データが呼んでいる コロナ対策、数字で裏付けを

データが呼んでいる コロナ対策、数字で裏付けを
経済部長 藤井一明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF188RM0Y1A310C2000000/

※ 『▼パソコンやタブレット端末を持たない世帯の割合は年収400万円未満やひとり親の場合、約3割にのぼった。

▼オンライン授業を落ち着いて受けられる環境が「ある」と答えた割合は、高い所得の世帯ほど大きくなった。

▼臨時休校の前後を比べると、成績が下位の層は勉強時間がほぼ半減した。』…。

 ※ じゃあ、現実的な「策」として、どういうものがあるんだ?

 ※ パソコンやタブ端末を、持てば問題は解決するのか?

 ※ そうじゃないだろう…。

 ※ そもそもが、「十分な速度が出る、ネット回線が引かれていない。」という問題もあるんだろう…。

 ※ じゃあ、そういう「回線が引ける、補助金」「税金の控除」みたいなものを出せば、問題は解決するのか?

 ※ そうじゃないだろう…。

 ※ そういう補助金・減税策出しても、「接続の設定」ができたり、「機器を使いこなしたり」できるのか?

 ※ そういう、子供を支援する親のスキルは、当てになるのか?

 ※ どこまで行っても、結局は、経済力と能力と意欲、学習力なんて問題に突きあたる…。

 ※ そこを「解決」「突破」しようと、様々に試行錯誤・努力を重ねては来たが、「目覚ましく成功した事例」は無い…。

 ※ それでも、未来の日本国のためには、じりじりと、一定の予算を割いて(さいて)「デジタル人材育成策」を、根気よく打って行く他はない…。

『東京商工リサーチによると、国内の企業の倒産件数は2月、446件で前年同月を3割強も下回った。2月としては過去50年間で最も少なかった。半世紀前といえばリーマン・ショックやバブル崩壊よりもはるか先、1970年代の石油危機までさかのぼれる。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた緊急融資などで足元の倒産は低めに抑えられている。

一方で暮らしの非常事態を伝える数字も目立つ。2020年の生活保護の申請件数は…

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2020年の生活保護の申請件数は厚生労働省が調べた速報で計22万3622件に上り、前年に比べ1672件増えた。前年からの増加は比較できるデータのある13年以降、初めて。昨春に緊急事態宣言が発令され、4月の申請件数は前年同月に比べ一気に25%も伸びた。

20年は自殺者も増えた。厚労省と警察庁の統計によると、19年よりも912人多い2万1081人で、前年を11年ぶりに上回った。前年より23人少ない1万4055人の男性に対し女性は935人多い7026人だった。極度のストレスを抱え、保健、医療、福祉、教育などの面で救いの手を求める人々の広がりを映している。

経済学者や官僚らの間でおなじみとなってきたアルファベット表記の言葉に「EBPM」がある。英語の「Evidence Based Policy Making」の頭文字をとり、「証拠に基づく政策立案」とも訳される。印象や思い込みに左右されないように、数字の裏付けをもとに効果的な政策を探る取り組みを指す。科学の手法を政治の意思決定に持ち込もうと、英国のブレア政権や米国のオバマ政権が挑んできた。

2月、内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」を設けた背景にも自殺や貧困を物語る「証拠」の集積があった。EBPMの素地はできている。これから政策の効果を測るためには困窮する人々に配る給付金の対象や規模、時期について絶えざる検証が欠かせない。

対策の速度と正確さを同時に高める狭い道を通ろうとするなら、政府は民間や学界の知見を積極的に吸い上げるべきだろう。貴重なデータやノウハウがまだまだ眠っていると見込まれるからだ。

政官民でEBPMの歯車が回る様子を英国で学んだ三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林庸平主任研究員は「手元に適切なデータがないなら、自分たちで取りに行く」ことを心がけている。同社は新型コロナが教育に及ぼす影響を探るため、小学生から高校生の子どもがいる世帯の親、2千人にアンケート調査を実施した。昨年8月にまとめた報告書では、所得や環境の違いが招く格差の光景を数字とともに照らし出した。

▼パソコンやタブレット端末を持たない世帯の割合は年収400万円未満やひとり親の場合、約3割にのぼった。

▼オンライン授業を落ち着いて受けられる環境が「ある」と答えた割合は、高い所得の世帯ほど大きくなった。

▼臨時休校の前後を比べると、成績が下位の層は勉強時間がほぼ半減した。

こうした状況を放置すれば、子ども1人当たりの生涯所得は110万~170万円ほど失われ、全体で15.9兆円減るとの推計も示した。小林氏は課外活動や進路選択も含めた分析を第2弾として5月にもまとめるという。

商工リサーチは東京大学の政策評価研究教育センターと組み、3月1日、オンラインでセミナーを開いた。行動の自粛が企業の売り上げや雇用に与えた影響に関する共同調査を分析。参加者から「失業率と自殺率の相関が高いのに、職を失った人への支援が不十分」「一部の人手不足は解消しておらず、労働力の移動がうまく進んでいない」などの意見が出た。

商工リサーチ情報部の原田三寛部長に手応えを聞くと、特別企画として昨年2月から今年2月まで13回を数える企業へのアンケート調査で回答数が1万社をなかなか割らない点に驚いていた。1万社は日銀短観の対象数に匹敵する。「データが『現状を伝えたい』と呼んでいる気がするんです」。数字を見れば資金繰りはなんとかしのいでも、休業や廃業が脳裏をかすめる経営者らの日常が浮かんでくる。

コロナ禍の打撃を示すデータを丹念に拾い集め、政策を練り上げる取り組みは政官民の各層で広がってきた。あとは説明責任を果たしながら、どう実践していくか。そこには不安がくすぶる。

収入が落ち込んだ世帯に30万円を配る案が唐突に取り下げられ、10万円の一律給付が決まったのは20年4月。変更した明確な根拠は示されなかった。再開か停止かで揺れ続ける需要喚起策「Go To」事業については感染拡大との関係や消費への寄与度などの分析により運用の改善につなげられるはずだが、情報開示は乏しい。

経済学と政治の関わりを考えるときに忘れられない言葉がある。16年3月、当時の安倍晋三首相がノーベル経済学賞の受賞者であるジョセフ・スティグリッツ、ポール・クルーグマン両氏と相次いで意見交換し、その議論は後の消費増税の先送りが決まる重要な伏線となった。「ノーベル賞を取らなければ話を聞いてもらえない」。日本人の経済学者は低い位置付けを自嘲するように語った。

箔付けを意識するのではなく、データが発する声に耳をすまし、必要度や緊急度を判定する。その繰り返しが政策を進化させる。

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