プログラミング、つまずいたから つまずかせない 教育を変革 EdTechの旗手(4)

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※ こういう統計が、出てるんだな…。

※ オレは、レベル1とレベル2の間くらいか…。

※ レベル3で、やっとスクリプト使ったり、Linux系でサーバ立てたりとかか…。情シス受かったりとかか…。

※ 政府が、やたら「プログラミング教育」を言っているから、小学校教員も、情シス必須…、ということになるだろうな…。

※ 現行、小学校教員は、女子の「文学部」「教育学部」出身者が多いだろう…。

※ 源氏物語、枕草子大好き乙女に、ゴリゴリ「プログラミング」「コンピューティング」を、強制するのか…。

※ ヤレヤレな話しだ…。

『わかりにくいところを熟知

「プログラミングで僕もつまずいたから、あきらめずに学習できるシステムが必要だと思った」。Progate(プロゲート、東京・渋谷)社長の加藤将倫(28)は、柔らかなビーズクッションに座りながら語る。東京大学の学生時代、プログラムを学ぶ「ゲート」(入り口)を創りたいと志して起業した。遊び心あふれるオフィスには卓球台やゲーム機器も置いてあり、柔軟な発想で学習ソフトを開発している…

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遊び心あふれるオフィスには卓球台やゲーム機器も置いてあり、柔軟な発想で学習ソフトを開発している。

加藤は「初心者がつまずくハードルをとにかく下げた」と笑顔を見せる。同社のオンライン教材は現在、国内外で200万人超が利用している。2020年から小学校でプログラミング教育が必修となり、親も「子供に聞かれたときのために」と学び始めた。学び直しをする社会人の需要もあり、この教材をきっかけにアイドルからエンジニアに転職した人もいる。新型コロナウイルスの影響で巣ごもりの時間が増えた影響もあり、会員数の伸び率は従来の2倍になった。

ふつうプログラムのコードはパソコンで書いていくが、「スマートフォンのほうが親しみやすい人もいる」。ブラウザだけでなく、アプリでも学べるようにした。Python(パイソン)やJavaScript(ジャバスクリプト)などのプログラミング言語ごとに細かくレベル分けしてある。レベルアップすると、いやし系キャラの「にんじゃわんこ」が祝福してくれる。

例えばウェブサイト制作につかう言語、HTMLを学ぶとする。サイト内の文字の大きさや関連ページへのリンクなど、コードを書き込むときは機能ごとに「開始タグ」と「終了タグ」を指定していく。リンクを貼るときは次のような具合だ。

Progate

まず開始タグとしてと打ち、参照を表すhrefという属性とリンク先のURLをここに盛り込む。さらに画面上でクリックしてもらう文言(ここではProgate)を指定し、終了タグのと書く。このとき、どこでスペースを空けるかや、ダブルクオーテーション(”)をつける場所などもイラストで丁寧に図示してある。
Progateのアプリは、初心者でもプログラミングを独学しやすいよう丁寧に設計している

「何のために学んでいるか、実感を得やすくした」というのもポイントだ。たとえば演習問題で、検索エンジンのGoogleにリンクを貼るためのコードを書く。このシステム上のプレビューで「Googleへ」と青文字で表示される。これをクリックすると、本当にそのサイトへ飛ぶようになっていて、身につけた技術が役立つんだと達成感がある。コードを書くときに分からなくなっても、別のいやし系キャラ「ひつじ仙人」がヒントを出してくれる。学習者の心が折れないような仕掛けが満載だ。

大学の授業にモヤモヤ感

加藤がコンピューターと向き合うようになったのは、母親の影響が大きい。父親の仕事の都合で、小学校から中学校のほとんどをオーストラリアで過ごした。そこで母が現地の大学で学び直すことを決め、専攻したのはコンピューターサイエンス。家でもパソコンで課題をこなし、簡単なゲームをつくると息子にも遊ばせた。加藤は「こんなのつくれちゃうんだ?」と、わくわくしたという。

ところが帰国して自分が大学生になると「挫折の連続だった」。東大工学部の電子情報工学科で、コンピューターの原理やプログラミングについて学んでいた。周りの学生を見渡すと、アルゴリズム(コンピューター上の計算手法)やソフトウエアのつくり方について、小中学生のころから学習してきた猛者も少なくない。「僕は文系脳」という加藤。「彼らはなぜすぐに講義内容を理解できるんだ」と焦りながら、なんとか食らいついている状況だった。

「実社会にどう役立つか」という成果が見えにくい授業も多かった。加藤はフェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグの半生を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」をみて、彼が学生時代にSNSを開発した姿に刺激を受けた。だが、大学の授業は「どうしたらフェイスブックみたいなサービスにつながるのか?」という加藤のモヤモヤ感を置き去りにして進んでいった。

日本のIT(情報技術)エンジニアは約109万人。世界4位ながら米国など上位3カ国との差は大きい。経済や社会の急速なデジタル化でIT人材の需要は高まり、日本は今後10年で約45万人の不足に陥るという経済産業省の予測もある。実社会は即戦力を渇望しているのに、大学の授業は対応できていないのではないかと加藤は疑問を抱いた。

そんなとき、のちにProgateの共同創業者となる同級生、村井謙太がプログラミングを学ぶための学生サークルを立ち上げた。村井は東大工学部の社会基盤学科で学んでおり、コンピューターサイエンスが専門ではなかった。サークルはあえてプログラミング技術が「バリバリな人」(加藤)ではなく、今は苦戦しているけれど飛躍したいと思う人が集まった。加藤も加わり、同じ悩みを持つ仲間たちと前進できることを喜んだ。

ただ、テキストを見ながら実験的にプログラムを組むだけでは、やはり実社会で役立つという手応えは感じられない。そこで「実際に仕事を受注してみればいい」とサークルのメンバーらで企業に営業をかけた。あるITベンチャー企業から受注したのはフリーランスの営業員らに営業活動をアウトソーシングするためのシステム開発。顧客企業との受発注や営業人材を管理するための画面が求められた。

勢い込んだ加藤の前に壁が立ち塞がった。この案件を仕上げるには、ウェブ制作に合うHTMLやPHPといったプログラミング言語を使う必要があると気づいた。加藤がもともと授業で習っていたのはロボット制御やアプリ開発にも利用するC言語やJavaなど別の言語だった。

せっかく受注した仕事。なんとしても完成させたい――。加藤は外部のエンジニアから即席の技術指導を受けつつ、寝る間も惜しんでシステムをつくり上げた。眠い目をこすりつつ、納入時には安堵の思いと達成感に包まれた。身につけた技術が社会とつながる実感も得られた。

プロゲートの加藤将倫CEO(東京都渋谷区)

渡米きっかけ、起業決心

自信をつけた大学3年の終わりごろ、起業へと踏み出すきっかけが訪れた。サークル活動を通じて知り合った起業家が、米国で開かれるテクノロジーと音楽・映画の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」に参加するという。「英語がしゃべれるなら、君も行ってみる?」と誘われ、すぐさま渡米の準備をした。

米国ではその起業家にIT関係者を紹介してもらうなかで、フェイスブックの創業初期のメンバーにも出会えた。案内してくれた自宅の豪邸ぶりに「度肝を抜かれた」。話を聞くと、創業時の社員の多くはすでに同社を離れ、ストックオプションで巨万の富を得ていた。大金持ちになったことに満足せず、新事業に挑戦する人もいる。加藤は「テクノロジーを駆使するこんな格好いい人たちがいるんだ」と起業家たちの生き方に衝撃を受けた。

その豪邸に集まっていた起業家から「ところで君はどんなプロダクトをつくっているの?」と質問されたのが忘れられない。日本の起業家の1人だと思われていたのだ。加藤は言葉に詰まった。どうにかプログラミングで仕事を受注できるようになったが、オリジナリティーのあるシステムで勝負しているわけではない。「あの時の自分が悔しくて、自分も世の中に役立つものを生み出したいと思った」。

大学4年になるとき、進路選択で悩んだ。どこかの研究室に入って、さらに大学院も目指すべきか。それとも……。脳裏に焼き付いて離れないのは米国の情景だった。「やりたいのは、いま起業することだ」と決心。プログラミングサークルの村井と共に、14年7月にProgateを立ち上げた。高校時代の友人らも誘い入れ、シェアハウスを借りて「一緒に飯を食いながらプログラミング教材をつくり込んでいった」。

試作品の段階から出資を決めたのは、ベンチャーキャピタルのイーストベンチャーズだ。同社マネージングパートナーの松山太河は「出会ったときから、加藤くんは社会を変えたいというエネルギーを持っていた」と語る。当初、利益が出なかった時期をイーストベンチャーズは資金面で支えた。成長したProgateが20年に合計4億円を資金調達したときも第三者割当増資に応じた。
高校の授業でも活用

先進的な理数系教育に取り組む「スーパーサイエンスハイスクール」の一つ、東京都立立川高校はProgateの教材を採用している。1年生の川崎哲平は素早いブラインドタッチで、Pythonのコードを打ち込んでいった。身につけた技術でいずれ、書籍を丸ごと翻訳するソフトを作りたいと目を輝かせる。同級生の柳沢大志はC#(シーシャープ)というプログラミング言語で、神経衰弱のゲームを一からつくり上げた。
都立立川高校では、ゲームのプログラミングを楽しむ生徒もいる

学校に使ってもらうなかで予期しない反応も返ってきた。立川高校の教諭、佐藤義弘は手取り足取り教えるProgateの教材に「とても丁寧に作ってある」と感心する。それと同時に「生徒を一段と成長させるには失敗から学ばせることも重要だ」と挫折の機会を与える必要も説く。加藤も「初心者を脱した人が、さらに自立できる教材にすることが次のステップだ」と考えている。教材の改善に終わりはないのかもしれない。

日本人のITスキルを向上させたいという思いは強い。小学校、中学校と豪州の現地校に通い、日本の存在感が低下していくのを肌で感じた。小学生のころは、日本のMDプレーヤーのような製品が「クールだ」ともてはやされた。ところが「次第にハードウエアじゃなくてソフトウエア、アイデア勝負の世界に変わり、日本が話題になることが減った」。

経産省はIT人材を7つのレベルに区分し、主要国の状況を分析している。「高度な知識・技能」に相当するレベル4以上の人材は、米国だと7割、インドで6割、中国は5割だった。日本は4割弱にとどまるという。若い頃からITに慣れ親しむとともに、世界で競争すべく厳しさに接することも必要かもしれない。
目指すはグローバル展開

加藤は世界にも目を向ける。18年、進出先に選んだのはアフリカだった。1990年代の内戦による打撃からの復興を遂げてきたルワンダと、かつてクーデターが頻発していたウガンダ。ともに経済の伸びしろが大きいと踏んだ。

だが「まだ成長初期のベンチャー企業が挑戦するには、やや時期尚早だった」。オンラインの課金ビジネスで採算をとるには、まだ難しい市場だと判断して撤退した。「もっと会社が成長したら戻りたい」と再挑戦の決意を胸に秘める。

同年にはインドでも市場開拓を始めた。IT企業が集まる南部のベンガルールに拠点を置き、学生を中心に20万人超までユーザーが増えてきた。小中学校から熱心にIT教育に取り組む親も多いなか、中途半端な理解のまま進学して困る人もいる。大学生を中心に、学び直すニーズがあるという。

さらに20年にはインドネシアに現地法人を設立し、インドネシア語のプログラミング教材を展開している。人口2億7000万人の同国はスマホの普及でデジタルサービス市場が急拡大し、スタートアップ企業も次々と登場してきたことで「エンジニアが不足している」。インドネシアの会員も10万人が目前という。

加藤は「日本の底力を発揮し、グローバルに価値を届けられる企業になりたい」と力を込めて語る。日本の「失われた30年」の間に米国のGAFA、中国のアリババ集団や騰訊控股(テンセント)などの海外企業が飛躍を遂げた。豪州で「日本が埋没していく」と感じた加藤は世界に勝負を挑み続ける。

=敬称略、つづく
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