中国、高速道路を35年に5割延伸 債務膨張、将来の財政負担に

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『【大連=渡辺伸】中国は中央政府が管轄する高速道路の総距離を2035年に19年末比で47%延ばす計画をまとめた。地域経済を底上げする狙いだが、すでに関連債務は100兆円に迫り、将来の財政を圧迫しそうだ。

交通運輸省が延伸計画をまとめた。中央政府が管轄する高速道路は19年末で10万8600キロメートルあり、これを35年に16万キロメートルまで延ばす計画だ。

省など地方政府の管轄分を含めると、高速道路全…

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省など地方政府の管轄分を含めると、高速道路全体では19年末で約15万キロメートルある。交通運輸省は「高速道路全体の35年の計画値はまだない」と説明するが、少なくとも20万キロメートル規模になる。米国連邦道路庁によると、20年時点で米国の高速道路は約9万8000キロメートルある。中国は高速道路の総延長ですでに世界首位だが、さらに差を広げる。

一般道路も含めたすべての道路の総延長も首位の米国に迫る。中国は19年末で501万キロメートルだが、35年には少なくとも600万キロメートル規模となり、米国(20年時点で約670万キロメートル)に近づく。

高速道路が延伸すれば各地域の特産品を北京や上海に届けやすくなる。北京や上海から観光客やビジネスマンが訪れやすくすることも狙う。建設工事による雇用創出も無視できない恩恵だ。

もっとも高速道路の経営そのものは厳しい。通行料金などの総収入は19年で5938億元(約10兆円)にとどまるのに、債務返済や補修費などの総支出は1兆788億元もあり、大幅な「赤字」だ。軍や警察の車両のほか、春節(旧正月)など大型連休中は通行料金がタダになることも収支悪化に拍車をかける。

支出のうち債務返済(元金と利子の合計)は8409億元と料金収入を上回っており、雪だるま式に借金が膨らむ。貴州省の場合、債務返済が収入の6倍にのぼっている。北京交通大学の趙堅教授は「交通量が少なく本来は必要でない地域に高速道路をつくったため、損失がでている」と指摘する。過剰債務による経営悪化が問題になったかつての日本道路公団を思い起こさせる。

地方政府は道路建設で雇用をつくり、関連産業を育てたい。完成後に道路がどれだけ利用されるかは二の次。趙教授は「地方政府の幹部らは数年の任期中の(経済成長などの)成果を優先している。建設後の債務返済は気にしない」と述べた。

政府などが抱える高速道路を巡る債務残高の合計は19年末時点で5兆8044億元(約96兆円)で、19年の国内総生産(GDP)の5.9%にあたる。中国の中央財政はいまは健全だが、少子高齢化で今後は社会保障支出が急拡大する。高速鉄道も関連債務が100兆円弱に達しており、道路と鉄道の「双子の債務」が財政を圧迫しそうだ。

李克強(リー・クォーチャン)首相は5日、全国人民代表大会で「地域ごとに高速道路の料金に差をつける施策を全面的に広げる」と表明した。道路の利用者が少ない地域では料金を下げ、利用者を増やす狙いだが、債務返済はさらに遠のきかねない。