ルネサス「自社か外部か」 半導体生産、見えぬ最適解 半導体ショック(2)

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『「今さら何を言っているんだ」。3月、台湾の半導体企業に勤める日本人技術者はこう吐き捨てた。かつて働いた半導体大手ルネサスエレクトロニクスを振り返り、語気を強める。「工場を持つのは悪だと教えられ、多くがリストラされた。ルネサスにもう自社生産の力はない」。同社が外部委託か自社生産で揺れるのを冷ややかにみる。

【前回記事】
半導体「台湾依存は危険だ」 米中対立で顕在化

「海外の競合が、台湾積体電路製造(TSMC)などの生産受託会社(ファウンドリー)に手数料を上乗せして『横入り』している…

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ルネサスの各部門のトップが集まった昨秋の会議。TSMCに世界中から注文が集中し、同社にルネサスが委託している製品の納期が見通せなくなり、対応策を議論した。自社で作れば外部委託に比べて電気代や材料調達費などがかさむ。ただ「顧客を待たせられない」との意見は根強く、TSMCに委託する一部製品を自社生産に切り替えることにした。

「TSMCの枠を1回外すと『必要になったからすぐにください』とはできない。覚悟をもった決断だ」とルネサス関係者は話す。背景にはファウンドリーとの力関係の変化がある。

半導体業界は2000年代から開発と生産を分離する水平分業が進んだ。ファウンドリーが生産を引き受け、米クアルコムといった主要メーカーは設計開発に特化。ルネサスもその流れに乗って委託を増やし、国内の生産拠点数を10年前の22から9へと減らした。その間に、特に先端の半導体をつくる技術でファウンドリーに追い抜かれた。

2月13日夜に起きた福島沖地震。ルネサスの主力工場、那珂工場(茨城県ひたちなか市)の電力供給は2時間強、途絶えた。同工場は11年の東日本大震災で被災した際も約3カ月間、生産を止め、その影響で車大手の工場の稼働が止まった。足元で車載半導体が不足し、フル生産状態が続くなか、稼働停止が長引けば再び「ルネサス・ショック」を起こしかねない。14日朝から数百人体制で装置の状態を調べ、16日から生産を再開。今回は影響の長期化を免れた。

「(外部の製造委託を活用して自社工場を最小限にする)『ファブライト』の方針は変わらない」。ルネサス社長の柴田英利はこう話す。平時なら効率を高められても、急変動する需要や災害時のような有事には対応が難しい。そこまで見据えて自社と外部の生産の比率をどうバランスさせるか。その解はなお見えていない。(敬称略)