を設立し、2022年が中国と韓国の外交関係樹立30周年を迎えるに当たって、今後30年間の二国間関係を発展させるための計画を策定する。

第三に、外交安全保障に関する中韓「2+2」対話を開始し、海洋問題に関する中韓対話を開始し、外交安全保障と相互信頼を強化し、海洋問題における協力を促進するために、中国外務省と韓国の間で新たなハイレベル戦略対話を開催する。

第四に、2021年と2022年の中韓文化交流年の取り決めを開始し、両国間の外交関係樹立30周年を祝う準備をする。

第五に、韓国の開発戦略との一帯一路構想の相乗効果を加速させ、第三者市場での協力を推進し、新興産業などの主要分野での協力を強化し、両国の質の高い統合開発を深める。

第六に、日中韓自由貿易協定の第2段階をできるだけ早く締結し、二国間の経済貿易協力のためのより良い条件を作るために、早い時期に中韓経済貿易協力のための共同計画(2021-2025)を発行する。

第7に、北京冬季オリンピックと江原冬季ユースオリンピックの開催を支援し合い、パンデミックが効果的に支配された後、人的交流をさらに強化する。

第8に、朝鮮半島の平和と安定を維持し、朝鮮半島問題の政治的解決プロセスを進めるために協力する。中国は、両国の関係改善と和解と協力の促進を強く支持する。

第九に、中国は第9回日中韓首脳会合の開催において韓国を支持する。双方は、日中韓自由貿易協定の交渉を前向きに進めるために、日本側と協力する。

第10回は、地域包括的経済連携の早期参入、多国間主義と自由貿易の保護、開かれた世界経済の構築の促進、気候変動などの世界的な課題への取り組みに協力する。』

 ※ 「第三の合意」に、『第三に、外交安全保障に関する中韓「2+2」対話を開始し、海洋問題に関する中韓対話を開始し、外交安全保障と相互信頼を強化し、海洋問題における協力を促進するために、中国外務省と韓国の間で新たなハイレベル戦略対話を開催する。』とあるな…。

 ※ 通常、「2プラス2」は、「双方の、外務大臣と防衛大臣」間でなされるもので、「軍事同盟」を締結している国家間、あるいは、「準軍事同盟」を締結している国家間で行われるもの…、というのが、「国際法上の常識」だと思っていたが…。

 ※ 米韓軍事同盟は、どういう扱いになるんだろうな…。

 ※ 各同盟上の”約束”が、「衝突」した場合、どう行動するつもりなんだろうな…。

 ※ いずれ日米は、韓国は「こういう状況」ということを前提に、「国家戦略」を組み立てざるを得ない…。

中国海軍艦艇の動向について

『3月18日(木)午前11時頃、海上自衛隊第4航空群所属「P-1」(厚木)、
佐世保警備隊所属「あまくさ」(佐世保)及び第3ミサイル艇隊所属「しらたか」
(佐世保)が下対馬の南西約250kmの海域を北東進する中国海軍レンハイ
級ミサイル駆逐艦1隻、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻及びジャンカイⅡ級
フリゲート1隻の合計3隻を確認した。このうちレンハイ級ミサイル駆逐艦は、
海上自衛隊においては初めて確認したものである。
その後、これらの艦艇が対馬海峡を北上し、日本海へ向けて航行したことを
確認した。』

中国軍大型駆逐艦が日本海を航行 日米2プラス2への反発か
2021年03月22日 14時24分
https://www.epochtimes.jp/p/2021/03/70284.html

『統合幕僚監部は3月19日、3隻の中国軍艦が18日午前に対馬海峡を北上し、日本海へ向けて航行していることを確認したと発表した。初めて確認された新型艦も含まれており、海上自衛隊は警戒監視活動を続けている。16日に東京で開かれた日米安全保障協議委員会(日米2プラス2)に対する中国側のけん制であるとの見方もある。

日米会談へのけん制

統合幕僚監部はプレスリリースのなかで、「中国艦艇3隻が対馬海峡を北上し、日本海へ向けて航行したことを確認」したことを発表。「自衛隊は、引き続き我が国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期して」いくと告知した。確認された3隻の中国海軍艦はそれぞれレンハイ級ミサイル駆逐艦(055型)、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(052D型)、ジャンカイⅡ級フリゲート艦(054型)だった。

中国軍のこうした動きの背景には、日米外交・国防長官会議(2プラス2会議)への反発があると見方がある。日本国際問題研究所の小谷哲男主任研究員は3月20日、自身のツイッターで「055型は1万2000トン以上でどちらかといえば巡洋艦。052D型の2倍のミサイルの垂直発射口を持つ。日米2+2への対抗措置の可能性大」とツイートした。

排水量が12,000トンを超えるレンハイ級ミサイル駆逐艦は、長さ約180メートル、幅22メートルの大型艦であり、対空ミサイル、対艦ミサイルのほか、地上の目標を攻撃する巡航ミサイルを発射することが可能だ。ミサイルは艦体前部と後部に搭載された垂直発射装置から発射され、112発搭載することができる。米国防省は2017年の「防衛白書」のなかで、レンハイ級駆逐艦を「巡洋艦」と分類している。

「餃子をゆでる」中国共産党軍

中国人民解放軍は近年、急激な軍備拡張を行っている。特に海軍の艦艇の建造スピードはすさまじく、中国本土系メディアはこの動きを「餃子をゆでる(水餃子をゆでるときに次々と餃子を鍋に入れる様子)」と比喩している。

2014年から就役し始めたルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦は計25隻の建造が予定されており、すでに18隻が就役している。今回初めて確認されたレンハイ級駆逐艦もすでに2隻が就役し、6隻の建造が完了している。そのうえ、中国当局はさらに8隻の同型艦を建造する予定だ。

さらに、離島に対する上陸作戦に備えてか、強襲揚陸艦の建造を進めている。中国海軍は排水量約4万トンの075型強襲揚陸艦を8隻発注しており、うち2隻はすでに完成している。075型強襲揚陸艦は兵員1600人を搭載できるほか、各種ヘリコプターを30機収納できるという。

いっぽう、日米両国も強まる脅威を座視しているわけではない。米軍は最新鋭駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」号を日本に配備したほか、太平洋の第一列島線にミサイル基地を建設する計画も発表している。日本の海上自衛隊も艦船の数を増やしており、3月だけでも最新鋭の護衛艦「はぐろ」や潜水艦「とうりゅう」、音響測定艦「あき」、掃海艦「えたじま」の4隻が就役する。

(王文亮) 』

〔米会計検査院GAOというもの〕

 ※ 知らんかったんで、ちょっと調べた…。

U.S. GOVERNMENT ACCOUNTABILITY OFFICE: A Century of Non-Partisan Fact-Based Work
https://www.gao.gov/

『デジタル大辞泉の解説 ( https://kotobank.jp/word/GAO-459075

《Government Accountability Office》米国会計検査院。議会の付属機関で、連邦予算の支出や政府機関の活動を監査する。』

 ※ 日本側だと、「会計検査院」というものがあるが、それとどう違うのか…。

会計検査院
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%9A%E8%A8%88%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E9%99%A2

『会計検査院(かいけいけんさいん、英語: Board of Audit of Japan、略称: BAJ)は、日本の行政機関のひとつ。内閣から独立して存在する国家機関であり、国・政府関係機関の決算、独立行政法人等の会計、国が財政援助する地方公共団体の会計などの検査を行い、決算検査報告を作成することを主要な任務とする。』

独立行政委員会とは?
https://info.yoneyamatalk.biz/%e6%86%b2%e6%b3%95/%e7%8b%ac%e7%ab%8b%e8%a1%8c%e6%94%bf%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f/

『行政活動全般を統括する機関が「内閣」ですが、
特定の行政において、内閣かた独立した地位で、
その職権を行使する事が認められた合議制の行政機関を
独立行政委員会といいます。

独立行政委員会は、
政治的中立性が要請される行政や、
専門的・技術的な判断が要請される行政について、
中立的な立場や、それぞれのスペシャリストに任せる事によって
行政の円滑化をはかり、
国民の権利の実現を達成しようというのがその存在理由です。

例えば、独立行政委員会の例としては、

人事院、公正取引委員会、国家公安委員会、特定個人情報保護委員会、
公害等調整委員会、公安審査委員会、
中央労働委員会、運輸安全委員会、原子力規制委員会

などがあります。

憲法65条は、
「行政権は、内閣に属する。」
としていますので、内閣から独立した行政機関を
認める事は、憲法違反になるのではないかという
考え方もできますが、
「憲法65条は内閣はすべての行政について
直接指揮監督することまで要求するものではない」
と解して、
独立行政委員会を国会が直接コントロールできる
体制になっていれば、内閣から独立して行政権を行使しても、
憲法に違反しないと考える説が有力となっています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。』

 ※ 《憲法65条は、「行政権は、内閣に属する。」としていますので、内閣から独立した行政機関を認める事は、憲法違反になるのではないか》…。

 ※ そう言えば、大昔にやった記憶があるなあ…。もはや、記憶も定かじゃないが…。

 ※ まとめると、米会計検査院GAOも会計検査院も、似たようなこと(一国の「会計」が、キチンと行われているのか「検査」する)を行う機関のようだ…。

 ※ しかし、そもそもの「行政機構」のし組みが、「大統領制」と「議院内閣制」で、違っているんで、国家機構全体における「位置付け」が、異なっている…、ということのようだ…。

 ※ 前者は、「行政府」と「立法府(議会)」を厳しく峻別する…。それで、「行政の監視・監督」の機能も果たす「会計検査」の権限を、議会に付属させた…。

 ※ 後者は、「行政府」と「立法府」の抑制・均衡よりも、「連携」を重視するんで、「会計検査」の機関も、「行政機構の一つ」と位置付けた…。ただし、それでは「手心(てごころ))」を加えて、「公正なもの」にならない危険性があるので、ある程度の「独立性」を持たせて、「独立行政委員会」とした…。

 ※ 大体、その程度の理解で、いいだろう…。

〔マングースさんのサイトから〕

米会計検査院による日本と韓国駐留への評価:東京の郊外より・・・:SSブログ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-18

GAO3.jpg17日、2020年度国防授権法が米会計検査院GAOに求めた、日本と韓国に駐留する利点と関連する費用に関する報告書「責任分担:日本と韓国に駐留している米軍に伴う利点と経費」が公開され、米国目線で見て、経費のどれだけを米国とホスト国で分担しているかを米国民向けに示しました。

また併せて米会計検査院GAOは、米国防省と国務省当局者11名と、政府外シンクタンクなどの9名の専門家にインタビューし、様々な関連文書と研究レポートから抽出した駐留に伴う安全保障上の利点と考えられる6つの視点に対する支持の度合いを確認し、支持されていると評価しているようです。

日本には約5.5万人、韓国には2.8万人の米軍兵士が駐留し、2016~2019 年の4年間の日本駐留経費は日米合わせて約4兆円、韓国は2.3兆円となっていますが、このGAOの報告書は、その細部経費やその使い道を細かに精査するのではなく、国防省や国務省が分担している駐留経費を整理して掲載し、併せてホスト国が支援している経費も紹介し、全般的な意義を専門家にエンドースしてもらったとの形式になっているようです

同報告書や17日付米空軍協会web記事によれば
GAO4.jpg●報告書での経費のとりまとめは、兵士の人件費、部隊の作戦費と維持管理費、家族用住宅の運用と維持管理費、軍事施設や家族用住宅の建設費を対象に行われた。ただし部隊運用費はどこに所在しても発生する経費なので除外されている
●ホスト国から提供されている税金、光熱費、土地や施設使用料の免除は、今回の統計ではホスト国からの支援額に含まれていない

●上記の前提で、2016~2019 年の4年間で、日本駐留に関し米側は209 億ドル(2.4 兆円)を負担し、日本側は126 億ドル(1.5 兆円)を支援。米国の負担は約60%
●同じ期間で、韓国駐留に関し米側は134 億ドル(1.6 兆円)を負担し、韓国側は58 億ドル(6701 億円)を直接財政や現物支給など様々な状態で提供。米側の負担は約70%

●専門家に問うた一般に主張される6つの米軍駐留の利点
Kadena-F16F15.jpg・地域安定と安全保障→侵略を抑止し、有利な力の均衡を確保することで、地域の安定と安全保障を維持するのに役立つ
・非核化と非拡散→北朝鮮の非核化達成のための努力を支援し、一般的な非拡散を促進する
・防衛能力と相互運用性→日韓の防衛能力と米国兵器システムとの相互運用性を強化する
・強固な同盟関係→日本及び韓国と米国との同盟関係を強化する
・不測事態への対処→地域の軍事及び非軍事(自然災害など)への迅速な対応を可能に
・自由なインド太平洋地域を維持→優れた統治や経済的繁栄を含む自由なインド太平洋地域を促進する

●上記6つの利点に関する評価
・ほとんどの専門家は6つの利点に「同意」又は「強く同意」すると評価した
・一方で、沖縄などいくつかの駐留先では、地域での駐留米軍への反発が強まっており、長期的には駐留地を維持するのが難しい(untenable)と考えられ、ホスト国との摩擦を避けるため、既に米国は戦力の一部を移転させている
///////////////////////////////////////////////////////

関連の米会計検査院webページ
https://www.gao.gov/products/gao-21-425

さすがの米会計検査院GAOも、駐留経費の総額及びホスト国の負担度合いと、抽象的な駐留の利点を比較し、「無駄使い」又は「妥当な支出」等々と評価するには至らなかったようです。

Kadena-kc135.jpg極めて政治的で、極めて対外影響力の大きな問題であり、経費負担のデータや利点に関する視点を国民に示し、判断は国民に委ねる・・・とのスタンスかもしれません

日本側からすれば、米国のアジア太平洋戦略の前線拠点を提供し、優秀な維持整備力で特に米海軍艦艇の高稼働率確保に貢献し、おまけに米軍人に大人気の赴任先を提供していることでも貢献している等とアピールしたいところですが、中国の多数のミサイル射程にすっぽり入り、在日米軍の脆弱性が日増しに増加している現実から背を向けることはできません

関連しそうな記事
「海兵隊司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「日本など同盟国に国防費GDP2%以上を要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-19
「日米が協力すべき軍事技術分野4つ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18
「基地勤務の韓国人5千名レイオフ開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-01

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

〔兵頭二十八氏のサイトから〕

 ※ 「戦略」的に重要…、と思われることを、抽出しておく…。
 
 ・「攻撃型無人機」は、どうもト※※が鍛えたものである節があること。

 ・「訓練」ということで、他者にそれを委託すると、ある種の「洗脳」の危険性があること。

 ・リビアのトリポリ政府vs.ハフタル勢力の対立でも、ト※※製「攻撃型無人機」が使われた形跡があること。

 ・「地下都市」の建設は、「核攻撃」からの生き残り戦略の側面もあること。

 ・中印国境紛争は、「水争い」「水源争い」の側面もあること。

『Ezzedine SAID 記者による2021-3-19記事「After big wins, interest in Turkish combat drones soars」。

   シリアでもリビアでもアゼルバイジャンでも、トルコ製の攻撃型無人機が絶好調。トルコはこいつの輸出にドライブをかける。

 これは単にカネの損得の話じゃない。攻撃型の無人機は、ただ製品だけ買っても現地兵には運用などできはしない。運用にはトルコ人の助けが要るのである。したがって、あたらしく買い手になった国の軍隊は、トルコの指導下に入ったも同然となるのだ。このようにしてオスマン帝国が徐々に復活するだろう。

 シリアのイドリブ地方では、トルコ製無人機がアサド軍の前進を撃砕した。
 リビアでは、トリポリ政府を応援するトルコ軍の無人機が、ハフタル軍閥軍を一転、敗走に追い込んだ。

 そして昨年の、世界の注目をあつめた、ナゴルノカラバフにおけるアゼル軍の大勝利である。

 トルコ大統領府の軍需産業部局SSBの長、イスマイル・デミールは言う。他国の武装型無人機の半額なんだよ、と。
 SSBの傘下であるトルコ航空工業TAIには、「アンカ」という攻撃型ドローン商品がある。

 トルコは2016年に始めて武装ドローンを実戦使用した。相手は、同国南東のクルド・ゲリラだった。

 12月〔2020年の?〕、国営のTAIは「アンカ」の輸出契約を始めてチュニジア政府と結んだ。総額は8000万ドルと見積もられている。

 しかし民間企業はもっと先行している。エルドアンの娘婿が経営するバイカル社の「TB2」は、何年も前から、ウクライナ、カタール、アゼルバイジャンへ輸出されている。
  ※この娘婿はもともとは設計技師だったのだが、いつのまにか経営者になっているようだ。詳しくは最新刊『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』を読んで欲しい。

 不吉なニュースは米国政府がSSBを2020-12に経済制裁対象企業(そこを相手に商売してはならない)に指定したこと。その長であるデミールも個人指名されてしまった。引き金になったのは、トルコがS-400防空システムをロシアから買ったこと。

 たとえば無人機のパーツとして以前ならば米国から必要なものを好きなだけ輸入して組み付ければよかったものが、爾後は、トルコ国内でかなりのパーツを国産せねばならなくなった。

 「Anka」の全長は8.6m、ウイングスパンは17.6m。SSBの工場はアンカラ市にあり、その敷地面積は400万平米。敷地内にミニ飛行場も擁する。従業員1万人、うち技術者は3000人である。

 ロンドンの国際ビジネス企業評論家氏いわく。トルコがドローン国産に努力注入を開始したのは、2016年の反エルドアン政変事件がきっかけであると。これによって空軍将校団をかなり間引き粛清する必要が生じて、以後しばらく、まともな空軍というものをトルコ軍は期待できなくなってしまったのだ。

 たとえば、保有するF-16よりも、そのパイロットの人数の方が少なくなってしまった。あらたに有人戦闘機のパイロットを育成するには4年かかる。が、武装無人機の操縦なら9ヵ月でマスターさせられる。

 ※もっと重要なことは、F-16訓練は若い飛行将校を米国へ派遣して稽古をつけてもらわねばならず、その間に将校が米国風の近代礼賛の考え方に染まってしまう。無人機訓練はトルコ国内で完結させられるので、空軍将校が米国のスパイになる心配がない。

 いま、サウジアラビアがトルコのドローンに注目している。対イエメン戦争で、それを使いたいのだ。トルコが傑出して優秀な武装ドローンを開発製造するようになったことで、それまで政治的に不仲であった周辺諸国が、一斉に秋波を送ってくるようになったのである。

 ※サウジは、イランの核武装がもう不可避だと判断して、イスラエルと「核同盟」したんだという話も『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』の中で説明しています。ビンサルマーン皇太子が、2030年までに、紅海北部・アカバ湾沿岸からヨルダン国境付近にかけて「長さ170kmの直線地下都市」を構築するぜよ、と1月11日にブチ上げています。これはわたしが昔から唱えてきた「耐核リニア・シティ」そのものです。表向き、環境対策がどうのこうのと言っているのですが、同計画の真面目は「イランの核から生き残れる予備の首都」を掘ることにあります。数学的に、都市を直線状に伸ばすことが、最も、核兵器の被害を局限化できる方法なのです。ビンサルマンはただの人殺しではないということがこれで分りました。国民を核攻撃の惨害から防御するために、数学的に合理的な新都市を造るという計画を立てて実行できるのだとしたら、それは現代の偉人でしょう。イスラエルが滅亡したあと、ユダヤ人の一部もこの地下都市に移住するのではないでしょうか。

 次。
 The Strategist の2021-3-21記事「China’s Troubling Solution to its Water-Security Woes」。
   中共は世界人口の20%を擁するのに、世界の淡水の7%しか支配できていない。
 その淡水の8割は国内南部にある。ところが国内人口の半分は北部にあるし、国内農業の三分の二も北部にあるのだ。
 熊っちゃう。
 中共北部の帯水層は、年に3mずつ、減っている。

 そこで中共は、インドとの係争地に近いメトク県(チベット)のヤールン・ツァンポ川に11個以上の巨大ダム郡を建設するつもりだが、この目的も、第一には、水だ。

 こんな僻地で60ギガワット発電しても、消費地まで送電することができず、無益である。発電など二の次なのだ。

 熊プーの大野心は、ヒマラヤから総延長1500kmの大運河を掘って北部へ真水を運送させることだ。
 ※治水の事跡を残すことで、古代の皇帝と並び称されるようになる。いよいよ己れの寿命を意識するようになり、名を残しておきたくなったのか。

 しかしヒマラヤ上流部で水をとられてしまえば、下流のインドのブラーマプトラ河は水位が4割に減りかねない。死活問題だ。 』

中国大使館がフランスの学者を「チンピラ」呼ばわり、現地で驚きと怒り

中国大使館がフランスの学者を「チンピラ」呼ばわり、現地で驚きと怒り=中国紙は「挑発」が原因と主張
Record China 2021年3月22日(月) 15時20分
https://www.recordchina.co.jp/b873779-s25-c100-d0052.html

『台湾問題をめぐって中国を批判したフランス人学者に対し、駐仏中国大使館が辛辣(しんらつ)な言葉を使ったことがフランスで物議を醸している。仏国際放送局RFI中国語版サイトや中国紙・環球時報が伝えている。

報道によると、駐仏中国大使館は中国を批判したフランスの学者アントワーヌ・ボンダズ(Antoine Bondaz)氏をツイッター上で「チンピラ」と罵倒し、フランス世論や政界、学界から批判の声が上がった。

RFIの記事は「この事件はフランスの学界、政界、民間世論を驚かせた。一国の外交官が暴言、特に学者に対して暴言を吐くのを見たことがなかったからだ」とした。また、仏紙ルモンドは「中国大使館がフランスの学者を名指しで攻撃したのは初めて」とも報じた。

発端は、盧沙野(ルー・シャーイエ)中国大使が今年2月、フランス上院の台湾交流グループの代表であるアラン・リシャール(Alain Richard)氏に、議員訪台団の取り消しを求める書簡を送ったことだという。これに対しフランス政府は「フランスでは三権が分立しており、議員が自分の希望する国を訪問し、自分の希望する人に接触する権利がある」とし、中国大使の要求を拒否した。

フランス戦略研究財団の研究員で中国問題の専門家でもあるボンダズ氏は3月16日、盧氏の書簡について、「フランスの民主制度への介入であり、受け入れられない」と批判。「わが国の上院議員は訪問計画を自由に決定し、誰にでも会うことができる自由がある。中国にはフランスの国民によって選ばれた政治家に指示する権利はない。ましてや、外交官であればなおさらだ」と主張した。

すると19日、中国大使館はツイッター上でボンダズ氏を「チンピラ」と名指しで批判。この発言は瞬く間に同国で物議を醸した。RFIの記事は、「中国大使館が最低限の礼儀も顧みず、駐在国の学者を侮辱したことが指摘されると、フランス世論は驚き、怒り、議員は左右を問わず一致して学者を支持し、外務省に盧氏を呼び出して厳重な警告を出すよう要求した」と報じ、各界からの批判の声を紹介した。

それによると、欧州議会の議員らからは「中国大使を呼び、『これ以上横暴を続けるなら中国に戻れ』と警告すべき。これ以上見て見ぬふりをしてはいけない」「中国大使館は著名な学者を侮辱し、中国に従うよう警告した。親愛なるル・ドリアン(フランス外相)、これを見過ごしてはならない」「自国のイメージにこれほどダメージを与える外交官はめったにいない。乱暴で粗野。これがあなた(中国大使館)が示した中国だ」といった声が、フランスの議員や政治家からは「中国大使館は、フランスが学者を尊重する国であり、私たちが自由と博愛を大切にしていることを知っているのだろうか」「私は中国に関するボンダズ氏の見解に常に同意するわけではないが、大使館がフランスの学者を侮辱することは受け入れられない。言論の自由は保護されなければならず、彼らのやり方は容認できない」といった声が上がったという。

また、ネット上でも多くのユーザーが批判的な声を上げているとし、「中国大使館のこうした態度は、中国の真の顔を浮き彫りにしている」「彼の発言は、自国の人民を侮辱することに等しい。中国ではたとえエリートであってもまともな言葉を身につけることができないのだと誤解させるものだ」などのコメントが寄せられていると伝えた。

一方、環球時報の記事は「ボンダズ氏はこれまでに繰り返し、中国や中国に関する問題で客観的な姿勢を示したフランスの学者や作家らを攻撃してきた」と主張。「チンピラ」との罵倒に対してボンダズ氏が「あなたとあなたの妖魔たちにキスを」と皮肉交じりに応じたことを取り上げ、「陰険」と批判した。

また、フランス国内で今回の中国大使館の言動が「言論の自由」を脅かすものだとの懸念が出ていることについて、同大使館が21日に声明を発表したことを紹介。同声明では、「中国大使館はこれまでフランスのメディアや学者が中国に関する問題を報道、研究、議論することについて、真実、客観、公正なものでさえあれば歓迎してきた。誤った事実や偏った視点に対しても、事実を明らかにし、立場を示していく」とする一方、ボンダズ氏については「ある学者は寂しさに耐えきれず、大衆の歓心を得ようとして、議論の正常な軌道から逸脱し、中国大使館に対してさまざまな挑発を行った」と指摘している。

環球時報は、「中国大使館の(「チンピラ」という)返信は蔑んでいるのであって、侮辱しているのではない」と主張。ボンダズ氏について「この人物は独立してもおらず、学者とも呼べない。完全なる『噴子』(悪意ある中傷的な書き込みをする人物)なのである」とした。また、同氏は台湾と「あいまいな」関係にあり、米国の一部の反中組織とつながりがあるなどとし、「今回、彼の挑発的なツイートに中国大使館が『チンピラ』という言葉で応じたのも、付きまとわれるのを避けるためだったのだ」との論を展開した。(翻訳・編集/北田)』

日本からの「まさか」の名指し批判に驚く中国、あることを忘れている―仏メディア

日本からの「まさか」の名指し批判に驚く中国、あることを忘れている―仏メディア
Record China 2021年3月19日(金) 12時20分
https://www.recordchina.co.jp/b873692-s25-c100-d0193.html

※ 「国家戦略」におけるプライオリティは、安全保障(軍事を含む)>経済活動>文化活動(学問、スポーツ、芸能などのエンタメ)…、という順番だろう…。

※ 安全保障vs.経済活動となった時、躊躇なく「安全保障」に軍配が上がる…。

※ 国民が生き残っていれば、「草を食み」「泥をすすってでも」生存して、「国家の再建」を果たすことができる…。

※ 極限状態で、どれだけの、そういう「強靭な国民」が残っているのか…、が国家の命運を左右する…。

※ 「人は、堀。人は、石垣。人は、城…。」とは、そういうことだ…。

『2021年3月18日、仏国際放送局RFIの中国語版サイトは、日本政府が中国を名指しで批判したことに、中国が驚きを見せているとする記事を掲載した。

記事は、日本で先日開かれた日米「2+2」会談後の共同声明で、香港や台湾に対する姿勢、新疆やチベットの人権問題、南シナ海での動向に関する中国への厳しい批判が盛り込まれたと紹介。これまで中国とのバランスを保つために中国に対する厳しい批判を控えてきた日本にとっては、前代未聞と言うべき強い意思表示だったと伝えた。

また、「より重要なのは、中国を公に厳しく批判することを日本が自ら選択したことだ」とし、18日に垂秀夫駐中日本大使が天津で李鴻忠(リー・ホンジョン)同市共産党委員会書記と会談した際、「日本が公然と中国の内政を批判することは、非常に遺憾である」との李氏の発言に対し、「両国間に問題があれば意思疎通をしっかりとって解決すべき。李氏の発言は、まったくもって受け入れることができない」と強く反発したことがその証左であると指摘した。

一方で、「2+2」会談の声明に対して中国外交部の趙立堅(ジャオ・リージエン)報道官が「他人の鼻息を仰ぐ」「米国の属国になるな」などと厳しい言葉で日本を攻撃したことを紹介し「日本が中国という幼なじみに突然襲い掛かったとでも言わんばかりな、脅迫と蔑視に満ちた口調だった」と評したほか、環球時報の胡錫進(フー・シージン)編集長についても「日本の反応に驚いたよう」な論調で「日本が米国の立場に屈服し、改めて忠誠を誓った」などとして日本を批判したと伝えた。

その上で、「李氏も趙氏も胡氏も忘れているようだが、日米は安保条約を結ぶ同盟国であるのに対し、中国は日本の隣国にすぎず、同盟関係など存在しないのである。そして、日本の世論は中国の人権状況、香港問題、台湾へ圧力に非常に敏感になっており、それが日本政府による対中戦略の調整につながり、習近平(シー・ジンピン)国家主席の訪日白紙化につながっていることも忘れている」と評した。

記事は最後に「中国は世界においてますます多くの敵をつくっている。日本はもともと米国の友好国であり、米国が同盟国とともに中国を抑え込もうとする中で日米関係を強化するのは至極当然なことなのである」と結んだ。(翻訳・編集/川尻) 』

「聞いた話と違う」米中外交トップ会談、冒頭発言全文(下)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM226870S1A320C2000000/

『18日に米アラスカ州で開かれたブリンケン米国務長官と中国の外交担当トップ、楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員らの会談では、米側の冒頭発言に対する中国側の反論を受け、ブリンケン氏らは米国の立場の正当性を再び強調した。楊氏らはそれに対して強く反発。メディアの前で激しく応酬するという異例の展開になった。米国務省が発表した会談のやりとりの後半部分の和訳は次の通り。

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米中外交トップ会談、異例の応酬 冒頭発言全文(上)
ブリンケン氏「日韓で聞いたのと異なる」

ブリンケン氏 「楊政治局員、王国務委員、あなた方の発言を受けて私自身からも少し補足する。サリバン大統領補佐官も同様に言いたいことがあると思う。私が国務長官になって日も浅いが伝えなければいけないことがある。私はすでに世界中の百人近いカウンターパートと話してきた。そして最初の外遊先を日本と韓国にした。私はあなたが説明したこととかなり異なることをうかがっていると言わなければならない」

「米国が(協調重視に)戻り、同盟国やパートナーと再び関与していることに深い満足感を覚えたと聞いている。中国政府による多くの行為に対する深い懸念も聞いており、我々はそれらについて(会談で)議論する機会を持つだろう。世界における米国のリーダーシップや関与のあり方は、自発的に構築された同盟関係やパートナーシップであることに特徴がある。それこそがバイデン大統領が再び活性化すると約束したものだ。国内におけるリーダーシップにはもう一つの特徴がある。より完全な結束を作り上げるための絶え間なき探求だ。探求とは定義上、不完全さを認め、誤りをおかすことを認め、失敗や後退を認めることだ。しかし、我々が歴史を通じてなし得たことは課題にオープンかつ透明性を持って立ち向かうことであり、課題を無視したり課題が存在しないかのように偽ったり、カーペットの下に隠したりすることではない。時には痛みを伴い、時には醜いかもしれない。しかし毎回、我々は国としてより強固で、より良く、より結束する結果となった。バイデン大統領が副大統領として中国を訪れた時のことをよく覚えている。金融危機の直後であり、当時は国家副主席だった習近平氏との会談を含めて多くの議論があった。バイデン氏はそのとき、米国が負けるほうに賭けることは決してよくないと言った。それは今なお正しい」

サリバン氏「自信ある国は自ら欠点を改善できる」

サリバン氏 「手短にブリンケン氏の発言に付け加えたい。なぜなら、私も同じ点を相談するまでもなく発言しようと考えていたからだ。自信を持った国は自身の欠点をよく見て絶えず改善することができる。それが米国の(成功の)秘訣だ。もう一つの米国の秘訣は、米国民が自ら問題を解決しようとする国民であり、世界中の同盟国やパートナーとともに取り組むことで問題を解決できると信じていることだ」

「ちょうど数週間前、米国は探査機を火星に着陸させたが、これは米国単独のプロジェクトではなく、欧州やその他の地域を含む国々の技術が加わったものだ。火星に試料を残す予定で、米国と欧州がそれを回収して地球に持ち帰るための装置を開発する。これは絶えず自らを改革し、他者と緊密に協力し、私たち全員に利益をもたらすような進歩を生み出すことを絶えず追求し、世界のすべての男性、女性、子供が目指す人間の尊厳と人権の概念に根ざしている国によって達成できることだ」

「今日の対話を楽しみにしているが、この対話が双方の信頼をもって実施されることを願う。これは講義でもないし長く回りくどい声明でもない。我々の考えを説明し、あなた方の考えを聞き、我々の原則、優先事項、そして長期的な戦略が何であるかを示す機会だ。それこそが今後の対話で我々が望んでいることであり、我々はそのような精神で取り組んでいる。今日も議論し続けることを楽しみにしている。皆さんありがとう」

楊氏「米国を良く考えすぎていた」

楊氏 「私が間違っていた。この部屋に入った際に、互いの冒頭発言のトーンに注意するよう米国側に念押しすべきだったが、そうしなかった。米国側の論調が原因で、中国側はこのようにスピーチすることを強いられた。これは米国の意図ではないのか。あなた方の冒頭発言での論調から判断すれば、強者の立場から中国を見下す形で話したいということなのか。これは入念に準備され、計画されていたのか。このような形で対話することを望んでいたのか。我々は米国のことを良く考えすぎていた。我々は米国側が必要とされる外交儀礼には従うものだと思っていた。我々は中国の立場を明確にすることが必要だった」

「中国陣営の前で私はこう言いたい。米国は中国に対して強者の立場から話す資格は持っていない。20年前、30年前ですら米国側にはそのようなことを言う資格はなかった。なぜならそれは中国人民と付き合ううえでのやり方ではないからだ。もし米国が適切に中国側と交渉をしたいのならば、必要な儀礼に従って正しいことをすべきだ」

「協力は双方に利益をもたらす。これは世界中の人々が期待するものだ。米国の国民は確かに素晴らしい人々だが、それは中国の人民も同様だ。中国の人民がこれほど過去に外国から苦しめられたことはあっただろうか。中国が外国の国々に包囲され始めて以来、その点についてはなんとも言えなくなっている。中国のシステムが中国人の知恵とともに正しいものである限り、中国の首を締めることはできない。もしある国が中国国民の首を絞めたり抑圧したりしようとすれば、その国自身に害が及ぶことになると我々の歴史は示している。米国は欧州とともに他の惑星に降り立った連携について話しているが、中国は同様の連携を米国が中国と実行するつもりであれば歓迎するだろう。ここでやめておく。王国務委員、なにか補足がありますか」

王氏「中国への非難は正しくない」

王氏 「ブリンケン国務長官、サリバン大統領補佐官、あなたがたはブリンケン氏が最近2カ国を訪問した際、その2カ国が中国による威圧について言及したと語った。我々はそれがそれらの国々から直接寄せられた不満なのか、単なる米国単独の見解にすぎないのか判別がつかない。国家間の関係を考えていくときには、中国と米国、中国と日本、中国とオーストラリアとの(個別の)関係を取り上げるものだ。私はあらゆる場合において各国がそれぞれの課題を持ち、異なる立場が関わっているため、国々をひとまとめにみても何かわかるということはないと思う。では彼らが関連する見解を中国に伝えるより前に、中国が威圧していると非難するのは正しい行動だろうか。もちろん正しくない」

「もし米国が同盟国やパートナーだという理由だけでそれらの国々のために抗議したり肩を持ったりするなら、国際関係の正しい発展は長期的により難しいものになるだろう。我々は、どの国も他国について威圧的だと非難するほど怒りっぽくなる必要はない思っている。誰が誰を威圧しているのだろうか。歴史や国際社会がいずれ結論を出すと思う」

「ただ、もし米国が中国との議論に関心を持っているなら、我々は米側と話し合う準備はできている。もっとも(議論は)これらの問題について互いに理解を深めることを可能にする相互尊重の精神に基づくものであるべきだ」

この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/US-China-tensions/How-it-happened-Transcript-of-the-US-China-opening-remarks-in-Alaska

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米中外交トップ会談、異例の応酬 冒頭発言全文(上)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM223K10S1A320C2000000/

『米国務省は18日に米アラスカ州で会談したブリンケン米国務長官と中国の外交担当トップ、楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員らの冒頭発言の全文を公表した。ブリンケン氏とサリバン大統領補佐官の発言に対し、楊氏と王毅国務委員兼外相はそれぞれ猛反論。報道陣の前で異例の応酬となった。冒頭のやりとりの前半部分の和訳は次の通り。

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米中協議、安保・人権で隔たり鮮明 次回開催メド立たず
ブリンケン氏「台湾・ウイグル 深い懸念」

発言するブリンケン氏(右から2番目)とサリバン氏(右)=ロイター

ブリンケン氏「こんにちは。ようこそいらっしゃった。サリバン大統領補佐官と私の2人を代表して私が、楊潔篪共産党政治局員と王毅(ワン・イー)国務委員兼外相を歓迎し、アラスカまではるばる来られたことに謝意を伝えたいと思う。私自身、オースティン国防長官とともに、わが国にとって最も近い同盟国である日本や韓国の担当者との会談から戻ってきたところだ。日韓とも本日、明日とこの場で行う米中間の議論に大きな関心を示していた。我々がここで提起する問題は米中両国のみにとどまらず、地域や世界全体に関わるものだからだ。我々の政権は米国の利益を促進し、ルールに基づく国際秩序を強化する外交を進めると決意している」

「ルールに基づく国際秩序は抽象的なものではない。各国が意見の相違を平和的に解決したり、多国間の取り組みを効果的に調整したり、誰もが同じルールにのっとっているとの確証を持ってグローバルな商取引に参加したりするのに役立つ。ルールに基づく国際秩序に取って代わろうとするものは、力こそが正義で勝者が総取りするような世界で、それは我々全員にとってはるかに暴力的で不安定な世界となるだろう。本日は、中国が我々の政権の意図とアプローチをよく理解できるよう、国内問題と国際問題の主要な優先事項について議論する機会となる」

「新疆ウイグル自治区、香港、台湾、米国へのサイバー攻撃、同盟国への経済的な強制行為など中国の行動に対する我々の深い懸念についても提議する。これらの行為はいずれも世界の安定に欠かせないルールに基づく秩序を脅かすものだ。だからこそ、単なる内政問題として片付けるのではなく、本日この場で提議する必要があると考えている」

「私は、米中関係は競争すべきところは競争的に、協調できるところは協調的に、敵対しなければならないところは敵対的になるべきだと述べた。ここアラスカでの議論は幅広いテーマにわたることになるだろう。両国関係を前進させるという目標を持ちつつ、我々の持つ懸念や優先事項について明確に伝えたいと思う。お集まりいただき感謝する。楊政治局員にお話をうかがう前に、サリバン氏、ひと言あいさつを」

サリバン氏「同盟国との関係 再活性化」

サリバン氏 「国務長官、ありがとうございます。そして楊政治局員、王国務委員兼外相、ようこそ。ここアラスカでお会いするのは適切なことだ。米国本土からは離れているが、寛大でしなやかで勇敢であるという米国らしさを感じられる場所はそうない。今回の会議を開催するにはまさにふさわしい場所だ」

「ブリンケン氏と私は(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的大流行)の抑制や経済の回復、民主主義の強さと持続力の確認など、バイデン大統領のリーダーシップのもと米国が成し遂げてきた一連の出来事を誇りに思う。特に我々の外交方針の基盤である同盟関係やパートナーシップを再び活性化させるための取り組みを誇りに思う。つい先週、バイデン大統領は日米豪印4カ国の首脳会議を開催した。世界の民主主義国家のチャレンジ精神について話し合うとともに、自由で開かれたインド太平洋構想の実現を約束した。このようなパートナーシップを通じ、我々は進歩と繁栄を国民にもたらすことができる。ブリンケン氏は経済的・軍事的に強制する行為から基本的な価値観への攻撃まで懸念される多くの分野を説明したが、今日と今後数日間、皆さんと議論していく。これらの懸念は米国民だけのものではない。直近2カ月間に集中して実施してきた協議の中で、世界中の同盟国やパートナー、幅広い国際社会からも提起されるのを聞いてきた」

「世界や中国に対する米国のアプローチが米国民に利益となり、同盟国やパートナーの利益も守ることを明確にする。それが米国側の最優先課題である。我々は衝突を求めていないが、厳しい競争は歓迎する。我々の行動原理や国民、そして友好国のために常に立ち上がる。これから数時間、これらの事柄について話し合うことを楽しみにしている。ありがとう」

楊氏「中国には中国の民主主義」

発言する楊氏(中)と王氏(左から2番目)=ロイター

楊氏 「王氏と私は、戦略的対話のためにアンカレジに来た。この対話が誠実で率直なものになることを願っている。中国と米国はともに世界の主要国であり、世界と地域の平和、安定、発展に対する責任を担っている。中国では『両会』、つまり全国人民代表大会(全人代)と全国政治協商会議(政協)を終えた。両会では第14次5カ年計画と2035年までの長期目標の概要を採択した」

「中国にとって今年は(中国共産党の創立から)最初の100年を終えて、建国から100年の目標へ移行する歴史的な年だ。35年までに中国は基本的な現代化を達成し、50年までに完全な現代化を遂げる。中国は新型コロナウイルスとの戦いで決定的な成果と重要な戦略的利益を獲得し、中国での絶対的貧困を終わらせるという勝利を収めた。中国の1人あたり国内総生産(GDP)は米国の5分の1にすぎないが、中国の絶対的貧困を終わらせることができた。他の国々、特に先進国も同様の努力をすることを期待する。中国はややゆとりのある小康社会を実現する歴史的成果もあげた。中国人民は中国共産党のもとに結集している。我々の価値観は人類共通の価値観と同じで、平和、発展、公平、正義、自由、民主だ」

「中国と国際社会が従い、支持しているのは、国連を中心とする国際システムと国際法に裏付けられた国際秩序であり、一部の国が提唱するいわゆる『ルールに基づく』国際秩序ではない。米国には米国式の民主主義があり、中国には中国式の民主主義がある。米国が自らの民主主義をどのように進めてきたかを評価するのは米国民だけでない。世界中の人々が評価する。中国では何十年にわたる改革開放を経て、各分野で大きな発展を遂げてきた。特に世界の平和と発展に貢献し、国連憲章の目的と原則を守るためにたゆまぬ努力を続けてきた」

「一部の国がしかけた戦争で多くの犠牲者が世界で出ている。しかし中国が他国に求めてきたのは、平和的発展の道を歩むことであり、これこそが我々の外交方針の目的だ。軍事力を行使して侵略したり、様々な手段で他国の政権を倒したり、他国の人々を虐殺したりすることは正当ではない。それらの行為は世界に混乱と不安定さをもたらすだけだからだ。結局のところ、そうした行為は米国のためにはならない」

「だから我々は米国が自らの印象を変え、自国流の民主主義を他国に押しつけるのをやめることが重要だと考える。実際、米国民の多くは民主主義への信頼を失い、米政府に対して様々な意見を持っている。中国では世論調査によると、指導部は国民の幅広い支持を得ている。だから中国の社会システムを中傷しようとする試みは全くの無駄になる。そのような行為があっても、人々はいっそう中国共産党のもとに集い、我々の目標達成が近づくだけであることは事実が示すとおりだ」

「1952年に中国は第1次5カ年計画を採択し、現在は第14次5カ年計画の1年目に入った。我々はこの道を一歩ずつ歩んでいく。中国の発展は国民に利益をもたらすだけでなく21世紀の世界の発展にも貢献する。中国と米国はともに大国であり、平和や安定に加えて、新型コロナウイルスや経済活動の復旧、気候変動といった分野でも貢献しなくてはならない。我々が一緒にできること、そして我々の利害が一致することは多くある」

「だから我々がすべきことは、冷戦時代の考え方や(片方が利益を得て、もう一方が損する)ゼロサムゲーム的なアプローチを捨てることだ。我々は考え方を変えて、21世紀には大国も小国も手を合わせ、特に大国は団結して、ともに人類共通の未来に貢献していくようにする必要がある。全ての国が協調し、公正、正義、相互尊重を確保した新たな形の国際関係を築くことも重要だ。いくつかの地域的な問題については、米国が遠方まで及ぶ管轄権を行使して抑圧したり、軍事力や金融覇権を通じて国家安全保障を拡大適用したりすることが問題だと思う。こうした行為が通常の貿易活動を妨げている。米国は他国を唆して中国に対する攻撃を仕掛けさせている」

「我々は輸出入に関わる問題を科学や技術に基づいて処理している。ブリンケン長官、あなたは日本や韓国から戻ってきたばかりとおっしゃった。日韓は中国にとって第2位、第3位の貿易相手だ。東南アジア諸国連合(ASEAN)は欧州連合(EU)や米国を抜き、中国の最大の貿易相手となっている。そのため、我々は米国がアジア太平洋地域の全ての国と健全な関係を築くことを望んでいる。我々は共通の友人を多く持つべきだ。それが21世紀の正しい道だ」

「春節(旧正月)の前夜、習近平(シー・ジンピン)国家主席とバイデン大統領が電話協議を開いた。両首脳はコミュニケーションを強化し、意見の相違を乗り越えて、協力関係を拡充することで合意した。本日の対話は電話協議での共通認識を確かめるために行っている。この対話の開催は事実上、両首脳が決めたものだ。両国や世界中の人々は、我々の対話から具体的な成果が出てくることを期待している」

「そして新疆、チベット、台湾は中国から切り離すことのできない領土だ。中国は自国の内政に米国が干渉することに断固として反対しており、毅然とした行動を取るつもりだ」

「人権問題については、米国がより良く対処することを望む。中国は人権の面で着実な進歩を遂げているし、実際のところ米国内で人権に関して多くの問題があり、このことは米国自身が認めている。また米国は、各国が直面する課題を解決するために軍事力に頼ることはできないとも言っている。様々な手段を用いていわゆる『権威主義』国家を打倒することはできない」

「米国が直面する人権問題は根深い。『ブラック・ライブズ・マター』(黒人の命も大事だ)運動のように、直近4年間に出てきたものばかりではない。最近になって急に出てきたものではないのだ。両国が抱える様々な問題の責任を誰かに転嫁するのではなく、自身でうまく管理することが重要だ」

「我々は我々の問題をしっかり管理し、14億人の国民によりよい生活を提供したいと考えている。これが中国の外交政策の目標だ。そして我々は世界の平和や安定にも貢献していく。数十年前に両国間の国交が樹立されてから、中国と米国は多くのことを達成してきた。両国のビジョンを持つ人々が力を合わせて努力した結果だ。過去は我々が成し遂げてきた成果の一部だ。世界の情勢は大いに変わったが、新たな状況下で両国がどのように協力していけるかを考えていくことが重要だ」

「両国間に競争があるとすれば、経済的側面に焦点をあてたものになるべきだ。経済的関係の摩擦については合理的なやり方で対応し、ウィンウィンの成果を求めることが重要だ。両国間の貿易はすでに多くの成果をあげているが、さらに良いものとしていくべきだ。中国に進出する圧倒的多数の米国企業は、中国の事業環境は良好で、中国にとどまることを強制されているものではないと述べている。こうした米国企業は中国にいることで利益が得られると考えているし、計り知れない機会があるとも考えている。だから米国企業は中国にとどまっているのだ。新たな環境のもと、両国はコミュニケーションを強化して互いの意見の相違を適切に管理し、対立関係ではなく協力関係を広げていく必要があると確信している」

「しかし過去には両国の間で対立もあり、対立がもたらした結果は米国にとっても良いものでなかった。対立から米国は何を得たのか?私には全く分からないし、唯一の結果は米国が打撃を被ったということだけだ。中国はこれまでもそのような対立を乗り越えてきたし、これからも乗り越えていく」

「我々は米国との関係においては、習国家主席が言ったように、対立せず、衝突せず、互いに尊敬し合うウィンウィンの協力関係を築きたいと考えている。実際、両首脳の電話会議では、バイデン大統領自身も衝突や対立を起こさないことの重要性を述べていた。我々のレベルでは、両首脳の間で交わされた共通認識を完全かつ忠実に確認して実行し、中米関係を健全で着実な成長軌道に戻すために全力を尽くすことが重要だ」

「サイバー攻撃を開始する能力や配備できる技術について言えば、米国はチャンピオンであると言いたい。この問題についてあなた方が他国を責めることはできない」

「米国や西側諸国が国際世論を代表することはない。人口規模であろうと世界の潮流であろうと、西側諸国は国際世論を代表することはない。米国は世界の代表ではないし、米国側が普遍的な価値や国際世論を語る際に我々が願うのは、そのようなことを言って自身が心配にならないのか考えることだ。米国が代表するのは米政府についてだけだからだ。世界の圧倒的多数の国々は、米国が提唱する普遍的な価値観や米国の意見が国際世論を代表すると認識していないだろう。また、それらの国々は、少数の人々によって形成されたルールが国際秩序の基礎をなすとは思わないだろう。国務長官とサリバン氏の冒頭発言が(想定と)かなり違ったものになったため、私の発言も若干違ったものになった」

王氏「内政干渉には断固反対」
王毅氏 「私は楊潔篪政治局員より手短に話したいと思う。ブリンケン、サリバン両氏は長年中国との関係に関与してきた。あなた方は中国の国民にとって真の友人でもある。そして私は本日お会いできて感謝している。中国の代表団が米国の招待を受けてここにいる。サリバン氏が発言した通り、アンカレジは中国と米国を空路でつなぐ中間地点であり、燃料補給地点としてフェアであり、そして両国が中間地点で会える場所だ」

「中国はこれまでも、そしてこれからも、到底是認できない米国からの非難を受け入れない。過去数年間、中国の正当な権利や利益は抑圧を受け、中米関係を未曽有の困難な時期に陥れている。これは両国の国民の利益を傷つけ、世界の安定や発展に打撃を与えている。この状況はこれ以上続いてはならない」

「中国は米国側に、意図的に内政干渉をする覇権的な行動を完全にやめるよう促す。これは長年の懸案であり、すぐに変えるべきだ。今こそ変えるべきときだ。特に3月17日、米国は香港問題に絡めて中国への制裁を強化した。中国の国民は内政干渉に対して怒りを覚えている。中国側は断固としてこれに反対する」

「アンカレジは中米の中間点だが、結局は米国の領土だ。そして私は中国の代表団が米国の招待でここを訪れることを受け入れた。しかしながら、ちょうど我々が出発する前、米国は新たな制裁を成立させた。これはゲストを招く国がとるべき手段ではないし、米国が中国との交渉で有利な条件を引き出すための策略と思っている。しかし、こうした計算は誤っており、単に米国の脆弱さ、弱さを映したものにすぎない。中国の地位を揺るがしたり、それらの問題を解決したりすることにはならない」

「習近平国家主席とバイデン米大統領の電話協議が春節前夜にあったことはとても重要なことだと言いたい。電話協議では中米関係を正しい軌道に戻す道筋に向けた一定の共通理解に至った。そして国際社会は今日、明日と続く我々の対話を注視している。両国が友好や誠実さを説明するかどうかを注視している。対話が世界にとって前向きな兆候となるかどうか注視している。今日と明日に何が起きるかみて、もし米国がその気になるなら中米両国はこの責任を果たし、与えられた任務をやり遂げるべきだと思う。このあたりでやめておく。ありがとう」

【関連記事】
「聞いた話と違う」米中外交トップ会談、冒頭発言全文(下)

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米英カナダも対中制裁 ウイグル問題でEUと足並み

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22C1H0S1A320C2000000/

『米国、英国、カナダは22日、中国での少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害にあたるとして、中国政府当局者らへの制裁をそろって発表した。欧州連合(EU)に続く制裁で、主要国が足並みをそろえた。米欧と中国の対立が一段と鋭くなる一方、日本の対応も焦点となりそうだ。

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米国務省、対中制裁への同調「日本が判断」
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【ワシントン=中村亮】米財務省は22日、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与したとして中国政府当局者2人に制裁を科したと発表した。人権をめぐり激しい応酬となった先週の米中高官協議直後に制裁を発動し、ウイグル問題で譲らない姿勢を鮮明にした。

ブリンケン国務長官は声明で「国際的に非難が広がるなかで中国がウイグル自治区でジェノサイド(民族大量虐殺)や人道に対する罪を続けている」と強く批判した。「我々は世界中の同盟国と連携し、中国による犯罪行為の即時停止と犠牲者のための正義を訴えていく」と強調した。

米財務省は、ウイグル自治区の公安トップを務める陳明国氏を制裁対象に指定した。同区の治安対策などを担う組織「新疆生産建設兵団」の共産党委員会書記、王君正氏にも制裁を科した。

財務省は声明で「少数民族に対する深刻な人権侵害に関与し、それは恣意的な拘束や厳しい身体的虐待を含むとされる」と指摘。「残虐行為がウイグル自治区で起きるかぎり、中国当局は報いを受ける」と説明し、追加制裁を辞さない構えを見せた。制裁対象になると米国にある資産が凍結され、米企業との取引も禁じられる。

18~19日に米アラスカ州で開いた米中高官協議では、ブリンケン氏が中国によるウイグル族への弾圧について「深い懸念」を示した。これに対し、中国の外交を統括する楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は「内政干渉には断固として反対する」と猛反発していた。

米英カナダ外相、共同声明で人権侵害を非難
一方、英外務省は22日、カナダの外相、米国務長官との3外相による新疆ウイグル自治区の人権問題に関する共同声明も発表した。声明では「中国政府自身の文書や衛星写真、目撃者の証言などから(人権侵害の)証拠は圧倒的だ」と制裁の正当性を訴えた。人権侵害の具体例として宗教の自由への制限や強制労働、強制不妊手術などを挙げた。

中国政府に対しては「国連からの独立した研究者やジャーナリスト、外交官を含む国際社会が新疆ウイグル自治区へ妨害なくアクセスできること」を要求。「我々は中国の人権侵害にスポットライトを当てるために、引き続き協力する」と強調した。

英は中国当局者4人に制裁、外相「米欧団結の合図」
【ロンドン=中島裕介】英国のラーブ外相は22日の議会下院の演説で、中国当局の少数民族ウイグル族への扱いが人権侵害にあたるとして、中国当局者に制裁を科すと表明した。同日に同じ趣旨の制裁を決めた欧州連合(EU)や先に制裁を実施している米国と足並みをそろえ、中国の人権侵害に包囲網を敷く。

ラーブ外相は中国の人権問題に対する制裁を決断した(写真は16日、英議会にて)=ロイター

制裁は新疆ウイグル自治区の幹部など中国当局者4人と同地区の治安対策や警察を担当する1団体を対象にした。発表と同時に発動し、英国内での資産の凍結や英国内への渡航の禁止を科す。英国はEU離脱に伴い、2020年7月から国際的な人権侵害案件の加害者に独自の制裁を科す制度を設けている。

ラーブ外相は22日の声明で「多数の拘禁と強制不妊手術の報告を含む新疆ウイグル自治区での様々な人権侵害の証拠は無視できない」と指摘。「国際的なパートナーと協力して、的を絞った制裁を科した」と語った。

英外務省は「米国やカナダ、EUによる集中的な外交の一環として制裁を科した」と説明した。国際連携については「北京(中国政府)によるこの地域での差別的な行動を終わらせることで団結している明確な合図だ」とも強調した。

英国は15年に中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に主要7カ国(G7)で最初に参加するなど、最近まで中国と蜜月関係にあった。だが新型コロナウイルスの初動への疑念や香港問題をきっかけに、中国への批判的な見方が急速に高まっていた。

ジョンソン政権は16日に公表した外交・安全保障の方針で中国の人権問題には毅然と対応する一方、経済や気候変動問題での連携を続ける意向を示した。与党・保守党内では対中強硬派がこれを「弱腰だ」と批判している。一部の議員は議会で審議中の貿易法案に、「ジェノサイド(民族大量虐殺)」が認定された国との通商関係を見直す条項を追加しようとしている。

カナダも発表、「当局者の責任追及」

【ニューヨーク=白岩ひおな】カナダ外務省は22日、中国で少数民族ウイグル族の「重大かつ組織的な人権侵害」が行われているとして、中国の当局者らに制裁を科すと発表した。米国、英国および欧州連合(EU)と連携し、新疆ウイグル自治区の公安当局幹部ら4人と1団体に制裁措置を講じる。

カナダのガルノー外相は「中国による少数民族の抑圧に終止符を打つ」と表明した=ロイター
人権侵害に関与したとみられる4人に資産凍結と渡航禁止の制裁を科すほか、同地区の治安維持や警察機能を担う新疆生産建設兵団公安局を制裁の対象とする。

カナダ外務省は中国が同地区で宗教や民族を理由に100万人以上を恣意的に監禁し「政治的再教育や強制労働、拷問、強制的な不妊手術などの組織的な人権侵害」を行った証拠が多数あると指摘した。中国は人権侵害を否定している。

ガルノー外相は「深刻な人権侵害に強い懸念を抱いている。イスラム系少数民族への組織的な抑圧に終止符を打ち、当局者の責任の追及を求める」と述べた。中国に対し国際機関による調査などを念頭に、独立した専門家による視察などの受け入れを求めていくとした。
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梶原誠
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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別の視点 中国の人権問題への西側政府の毅然とした行動が目立ちますが、企業はどうでしょうか。本日日経電子版オピニオン面で翻訳を掲載したThe Economistの「中国と対峙するための条件」によると、グローバル企業は中国での事業について「非常に満足」(独シーメンス)、「目を見張るばかり」(米アップル)、「素晴らしい」(米スターバックス)などと手放しなほめようです。企業の中国賞賛は利益重視の株主向けですが、仮に自社につながる中国内の供給網に人権を軽視する行為が見つかった場合は、声をあげなければなりません。

2021年3月23日 8:27いいね
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滝田洋一
日本経済新聞社 編集委員
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ひとこと解説 米欧が足並みをそろえた中国批判。日本はどうする、と人ごとのように言う前に、英BBCによる一連の報道をご覧ください。
2021年2月5日には「ウイグル女性、収容所での組織的レイプをBBCに証言」と伝えています(日本語版、以下同)。「中国の『思想改革』収容所」(19年6月19日)、「中国政府、ウイグル族を『洗脳』 公文書が流出」(19年11月25日)を見ても、地道な実態追及が行われてきたのが分かります。
「中国の収容所、ウイグル族のモデルが内部を撮影」(20年8月5日)など、内部の様子が白日の下にさらされだしたのです。もちろん中国当局は反論しています。どちらに説得力があるか。比較してみてください。

2021年3月23日 8:26いいね
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脱炭素で30年目標策定 削減幅拡大、首相が米に説明へ

脱炭素で30年目標策定 削減幅拡大、首相が米に説明へ
政府、月内に有識者会議
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『政府は2030年までの温暖化ガス削減の新たな目標を策定する。従来目標より削減幅を広げ、50年に排出量を実質ゼロにする脱炭素社会の実現に向けた道筋を明確にする。30年の目標を重視する米欧の動きを意識し、遅くとも主要7カ国首脳会議(G7サミット)がある6月までに固める。

米欧は中長期だけでなく、30年の数値に重きを置く。昨年、欧州連合(EU)が90年比で55%減、英国は同68%減と高い目標を掲げた。4…

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昨年、欧州連合(EU)が90年比で55%減、英国は同68%減と高い目標を掲げた。4月には米国やカナダも30年の目途を打ち出す方向だ。

菅義偉首相が4月前半の訪米時にバイデン米大統領へ方針を説明する。1月に発足したバイデン政権は気候変動を重要政策と位置づける。

米国は4月22日に主要排出国などを集めた気候変動に関する首脳会議(サミット)を開く。英国が議長国を務める6月のG7サミットでも脱炭素が主要議題になる。

首相は9日、小泉進次郎環境相に気候変動担当を兼務させた。内閣官房には気候変動対策推進室を新設した。週内にも首相と関係閣僚が協議し、3月中に産業界の代表や専門家らによる有識者会議も立ち上げる。

日本の現時点の30年目標は、安倍晋三前政権が15年に掲げた「13年度比で26%減」だ。首相は就任直後の20年10月に50年の脱炭素社会の実現を表明しており、現行の計画のままでは達成は難しい。

具体的な目標値は今後詰める。世界の研究者による組織「クライメート・アクション・トラッカー」はパリ協定が掲げる気温1.5度以内の上昇抑制の目標達成には13年比60%以上の削減が必要とみる。

温暖化ガス削減のシナリオ分析に詳しい国立環境研究所の増井利彦・統合環境経済研究室長は「日本もEUの90年比55%削減のような思い切った数字を検討すべきだ」と話す。

政府内で米国との同盟強化に共同歩調は欠かせないとの意見が強まっている。首相は18日の記者会見で、日米首脳会談を巡り「気候変動などの様々な課題で連携するとお互いに確認しあいたい」と語った。

日本は当初、11月に英国で開く第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向けて示す方針だったが前倒しする。政府はエネルギー基本計画の改定に合わせ、夏までに30年度の再生可能エネルギーなど電源構成比率をまとめる。

現時点の計画では30年度の再生エネ比率は22~24%で、上乗せする必要が生じる。水素やアンモニアといった新たなエネルギーの導入や、石炭など化石燃料の削減も前倒しが欠かせない。

企業も追加の対応を迫られる。電力を全て再生エネで賄うことを目指す国際的な企業連合「RE100」に加盟する300社弱をみると、欧米企業は8割超が30年を達成時期にしているのに対し、日本企業は7割が50年だ。

米アップルは自ら太陽光発電所の建設に関わり、すでに自社事業の電力を100%再生エネにした。30年には供給網を含めた排出量実質ゼロを目指しており、部品を供給する企業に再生エネなどによる製造を促す。

米マイクロソフトは再生エネと植林、二酸化炭素除去の技術を組み合わせ、30年までに自社の排出量を上回る削減をめざす。

自動車産業は欧州勢を中心に急速な電気自動車(EV)シフトに動く。高級車大手のボルボ・カー(スウェーデン)は30年までに新車販売をすべてEVにする計画だ。

日本勢も日産自動車やホンダなどが排出量実質ゼロを掲げる。いずれも50年に設定しており、どこまで前倒しできるかが課題になる。

首相官邸が経済産業省や環境省など複数府省にまたがる課題の調整を主導する。

経産省などは根拠が固まらない段階で早期に国際社会に数値を示すのに慎重だった。電源構成比率を定める「エネルギーミックス」をまとめ、30年の具体的な目標の設定に取りかかる段取りを描いていた。

加藤勝信官房長官は一連の国際会議に向け「30年の削減目標を示す時期も決めていく必要がある」と説く。「水素、洋上風力などの最大限の導入をはじめ、エネルギー供給のあり方や地方の脱炭素化を幅広く議論したい」とも話した。

30年目標、再生エネ上積み焦点 「40%以上」に賛否

新しい温暖化ガス削減目標の設定では、発電量に占める再生可能エネルギーの比率を2030年度までにどこまで上積みできるかが大きな焦点になる。発電部門は日本の二酸化炭素(CO2)排出量の約4割を占める。原子力も含めた「脱炭素電源」の比率を高めることが、削減目標の深掘りには欠かせない。

今夏にも新しい電源構成を策定する経済産業省は22日までに、再生エネ比率の新目標について経済団体や事業者にヒアリングを実施した。経済同友会は30年に40%、再生エネ導入に積極的な大手企業が集まる日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は最低で約50%を目指すべきだと主張。足元の18%や今の政府目標である22~24%から大幅な上積みを求めた。

40~50%に引き上げる道のりはまだ見通せない。課題の一つが設置場所の制約。森林を除いた平地などの単位面積あたりの再生エネ発電量をみると日本はすでに世界最大になっている。

12年に始まった再生エネ電力を固定価格で買い取る制度(FIT)のもとで狭い国土に急速に導入した結果、事業者と地元住民との摩擦も目立つ。条例で設置を禁止する自治体も増え、新規案件の障害になっているとの声が事業者からあがる。ヒアリングで同友会は「(40%を目指す上での手段は)検討している最中」などとし、有識者から「裏付けがあってこその目標提示だ」などと指摘が出た。

家計や企業の負担も課題だ。FITの買い取り費用は20年度見込みで既に3・8兆円に上り、標準的な家庭で月800円弱を負担する。意欲的な再生エネ目標を示す経済団体側も一層の負担増には消極的だ。

ここ数年の導入量から見積もると、再生エネの比率はこのままだと「30年に3割に届くかどうか」(経産省幹部)という。

上積みには政府全体で普及を後押しすることが重要になる。農地の転用では農林水産省、環境アセスメントの効率化では環境省の役割が大きい。特に重要なのが住宅・建築物を所管する国土交通省だ。家庭部門は日本の排出量の15%を占める。住宅の省エネや再生エネ設備の設置を促す取り組みの強化が必要になる。

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深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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ひとこと解説 新産業育成と雇用創出の観点で脱炭素を推進できるか。
欧米での脱炭素政策では、雇用創出力の高い新産業としての再エネの育成に重きが置かれている。企業でのコスト負担を和らげるためのインセンティブとして、カーボンプライシングを導入しながら、環境投資への炭素税収の還元やカーボンクレジットの獲得機会を提供している。日本での脱炭素の議論はコストに目が行きがちで、特にそれは自動車産業で顕著だ。脱炭素を加速するためには、自動車政策と発電政策をセットにし、EV化で生まれる新しいエコシステム全体での雇用創出を見据えながら、カーボンプライシングの導入議論を加速すべきだ。まずは企業や省庁での縦割りの打破が必要となる。

2021年3月23日 7:28 (2021年3月23日 8:21更新)
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高村ゆかり
東京大学未来ビジョン研究センター 教授
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ひとこと解説 深尾さんのコメントに深く同意。日本の温室効果ガス排出量の約85%がエネルギー起源のCO2であることを考えると、2030年の温暖化目標は、2030年のエネルギーのあり方をどう描くかが鍵を握る。エネルギーインフラの整備・転換にかかる時間を考えると2030年の姿が透けて見えるのは確かだが、現状からの手堅い積み上げだけではなく、2050年カーボンニュートラルに向けたエネルギーと産業の構造転換を促す、そのための政策を動員する国の意思を示す目標設定が必要だろう。洋上風力の野心的な目標設定が、内外の企業の参入を促し、次世代の産業化の動きをつくっているようにである

2021年3月23日 8:21いいね
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