米中、ぶつかる国家観 経済から対立軸移る

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 ※ 『清朝と北京議定書を結んだ8カ国に1つだけアジアの国が入っていた。日本である。「喜んで人の鼻息をうかがい、米国の戦略的属国となっている」。中国外務省の趙立堅副報道局長は17日の記者会見で、日本が再び「西洋」に加わらないよう激しい言葉でけん制した。

日米2プラス2の成果文書では、中国の脅威に関する強い危機感を鮮明に示した。経済や貿易で対中依存度が高い日本に中国が揺さぶりをかけるのは自明だ。米国との同盟関係をより一歩進めた日本の胆力も問われる。』…。

 ※ 国家戦略策定の要諦は、「国家・国民の存立の基盤の確保」だ…。

 ※ 日本国もどの国も、「国家の生き残り」をかけて、「国家戦略」を策定・実行して行く…。

 ※ 言葉での「脅し」や「罵り」「挑発」、「国内向けのパフォーマンス」といったことは、関係ない…。

 ※ 淡々と、「国家の生き残り」に向かって、策を立て、実行していくだけの話しだ…。

『異例の非難合戦で幕を開けた米国と中国の外交トップによる2日間の協議が19日、終了した。人権や経済で同盟国と組んで中国封じ込めを狙う米国と、軍事や内政で強権を誇示する中国。超大国の衝突は政治体制や国家理念にも立ち入る新たな次元に突入した。

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氷点下の米北端、アラスカ州アンカレジ。18日、ブリンケン米国務長官は「新疆ウイグル、香港、台湾。米国へのサイバー攻撃と同盟国への経済的な強制行為を含む、中国の行動に対する私たちの深い懸念を提議したい」と切り出した。「どれも世界の安定を保つルールに基づく秩序を脅かし、単なる内政問題ではない」と、米中関係史に残る応酬の口火を切った。

「中国には中国式の民主主義がある」「米国民の多くは民主主義への信頼を失っている」。中国外交トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は報道陣のカメラの前でまくしたてた。

新型コロナウイルスの封じ込めにいち早く成功した習近平(シー・ジンピン)国家主席を頂点とする共産党の一党支配こそ、米国式の民主主義に代わる優れた仕組みだ。楊氏はそう言い放ったのである。

米中関係の変質と中国が置かれる立場の変化が、ここに表れている。

トランプ前政権の対中圧力は2国間の経済取引だった。高い関税や中国製のハイテク部品…

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トランプ前政権の対中圧力は2国間の経済取引だった。高い関税や中国製のハイテク部品排除などをちらつかせ、貿易合意や農産物購入で譲歩を迫った。

同盟で囲い込み
バイデン政権は米中2国間の取引でなく、同盟国や友好国との協調で仲間を増やし、中国を囲い込んで圧力をかける手法をとる。ウイグルやチベットでの人権侵害や香港、台湾の民主主義への圧迫など、中国の政治体制に踏み込む覚悟を見せる。

米国は手順にもこだわった。日本、オーストラリア、インドを交えた4カ国のオンライン首脳協議、そして日韓との対面による外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を済ませた後に、ワシントンと北京の中間だが米国の領土であるアラスカに中国代表団を呼んだ。「強い立場で中国と向き合おうとするバイデン大統領の意思の表れだ」と、オバマ政権時代にアジア政策を担ったダニエル・ラッセル元国務次官補は指摘する。

一見劣勢に立ちながら、米国との対話を求めた中国の狙いは世論への呼びかけだ。

「あなた方は中国にそのようなことを言う資格はない!」。中国の官製メディアはブリンケン氏に怒りをぶつける楊氏を英雄のように扱った映像をさかんに流す。

120年前の屈辱

初日の協議後、共産党機関紙の人民日報系メディアが「拡散」した写真が中国のSNS(交流サイト)で話題を呼んだ。1901年に西洋列強の8カ国連合が義和団の乱を受けて当時の清朝に北京議定書を結ばせる場面と、今回の米中協議を比較したものだ。

北京議定書で清朝は巨額の賠償金をのまされ、滅亡への道を転げ落ちていった。中国人のだれもが知る「屈辱の歴史」の一幕である。

それから120年。干支(えと)も60年に1回の同じ「辛丑(かのとうし)」だ。西洋列強に国土を踏みにじられた中国が共産党の指導の下で反撃に出る――。党の創立100年である今年、習指導部は歴史的な転換点の演出へ、楊氏と王毅(ワン・イー)国務委員兼外相を北京から6000キロも離れたアンカレジにわざわざ派遣したのだ。

米ソ冷戦よりはるかに古い「東西対立」の再現。米中衝突の深化は世界の懸念材料だ。新型コロナの克服や気候変動といった地球規模の課題で米中が妥協できる余地も狭まりかねない。

清朝と北京議定書を結んだ8カ国に1つだけアジアの国が入っていた。日本である。「喜んで人の鼻息をうかがい、米国の戦略的属国となっている」。中国外務省の趙立堅副報道局長は17日の記者会見で、日本が再び「西洋」に加わらないよう激しい言葉でけん制した。

日米2プラス2の成果文書では、中国の脅威に関する強い危機感を鮮明に示した。経済や貿易で対中依存度が高い日本に中国が揺さぶりをかけるのは自明だ。米国との同盟関係をより一歩進めた日本の胆力も問われる。

2日間の協議を終え、ブリンケン氏は記者団に気候変動問題などで中国と「利益を共有する点がある」と述べた。

「中米関係の本質はゼロサムゲームではない」。中国側も発表文で米国との協力に意欲を示す一方、次のように警告した。「中国共産党の政権運営の地位と制度の安全を損なうことは許さない。これは触れてはならないレッドラインである」

旧知の仲であるバイデン氏と習氏。新次元の米中衝突を解く機運をつくれなければ、世界の混迷は決定的になる。

(ワシントン支局長 菅野幹雄、中国総局長 高橋哲史)

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