アジアの大国連携探る インド取り込み、米が主導

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN126CP0S1A310C2000000/

『日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国による初の首脳協議は、中国の影響力の高まりを懸念するアジア太平洋の地域大国が米国の仲介で手を組む形となった。対中包囲網の色合いが強まるのを避けたいインドを取り込むため、米国が主導して新型コロナウイルスなどでの協力を打ち出して安全保障色を薄めた。

【関連記事】
日米豪印、対中国で結束 初の首脳協議 
米、中国対抗へ日本重視 安保・経済、期待大きく 

「野心的な新たな共同パートナーシップを立ち上げ、ワクチン生産を拡大する」。バイデン大統領は12日の協議冒頭で、4カ国によるワクチン協力の意義を強調した。

バイデン氏に続いてモディ印首相が発言したのもインドへの配慮の表れだ。日本政府関係者によると、ワクチンを軸とした協力の構想は米国の発案だったという。新型コロナの協力であればインドにとっても参加のハードルは低い。オースティン国防長官も日韓歴訪後にインドを訪れる。

トランプ前大統領は多国間連携に関心を示さず、4カ国の関係を発展させる機運は乏しかった。「インド太平洋地域は国際法に基づき、普遍的な価値を支持し、威圧から自由であると確認したい」。バイデン氏は名指しを避けつつも中国への対抗心をあらわにした。

日米豪印4カ国の連携構想が浮上したのは2006年。当時は中国との関係を重視する豪印が「対中包囲網になりかねない」と慎重な姿勢を崩さず、実現しなかった。ただその後、両国の中国との関係は激変した。

20年以降、中国は豪州産の食肉や大麦、ワイン、石炭などに輸入制限を課した。豪州と近い太平洋島しょ国のソロモン諸島やキリバスは台湾と断交し中国と国交を結んだ。中国が軍事施設を建設すれば豪州や米国にも影響が出かねない。

インドも対中貿易赤字の拡大に悩む。中国依存が高まるのを懸念し、20年には中国など15カ国が参加する東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加を見送った。国境係争地域での緊張も続き「印中関係は過去40年以上の間で最も難しい局面にある」(ジャイシャンカル外相)。

中国は人口が世界最多で、国内総生産(GDP)や軍事費も高い伸びが続く。アジアで中国と対峙する日豪印に米国が加われば人口、GDP、軍事費でいずれも中国を上回り、対抗軸を築ける。

次の焦点は18日に米アラスカ州アンカレジで開く米中会合だ。ブリンケン国務長官は中国外交担当トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員と会談し、王毅(ワン・イー)国務委員兼外相も同行する。中国はひとまず米との対話を試みるが、今後4カ国の包囲網が強まれば強硬姿勢を打ち出す恐れもある。

(ワシントン=永沢毅、加藤晶也)』

内モンゴルで勤務した首相候補の憂鬱 北京ダイアリー

内モンゴルで勤務した首相候補の憂鬱 北京ダイアリー
中国総局長 高橋哲史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM150YS0V10C21A3000000/

『11日に閉幕した今年の全国人民代表大会(全人代)で、最も注目を集めた会議だったかもしれない。内モンゴル自治区の代表団が開幕日の5日に開いた分科会である。

習近平(シー・ジンピン)国家主席が自ら出席した。「国家の共通言語と文字の普及に真剣に取り組まなければならない」。習氏は少数民族がそれぞれ独自の言語だけでなく、標準の中国語も話すべきだと訴えた。

公の場でモンゴル語を話すな、と言っているに等しい。同…

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同自治区では昨秋、小中学校で授業の一部をモンゴル語から標準の中国語に切り替え、保護者らの抗議運動にまで発展した。習氏の発言はこうした動きを許さないというメッセージだった。

習氏は形式上、内モンゴル自治区から選出された代表(議員)として全人代に出席している。初日に同自治区の分科会に顔を出すのは慣例だ。そこでの発言は中国共産党の重要政策を映し、必ずしも内モンゴルだけに向けたものではない。

しかし、今年は明らかに内モンゴルを標的にした言説が目立った。次のひと言もそうだ。「このつけは必ず払わせる!」。党機関紙の人民日報によると、習氏がこの言葉を発したとたん、会場はしーんと静まりかえった。

同自治区で起きた石炭業界の汚職に対する叱責だったからだ。習氏は不正に絡んだ関係者を何代にもさかのぼって洗い出し、徹底的に処罰すると表明した。

いまの党トップ25にあたる中央政治局には、かつて内モンゴル自治区の党委員会書記を務めた人物がいる。胡春華(フー・チュンホア)副首相だ。習氏の厳しい叱責は、実は胡氏に向けられていたのではないか。そんな臆測が広がったのもむりはない。

1963年生まれの胡氏は、2023年3月で任期が切れる李克強(リー・クォーチャン)首相の後継レースで先頭を走ってきた。

湖北省の農家に生まれ、16歳で北京大学に合格した秀才だ。李氏や胡錦濤(フー・ジンタオ)前国家主席と同じ共産主義青年団(共青団)の中枢を歩み、大学卒業後はチベット自治区でおよそ20年間も勤務した。

内モンゴル自治区のトップを務めたのは2009年から12年までだ。私は11年に同自治区のフフホトで、胡春華氏と立ち話をしたことがある。名刺を出すと「私も昔、チベットで地元紙の記者をしていたんですよ」とにこやかに答えてくれたのを覚えている。

胡氏は次の首相になれるのか。雲行きは怪しい。習氏が最高指導者に就いてから、「団派」と呼ばれる共青団の出身者が「貴族化、娯楽化」を批判され、人事で冷遇されてきたのは周知の事実だ。内モンゴルの一件で、胡氏には一段と強い逆風が吹く。

全人代は最終日に「全人代組織法」の改正を可決した。副首相をいまより機動的に任免できるようにする内容だ。22年秋の党大会で3期目入りをめざす習氏は、側近を次の首相候補として副首相に引き上げようとしているのではないか。そんな観測が広がる。

30年代をにらんだ習氏の長期政権に向けた体制固めが、さらに進む。
高橋哲史が執筆するニューズレターを隔週で配信しています。ワシントン支局長の菅野幹雄と「往復書簡」の形で、米中の「今」と「これから」を考えます。登録はこちら。
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高橋哲史 (たかはし・てつし)

1993年日本経済新聞社入社。返還直前の香港での2年間の駐在を含め、中華圏での取材は10年に及ぶ。2017年から2度目の北京駐在で、現在は中国総局長として変わりゆく中国の姿の取材を続けている。

これまでの記事はこちら
北京ダイアリーをNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Spotlight/Beijing-Diary?n_cid=DSBNNAR
Nikkei Asia

ミャンマー「流血の事態続いている」国連 軍を非難する声明

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210315/k10012915631000.html

『ミャンマーで治安部隊が抗議デモに発砲するなどして、13日からの2日間で少なくとも30人が死亡したと伝えられる中、国連の特使は軍を強く非難する声明を発表しました。今後、国連の安全保障理事会が、新たな行動をとれるかが焦点になります。

ミャンマーでは、軍のクーデターに抗議するデモが続いていて、地元メディアなどによりますと、13日と14日の2日間に治安部隊による発砲などで少なくとも市民30人が死亡し、これまでに亡くなった人は100人に上るとみられています。

ミャンマー問題を担当する国連のバーグナー特使は14日「自制と対話、それに人権と基本的な自由の尊重を求める安保理を含む国際社会の要請を軍が無視し、流血の事態が続いていることを強く非難する」とする声明を発表しました。

また、バーグナー特使は「近隣諸国や安保理のメンバー国と緊密に連絡をとり、事態の緩和に向けた国連の努力への支援を頼りにしている」としています。

その安保理は10日、治安部隊による発砲を非難し、ミャンマー軍に対して最大限の自制を促す議長声明を採択しました。

声明には、ミャンマー軍と関係が深い中国などの反対で、状況がさらに悪化した場合の対応は盛り込まれませんでしたが、死傷者が増え続ける中、安保理が今後、新たな行動をとれるかが焦点になります。
加藤官房長官「民間人への暴力を強く非難 直ちに停止を」

加藤官房長官は、午前の記者会見で「多数の民間人が死傷し、拘束者が発生している事態を強く懸念し、民間人に対する暴力が継続されていることを強く非難する。平和的に行われるデモ活動に対する銃を用いた実力行使は許されることではない。治安当局に対し、民間人への暴力を直ちに停止するよう強く求める」と述べました。

その上で「経済協力や制裁を含む今後の対応については、事態の推移、関係国の対応などを踏まえながら、動向を注視して、日本としても検討していきたい」と述べました。』

米 国務・国防両長官 “中国の脅威に 同盟国との連携強化を”

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210315/k10012915741000.html

『アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官は、日本への訪問を前にアメリカの有力紙に寄稿し、中国を名指しで批判したうえで「力を結集することで強くなれる」として、中国に対抗するためにアジア歴訪を通じて同盟国との連携の強化を目指す方針を強調しました。

アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官は、バイデン政権発足後、初めての外国訪問として15日から日本や韓国などを訪れるのを前に、14日、有力紙ワシントン・ポストに連名で寄稿しました。

このなかで両長官は「一部の国は国際秩序を脅かそうとしており、特に中国は力を行使して思いどおりにすることをいとわない」と中国を名指しで批判しました。

そのうえで「中国の攻撃や脅威に対抗しなければならないとき、われわれは力を結集することで強くなれる」として、今回の歴訪を通じて同盟国との連携の強化を目指す方針を強調しました。

また、新疆ウイグル自治区やチベット、それに香港での人権問題のほか、台湾や南シナ海の問題について「中国に責任をとらせる」と訴えました。

一方、両長官は「同盟国どうしの関係活性化にも力を入れている」として、歴史問題などをめぐって冷え込んでいる日韓関係の改善を促す考えも示唆しました。

今月18日には、米中の外交当局トップによる会談がアラスカ州で予定されていて、アメリカとしては同盟国との足並みをそろえたうえで中国との会談に臨む方針です。』

「日韓関係修復」の仲介に乗り出したバイデン外交

「日韓関係修復」の仲介に乗り出したバイデン外交
斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/22449

 ※ 安全保障の観点から、米日韓がからむ「有事」は、二つあるような気がする…。

 1、朝鮮戦争の時のように、北が韓国に向かって南進する。
 2、某国が某地域を併吞しようとして、戦略的要衝である島(候補は、2つある)を占領しようとする(あるいは、占領してしまう)…。
 3、これのコンボ

 1の場合→陸軍が中心となり、日本国は空・海軍の後方支援活動に回る
 2の場合→米日海兵隊や、空挺部隊、某地域全軍が中心となり、韓国は、北の南進に備えることになる
 3の場合→これが、最も厄介。おそらく、明確な「戦略」は、確立されてはいないような感じがする…。

 ※ いずれの事態においても、戦闘は「軍隊」間でのみ行われるのでは無く、「ミサイル合戦」や「工作員の破壊工作合戦」も生じるだろう…。

 ※ 「戦術核」が、使われる可能性だって、ある…。

 ※ 「民間人」も、多くが「巻き込まれる」ことは、必定だ…。

 ※ いずれ、南進に備えるためには、米韓の実戦的な「軍事演習」が不可欠だが、これも「コンピューター上のみの」机上演習にとどまってしまっている…。

 ※ そういうこともあって、米日は、そっちの方は、「放っておいて」、2の事態への備え・対策を、着々と打っていくことにしたように、見受けられる…。

 ※ ただし、いずれの「有事」も、それぞれ「単独」の事象として発生する確率は、低いと思われる…。

 ※ 1の有事にしても、過去の朝鮮戦争は、米+韓+日vs.ソ連+中共+北…、という構図の上に生じたものだった…。

 ※ 今回、危惧される「有事」も、結局は、大国間の「力比べ」の「派生」として生じる可能性が高い…。

 ※ よって、事態は、その時々の「世界の地政学的情勢」(欧州の状況、中東の状況、中東周辺(アフガン、中央アジアなど)の状況、東南アジアの状況、オセアニア・南太平洋島嶼国の状況などによることになり、流動的で、あらかじめ「こうなる」と確定することは、できない…。

 ※ ミャンマー事態も、そういう東南アジアにおける「力比べ」の一つの表れ…、とも見ることが、できる…。

 ※ 米韓間の2プラス2も、こういう「構図」の上に行われるものと、思う…。

『今回、米国務省詰めの米人ジャーナリストの多くは、ブリンケン長官が就任早々に、日韓両国訪問を決めたことを「大きな驚きと意外感」を持って受け止めた。なぜなら、これまで平時において歴代政権発足後、国務長官の最初の歴訪先は歴史的、地理的にも密接な関係にあるNATO(北大西洋条約機構)諸国が最優先とされてきたからだ。今回も、国務省が日程を正式発表する直前まで、ほとんどの米メディアが「国務長官が3月中にも欧州歴訪、その後にアジア諸国か」といった観測記事を流していた。

 従って、いきなり「日韓両国訪問」はアメリカの外交常識を破るものと言ってもいい。

 さらに加藤官房長官は12日、菅首相が「来月上旬、ワシントンを訪問、日米首脳会談を行う」と発表した。バイデン大統領が就任以来、直接対面の形で世界の指導者の中では、最初に日本の首相との会談に応じるのも異例中の異例だ。』

『米国務省報道官は去る10日、ブリンケン長官の外遊について声明を発表、「今月15-18日にかけて日韓両国を訪問」を確認した上で、その目的について「両国との同盟関係強化に向けてのアメリカのコミットメントを再確認するとともに、インド太平洋地域及び世界全体の平和、安全保障そして繁栄促進の意義を強調するため」と述べた。そしてより具体的に「茂木外相とは、2国間およびグローバルな諸問題を協議するほか、長官が司会役となりリモート形式で日本のジャーナリストたちとの座談会を行い、『日米同盟の将来』について討論する。韓国では鄭外相と2国間およびグローバルな諸問題を協議するほか、長官が司会役でリーモート形式で韓国のジャーナリストたちとインド太平洋および世界における平和、安全保障、繁栄促進に向けた『米韓同盟の重要性』について意見交換する」と付け加えた。

 しかし、この公式発表文を読む限り、今回ブリンケン長官訪日、訪韓のいずれにおいても、世界のどの国よりも最優先させた緊急性は見受けられない。

 では、真意はどこにあるのか?』

『結論から先に言えば、米国が今後「最も深刻なライバル」と位置付ける中国と向き合うため、バイデン大統領自身が、いずれも米国の同盟国でありながら冷却状態にある日韓両国間の関係修復を急務とみなしているからにほかならない。ブリンケン長官が日韓両国のジャーナリストたちとの座談会を通じ「日米同盟の将来」「米韓同盟の重要性」について意見交換することにしたのは、まさにその糸口を探ろうとするものだ。

 そしてこれを受けた形で、大統領は来月上旬、間髪を入れず、菅首相をホワイトハウスに招き入れることにしたのも、安倍首相時代に悪化した日韓関係について、菅首相に交代したのを機会に、率直に意見交換し、日韓関係仕切り直しの可能性を探る意図があるとみられる。この首脳会談の場で、菅首相と文在寅韓国大統領との直接会談を促すことも十分考えられる。』

『実は、外交問題を得意とするバイデン氏は副大統領時代から、困難な状況にある諸外国間の関係改善のためには首脳同士が直接向き合うことが不可欠であり、そのために必要であればホワイトハウスも後押しするとの信念を個人的に抱いてきた。いわゆる「バイデン・ドクトリン」の一角をなすものだ。(この「バイデン・ドクトリン」については、すでに本欄1月21日付、拙稿「『バイデン・ドクトリン』とは何か」で述べた)

 そしてバイデン氏は具体的に、2016年8月、米有力誌「The Atlantic」との独占インタビューの中で、①オバマ政権下の副大統領として自らが当時、険悪な関係にあったイスラエルのネタニヤフ、トルコのエルドアン両国首脳に直接働きかけ、その後両国関係が好転した②冷え込んだ関係にあった日韓関係でも両国首脳に改善を呼びかけた③イラク、ウクライナなどの関係においても直接首脳に働きかけ、局面打開を図った―などの具体例を挙げ、仲介役としての意義を強調してきた。』

『このうち、「日韓関係改善」については、バイデン氏は去る2013年10月、インドネシア・バリ島で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の場で、安倍首相、朴槿恵韓国大統領(いずれも当時)の日韓両首脳が30秒足らず言葉を交わしただけでその後口も利かないまま別れるという冷え切った関係だったことを懸念「(バイデン氏が後押しした結果)その後は、安倍首相が訪韓し、朴槿恵大統領も訪日に向けて動き出した」ことにも言及している。』

『もうひとつ、バイデン大統領が,日韓関係修復を急ぐ背景には、切迫した北朝鮮の核開発問題がある。

 金正恩朝鮮労働党委員長は、バイデン政権誕生以来、これまでのところ、核実験再開、ミサイル発射実験など挑発的な動きを一切見せておらず、米側の今後の対応を慎重に見極めているとみられる。トランプ前政権下では、政権発足直後の2017年2月12日に「北極星2号」ミサイル発射実験に踏み切ったのを皮切りに、同年3月6日、3月22日、4月4日、4月16日、4月29日と、ほとんど毎月のように各種ミサイル実験を繰り返し、同年だけで16回にも及んだ。ところが、バイデン大統領が就任した1月以来、ぴたりと鳴りを潜めた状態が続いており、今のところ、前政権時と好対照をなしている。

 一方で、北朝鮮はICBM、 SLBMほか、日本などを射程にした短、中距離ミサイル能力の改善、強化に乗り出してきており、アメリカ側の対応次第では、何が起こるかわからない、まさに一触即発の状態にあると言っても過言ではない。そしてもし、有事となった場合に、アメリカとしては、同盟国である韓国、および日本とともに迅速な共同対処を求められるものの、日韓両国が現在のような冷たい関係のままだった場合、作戦展開上、大きな不安材料となる。ここは早急に、アメリカ主導の下、日韓両国が一体となって日本海における共同作戦を真剣に検討する必要に迫られている。』

『日韓両国関係の現状を見ると、文在寅大統領就任以来、「従軍慰安婦」「徴用工」などの歴史問題めぐり再び悪化の一度をたどり始め、今日に至っている。安保協力面では、有事の際に決定的に重要な役割を果たす「日韓軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)について、文政権は2019年8月、一方的に「終了通告」に踏み切った。この措置には、米国防総省が憤慨し、一時は米韓同盟関係にもひびが入りかねない事態となり、韓国政府は同年11月、あわてて「終了通告」の「効力停止」を発表したが、その後も不安定な状態が続いている。

 この間、安倍政権は国内保守派の強固な支持基盤をバックとして、韓国に対し毅然たる態度をとり続けた一方、文政権も反日感情の強い1960年代生まれの世代を中心とした世論を背景に、対日関係改善に踏み出す姿勢も見せないまま、双方の不信感を増幅させる一方だった。わが国外務省の当局者の間でも今日、両国関係は「1965年関係正常化以来、最悪」との声も聞かれる。』

『このままでは、アメリカの外交・安全保障の基軸をアジアにシフトし、「同盟諸国との関係強化と再構築」を優先課題に掲げたバイデン・ドクトリンも看板倒れに終わりかねない。

 そのために、バイデン大統領としては真っ先に日韓両国の関係修復に着手する必要があったことは間違いない。

 今、冷静にアメリカの立場から見るならば、世界各国とののあらゆる関係の中で、日米韓の関係ほど「いびつな3国関係」はないかもしれない。すなわち、アメリカは日本、および韓国との間で運命共同体的意味合いを持つ密接な「同盟関係」をそれぞれ維持しながら、一衣帯水の国である日韓両国同士はたんなる「友好関係」でしかない。しかもその「友好関係」自体も今日、互いに不信感を募らせた心もとない状態にある。』

『在任中、「アメリカ一国主義」を貫き通し、欧州・アジア同盟諸国との関係を揺さぶったトランプ氏が、この奇妙な日韓関係について1つだけまっとうと思える疑問を呈したことがあった。

 これまでマスコミではあまり報じられたことはなかったが、トランプ大統領は2019年4月、ワシントンを訪問した文在寅大統領との会談の場で、率直にこの“難問”を話題に取り上げた。そのときのやりとりは、会談に同席したジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が辞任後、発刊した回想録の中で暴露している。ボルトン氏はこう記述している:

 「トランプは『韓国は日本と合同軍事演習をやることを欲していないが、(有事の際に)日本とともに戦うつもりがあるのか』と尋ねた。文在寅は率直に『日韓両国は合同演習を行うことはできる、しかし、自衛隊部隊をわが国に入れることは、わが国民に過去の歴史を思い出させることになる』と応じた。トランプは再び『もし、米軍が北朝鮮と戦うことになった場合、どうなるのか、韓国側は日本の作戦参加を認めるのか?』と詰め寄った。文は明確な返事はしたがらなかったが、『この問題は心配していない。いざとなれば、自衛隊がわが国土に踏み入らない限りにおいて、日韓両国は一つになって戦うことができる』とだけ述べた」』

『おそらく今日、バイデン大統領も日韓関係について、同様の懸念を抱いていることは想像に難くない。しかし、同大統領が今後、菅首相、文大統領との間の仲介に乗り出したとしても、根深い国民感情が双方に立ちはだかっている以上、この厄介な3国関係をどこまで前進させられるかは楽観を許さないだろう。』

横田米空軍C-130部隊が総力で陸自空挺団500名降下支援

横田米空軍C-130部隊が総力で陸自空挺団500名降下支援 [米空軍]
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14


C-130 Yokota2.JPG 12日付横田基地発米空軍web記事が、3月9日から11日かけ、米空軍横田基地所属の第374空輸航空団C-130輸送機12機が、陸上自衛隊第1空挺団の大規模空挺降下訓練を「最大出撃態勢」で支援し、陸自空挺隊員500名と134個の梱包装備品パッケージを富士演習場に無事輸送&投下したと発表しました

「Exercise Airborne 21」と名付けられた大規模空挺降下訓練について、米空軍公式webサイトは「日米間の協力で行われた史上最大の兵員&物資空挺投下だ」と表現していますが、これだけの規模を航空自衛隊輸送機部隊が支えられるとは考えられず、日本史上最大の空挺降下訓練が行われたと表現して過言ではないでしょう

陸自空挺隊員500名のパラシュート降下の後、2日後に134個の梱包装備品パッケージ投下が行われた模様ですが、数か月も前から第374空輸航空団はC-130輸送機の整備計画を練り直し、保有機の80%以上に当たる12機の稼働機投入を可能にしたということです

12日付横田基地発米空軍web記事によれば
C-130 Yokota3.JPG●米空軍C-130部隊訓練指揮官であるEspinosa大尉は、「この訓練の主目的は、陸上自衛隊が日本中どこにでも空挺降下で展開できることを示すことにある」、「この演習は、大規模空輸に関わる教訓や、今後の我が部隊の訓練をどうすべきかを考える上での教訓を与えてくれた。また、敵対国を抑止する上でも効果的な事例になったと考える」と演習を振り返った

●また同航空団整備部隊のPerkins少佐は、「この演習は一夜で準備できたものではない。保有機の80%以上の12機を出撃可能態勢とするために、広範な兵站支援を計画し、機内仕様を準備し、駐機場の運用を検討し、全てが組み合わさって演習を成功に導くことができた」、「この演習を通じ、12機の機体を数日間にわたり連続出撃させる経験を積むことができた。しかも日本との共同演習においてである。比類なき抑止力能力を示すことができた」と振り返っている

C-130 Yokota4.JPG●実際にC-130機内で陸自隊員や物資に対応した空中輸送員Barnette上級軍曹は、「これだけの規模の兵員と物資を、搭載し、空中投下する任務は大きなリスクを伴うが、事前に準備段階で再整理したチェックリストに沿って着実に業務を進めることで、正確で安全な空挺降下を支援できた」と振り返り、
●「両国が任務遂行を通じて関係を深め、絆を強化することができた。これだけの規模の空輸ミッションは、私の空軍人生の中でも初めてだった。しっかり事前検討し、計画し、訓練して準備してきたが、実際にやり遂げることで、信じがたいほどの経験とすることができた。演習の担当部署のリーダーに指名され、第1空挺団と協力して任務を遂行できたことは素晴らしい経験だった」と語った
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現場の少佐や大尉クラスから軍曹のコメントをご紹介しましたが、経験の一つとしして貴重な大規模訓練だった・・・との内容です。多くが「抑止力」との言葉を使って語っているところが印象的です。日ごろから上司が「抑止力」との言葉を使って語っているのでしょう

C-130 Yokota.JPG 日米間の作戦計画に、米空軍C-130部隊による陸自空挺団の輸送支援が含まれているとは考えにくく、また日本を取り巻く戦略&戦術環境で、第1空挺団が空挺降下して活躍する場面が思い浮かばないのですが、西太平洋地域で中国に押されっぱなしの日米両軍ですから、抑止力強化のため・・・との表現になるのでしょう。

相対的戦力では対中国で厳しい状態にある西太平洋地域ですが、地道な努力が続いていますので、現場の隊員の皆さんの努力に敬意を表し、「Exercise Airborne 21」をご紹介しました

横田基地関連の話題
「在日米軍司令官はアジアのベテラン」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-06
「横田のC-130はH型からJ型へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-07
「横田C-130部隊も富士山が好き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-06-12-1

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タグ:横田基地 C-130 第1空挺団 第374空輸航空団 Airborne 21 』

水素はエネルギー問題にとってまさに麻薬である,論理の飛躍に注目せよ

http://blog.livedoor.jp/adachihayao/

『2021年3月13日 土曜日 晴れ

昨日は新宝塚オープン参加,後半雨,今日も水素と風力発電の記事が出ている,水素はエネルギー問題にとっては一種の麻薬ですね,NHKも報道していたが,日本企業と豪州の褐炭が協力して,日本へクリーンな水素を供給するという,どの報道にも,褐炭から出る炭酸ガスの始末は,一言もなし,

中国の石油企業が2050年までに6千万トンの水素を製造する,これも放出される炭素には一言も触れていない,6千万トンというと日本の計画の3倍,2兆KWhに匹敵するが,中国の一次エネルギー消費量は30兆KWh,日本の7倍以上であるから,水素では殆ど温暖化問題に貢献できない,

水素を論ずるときには,必ずその製法を論じてほしい,どこかに矛盾があり,まさにエネルギー問題に於ける麻薬の観がある,JERAが60万KWの洋上風力計画を発表している,63機と言うから単機1万KWに近い最大級,ただ洋上風力の場合,年間発電時間は2500時間程度であることに注意』

初のクアッド4各カ国首脳会談終了と反中結束の強化に至るまで

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:初のクアッド4各カ国首脳会談終了と反中結束の強化に至るまで
http://blog.livedoor.jp/nappi11/archives/5246115.html

『日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国(通称クアッドQUAD)首脳が2021年3月12日夜、初の首脳会談をテレビ会議方式で開いた:The QUAD virtual summit。日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」構想を踏まえ、新型コロナウイルスの途上国向けワクチン支援で一致。東・南シナ海への海洋進出の動きを強める中国に加え、北朝鮮、ミャンマー情勢も協議し、4首脳は新型コロナワクチンについて、インド太平洋地域の途上国への供給などで協力していくことで合意した。バイデン米大統領は「野心的な新たな共同パートナーシップを立ち上げ、ワクチン生産を拡大する」と強調。インドで生産したワクチンを日米豪が後押ししてアジアやアフリカに提供することを目指す。今後、ワーキンググループを設置し、具体化を検討する。 菅義偉首相は会談後、記者団に「日米豪印4カ国を新たなステージに引き上げる会合だった」と評価した。

4首脳は年内に対面での会談を行うことで合意。東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携強化も確認した。今回の会談が、宥和的姿勢に懸念が残るジョー・バイデン米大統領の対中政策を占う試金石にもなるとみられると言われる中、インド紙は、2007年の最初のクアッド会談で、当時誤って認めた中国の外交政策をに対し、今回の会談が反対と拒否のメッセージを送ることになるとの評価をしている。インドは伝統的に非同盟主義を貫いており、クアッドに名を連ねているが、あからさまな「反中国同盟」化には反対で、首脳会談への格上げにも慎重な姿勢だったが、日本が説得したと言われている。

日本と米国、豪州、インド4カ国の連携強化は、2007年8月に安倍晋三前首相が「2つの海の交わり:Confluence of the Two Seas」と題してインド議会で行った演説が端緒だった。安倍首相はそこで「太平洋とインド洋は自由の海、繁栄の海として、1つのダイナミックな結合をもたらしている」と強調した 参照記事 英文記事 参照記事。

その後、2012年に安倍前首相は日米豪印を結ぶ四角形を「セキュリティ・ダイヤモンド構想」として発表し「自由で開かれたインド太平洋(FOIP: a free and open Indo-Pacific)」という概念を打ち出した 参照記事。225d31bb

米国のドナルド・トランプ前大統領は2017年11月、安倍首相との会談後、会見でFOIPを単なる構想ではなく、中国包囲を念頭に「日米共同の戦略」として推進すると発表し、構想は一挙に加速していった。その後、FOIPの具体的な形として、4カ国のクアッドが外相会談として初めてニューヨークで開かれたのは、2019年9月だった。翌2020年10月には、2回目の外相会談が東京で開かれ、今回はそれから、わずか5カ月後の今夏、首相会談に格上げされた形になった。

すでに合同軍事訓練が実施されているクアッドは今回の首脳会議を経て、欧州の北大西洋条約機構(NATO)のように正式に機構化する可能性も考えられる。この事は、日本が、オーストラリアなど11カ国による環太平洋パートナーシップ(連携)協定(TPP)と「自由で開かれたインド太平洋(FOIP: a free and open Indo-Pacific)」という構想と合わせ、経済と防衛に於いて主導的な立場を発揮し、成果を上げたと評価できるだろう。

一方で、根拠の無い、非生産的反日にこだわった韓国は、どちらにも参加できずに発言力を失ったが、自業自得と見るだけでなく、韓国がばらまいた嘘の歴史認識を、まだ国営BBCなどは信じて疑わない論説を繰り返している。これらの間違った認識の是正には、外務省、在外公館が懸命に努力すべきだろう。EU離脱後の英国は、FOIP、更にTPPへの参加も表明している事からも、放置するのは得策ではない。 参照記事 参照記事 英文記事 過去ブログ:2021年3月アジア開発銀行がミャンマーへの資金拠出などを一時停止 3月クアッドでの首脳会談開催3月中旬の予定 外された韓国 

2月クアッド4カ国会合で中国、ミャンマーへの懸念で一致とバイデン 2月ウィグル人証言で中国叩きの英国 EUも追従 報復に出る中国 2月日米英豪の半導体同盟と中国の台湾進攻の現実味と日本の防衛 2月英政府がTPP参加を正式表明 』

中国、原子力空母検討 4隻目で―香港紙報道

『【北京時事】香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は13日、中国が建造中の4隻目の空母について動力を原子力とする案が検討されていると報じた。実現すれば、中国初の原子力空母となる。

 中国軍関係筋によると、造船会社が動力を原子力とする案を示し、軍の最高指導機関である中央軍事委員会が検討しているという。同委の方針は明らかではない。

 原子力空母は通常型に比べ長期の航行が可能で、戦力が大幅に向上する。別の関係筋は、原子力空母の建造に関して「技術的な飛躍となるが、(従来型より)時間がかかるかもしれない」と述べた。 』

前暫定大統領を逮捕 「クーデター」関与容疑―ボリビア

『【ラパスAFP時事】南米ボリビアで2019年の政変後に暫定大統領を務めたジェアニネ・アニェス氏が13日、逮捕された。政府閣僚が明らかにした。同氏に対しては、「クーデター」に関与した疑いなどで逮捕状が出されていた。

 19年の政変で左派のモラレス大統領(当時)は、4選をめぐる抗議デモ拡大を受けて国外に逃亡した。保守派のアニェス氏が暫定大統領に就いたが、昨年10月の大統領選でモラレス派のアルセ氏が勝利し、モラレス氏は翌11月に帰国。その後、アニェス氏は元閣僚らと共にモラレス氏の打倒を図ったとして訴えられていた。 』

韓国、家買えない国民が激怒 公社の土地不正投機疑惑

『【ソウル時事】住宅建設・分譲などを担う韓国土地住宅公社の職員らが不正に土地を購入していた疑惑が文在寅政権を揺るがしている。文政権下で不動産価格が高騰し、家を買えない庶民の怒りに火を付けた。

 問題が明るみに出たのは今月2日。公社の職員らが2018~20年、ソウル郊外の住宅開発対象に指定された地域の土地を発表前に不正に購入していた疑惑を市民団体が提起したことだった。転売による利益や補償金を狙ったインサイダー取引の疑いが濃いとみられている。

 文政権発足以来、ソウルのマンション価格は1.5倍以上に上がったと言われている。文政権が幾度となく対策を打ち出しても焼け石に水。疑惑が提起された住宅開発も不動産価格抑制策の一環だった。不動産投機できる富裕層と手が出せない庶民との格差は広がる一方だ。

 今回の疑惑で、文政権への批判はさらに強まった。12日に民間世論調査機関が発表した政権支持率は1週前より2ポイント減の38%。「支持しない理由」のトップは「不動産政策」の31%だった。韓国メディア関係者は「現政権支持者が多い40代はマイホーム購入を考える世代。支持が揺らいでいる」と解説している。

 公社を所管する卞彰欽国土交通相は12日、辞意を表明した。政府は火消しに躍起だ。

 しかし、一部保守系メディアは文大統領の息子や娘の不動産投機疑惑も報じ始めた。来月のソウル・釜山市長選を前に野党側は「人が1人交代して終わる問題ではない。大統領は謝罪とともに国政の全面的な刷新について立場を明らかにすべきだ」(最大野党「国民の力」)と攻勢を強めている。 』

オランダ下院選、ルッテ氏の続投有力 コロナ下で15日から投票

『【ブリュッセル時事】新型コロナウイルス感染拡大以降で欧州主要国として初の総選挙となるオランダ下院選(定数150)の投票が、15日から実施される。厳しいロックダウン(都市封鎖)が続いているが、国民は現政権の危機対応をおおむね支持。前回は波乱要因だった移民問題などの争点は埋没し、ルッテ首相の4期目続投が有力視されている。

 投票はコロナ対策で17日までの3日間に分散。「自由な投票を邪魔してはならない」(ルッテ氏)と期間中は夜間外出禁止令を緩和し、70歳以上の高齢者には郵便投票も認めた。

 各種世論調査を集計した分析サイトによると、他の3党と連立を組むルッテ氏の中道右派・自由民主党(現有32議席)の予想獲得議席は36~40。第1党の座を維持し、今後も複数の政党と連立政権を担う公算が大きい。

 一方、2017年の前回選挙でイスラム系移民排斥や欧州連合(EU)離脱を訴え、一時は政権奪取の勢いを見せた第2党の極右・自由党(同20議席)は18~20議席にとどまる見通し。ウィルダース党首はAFP通信に「危機の時は国民は国旗の下に結集する」と語り、有事における現職有利を認める。

 ルッテ政権のコロナ感染封じ込め措置は当初、比較的緩やかだったが、第2波以降は厳しい対応に転換。今年に入り外出禁止令も導入した。ただ、各地で暴動が起こるなど反発も生じている。

 また、ワクチン接種は欧州内でも出遅れているのが現状。1月には児童手当給付をめぐるスキャンダルで内閣総辞職して暫定政権に移行するなど悪材料も少なくない。それでも支持を保つ背景には失業率が4%以下まで低下するなど大規模な経済対策の効果もあるとみられている。 』

英、核兵器増強方針か 「保有上限引き上げ」と報道

『【ロンドン時事】13日付英紙デーリー・テレグラフは、英政府が保有する核兵器の増強に乗り出す方針だと報じた。政府は16日、向こう10年間の安全保障や外交方針を定めた「安保・国防・外交政策統合レビュー(見直し)」を発表する予定で、これに盛り込まれる見込みという。

 英国はこれまで、2020年代半ばまでに核弾頭数を「180発程度」に減らす軍縮計画を維持してきた。現在の保有数は上限に近い約180発と見積もられるが、同紙によれば政府はこの上限を引き上げ、備蓄可能な核弾頭を増やせるようにするという。』

米政権、アジア外交始動 日本重視、中国に対抗―北朝鮮政策で擦り合わせ

『【ワシントン時事】米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が15日から日本と韓国を歴訪する。その後、ブリンケン氏は米アラスカ州で中国外交トップと会談し、オースティン氏はインドを訪問する。両長官は共に初外遊。バイデン政権のアジア戦略の行方を占う機会になりそうだ。

中国海警法に懸念表明へ 「尖閣」けん制、文書明記調整―16日に日米2プラス2

 両長官は最初の訪問先となる日本で16日、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)に出席、日米同盟強化を再確認する方針だ。中国を「唯一の競争相手」と位置付け、対抗姿勢を強めるバイデン政権は、日本との連携を最重視する姿勢を鮮明にしている。4月前半にも予定される菅義偉首相の訪米に向けた準備を加速させる。

 韓国でも2プラス2を開催する。韓国側に米軍駐留経費の大幅増額を求め、在韓米軍撤収にたびたび言及するなど、トランプ前政権下でぎくしゃくした同盟関係の修復を図る。今月妥結した駐留経費交渉の正式合意を発表する可能性もある。

 日韓両国では、バイデン政権が見直し中の北朝鮮政策も議題になるとみられるが、ソン・キム国務次官補代行(東アジア・太平洋担当)は電話会見で「見直し完了には数週間かかる」と指摘。公表に向け、日韓と擦り合わせを行いたい考えだ。

 また、オースティン氏はインドでシン国防相と会談し、情報共有を含む安全保障分野での連携強化について議論する見通し。インドは米国製の攻撃型無人機の調達を検討しているとされ、装備面での協力についても話し合うもようだ。

 一方、ブリンケン氏とサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は18日、アラスカ州アンカレジで、中国の外交政策を統括する楊潔※(※竹カンムリに褫のツクリ)共産党政治局員、王毅外相と会談する。12日開催の日米、オーストラリア、インドの4カ国(通称クアッド)のテレビ首脳会談や、今回の外交安保閣僚の日韓印歴訪を通じて同盟国や友好国との連携を強化し、民主主義の価値を重視する「強い立場」を築いた上で、中国に対峙(たいじ)する構えだ。

 楊氏らとの会談では、米国などが「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定した新疆ウイグル自治区の少数民族迫害を議題にする方針。サリバン氏によると、中国船舶の沖縄県・尖閣諸島周辺への侵入も取り上げる。ただ、米政府高官は「協力の可能性を残し続ける」とも述べており、気候変動や核不拡散などで協調の余地があるかを探りたい思惑もある。 』

「インド太平洋」へ決意 日米豪印首脳、米紙に共同寄稿

『【ワシントン時事】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、菅義偉首相、バイデン米大統領、インドのモディ首相、オーストラリアのモリソン首相による日本時間14日付の共同寄稿を掲載した。4カ国(通称クアッド)の枠組みでは初となった12日のテレビ首脳会議を踏まえ「自由で開かれたインド太平洋」実現へ連携を強めていく決意を表明した。

「中国包囲網」に温度差 日米豪印、安保色薄く

 4首脳は「インド太平洋全域が連結され機会を得た新時代において、苦境に立つ地域の支援で協力するため、われわれは集結した」と強調。「インド太平洋が、国際法および航行の自由や紛争の平和解決といった基盤となる原理によって統治され、すべての国が強制されることなく政治的選択を行えることを確実なものとするため、われわれは奮闘している」と指摘し、名指しは避けたが、中国をけん制した。

 また、気候変動問題に取り組むほか、新型コロナウイルス対応でインドでのワクチン増産を表明。東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国をはじめ太平洋の島国、インド洋地域とのパートナー関係を強化する方針を示した。 』

中国シャオミへの投資禁止差し止め バイデン政権に司法の壁―米地裁

『【ワシントン時事】中国スマートフォン大手の小米科技(シャオミ)が、同社への証券投資を禁止する米政府の措置を不服として起こした訴訟で、首都ワシントンの連邦地裁は12日、実施予定の禁止措置を差し止める命令を下した。バイデン政権はトランプ前政権が打ち出した対中強硬策を外交カードに利用したい考えだが、司法の壁に阻まれた形だ。

中国スマホ大手が米政府提訴 シャオミ「投資禁止は違憲」

 米国防総省は前政権時の今年1月、中国人民解放軍の支配下にある中国企業のリストにシャオミを指定。大統領令に基づいて米国からの投資禁止対象にした。政権交代に伴い実施がいったん延期されたが、シャオミは一連の措置で「取り返しのつかない損害に直面する」と主張していた。

 地裁判事は判決文で、国防総省が中国軍関連企業のリストに指定した手続きに「深刻な欠陥がある」と指摘。同省は、シャオミが軍事転用可能な先端技術に経営資源を集中させたり、創業者が中国で国家に貢献した経営者として表彰されたりしたことを理由に挙げたが、判事は「説明や根拠が不十分」と断じた。』

大統領のバスに殴る蹴る 視察先、群衆囲む―アルゼンチン

『【ブエノスアイレスAFP時事】アルゼンチンのフェルナンデス大統領が13日、森林火災の現場、南部チュブト州を訪れた際、群衆に囲まれ立ち往生しかける騒ぎがあった。アルゼンチン紙クラリンやテレビ映像によると、大統領が乗り込んだバスに、群衆が殴る蹴るの危害を加え、投石でバスの窓が割れた。
 当局は12日、過去数日続く森林火災で1人が死亡し、11人が行方不明になったと明らかにした。約200戸が火にのまれた。水道や電気が止まった町もある。火災原因として放火が疑われている。 』

【中国ウォッチ】故華国鋒主席を利用、習氏への忠誠要求

【中国ウォッチ】故華国鋒主席を利用、習氏への忠誠要求 生誕100年座談会の党指導者演説
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021030900321&g=int

『かつて中国共産党主席や首相を務めた故華国鋒氏(2008年死去)は、ポスト毛沢東の最高指導者に就任したものの、トウ小平氏によって失脚に追い込まれた人物として知られる。党指導部はこのほど、華氏の生誕100年を記念する座談会を開き、出席した指導者が華氏の党に対する忠誠心を礼賛することにより習近平国家主席(党総書記)への忠誠を要求。政権トップの終身制廃止、香港の「高度な自治」否定などトウ路線を次々と修正している現政権が習氏個人の権力基盤を固めるため、トウ氏のライバルだった華氏を利用した形だ。(解説委員・西村哲也)

◇出席者は格落ち

 座談会は2月20日に北京の人民大会堂で開催され、党最高指導部の政治局常務委員会(7人)からナンバー5の地位にある党中央書記局筆頭書記の王滬寧氏とナンバー7の韓正筆頭副首相が出席して、王氏が演説した。
 中国では、亡くなった党・国家・軍指導者の生誕100年を記念して、党指導部が座談会を開くのが慣例となっており、今回の座談会もそれに沿った行事。ただ、これまで故胡耀邦元総書記を含め政治局常務委員経験者の生誕100年座談会は現職の総書記(同常務委員の筆頭格)が参加してきたので、華氏のケースは格落ちだ。「改革・開放の総設計師」とされるトウ氏に追い落とされた指導者だからであろう。
 なお、胡耀邦氏もトウ氏によって総書記辞任を強いられたが、華氏と違って政治局員のポストは維持し、死去するまで形式上は党指導部の一員だった。また、同じ改革派として、習近平氏の父である故習仲勲氏(元副首相、中央書記局書記)と協力関係にあったといわれる。

◇党内の派閥活動に警告

 この種の座談会での演説は故人の功績を紹介した上で、故人に学ぶべき点を列挙するが、王氏は演説で華氏に学ぶべき点として最初に以下のように述べた。

 一、「党性」(党員としての正しい考え)がしっかりしており、党に忠実な政治的品格があった点を学ばなくてはならない。華国鋒同志は党性の原則を重んじた。
 一、文化大革命(1966~76年)の困難な状況下でも「党内では党性を重んじる必要があり、派閥性(党全体より自分の派閥を優先する考え)を重んじてはならない。党支部内で派閥性によって動くことは許さない」という立場を堅持した。
 一、(華氏による四人組打倒で)歴史の転換が終わった後、彼は自覚的に団結を擁護し、大局に心を配り、個人の得失を考えなかった。
 一、時代がいかに発展しても、条件がいかに変化しても、党に対する忠誠は一貫して第一の要求である。党員、幹部は習近平総書記の要求に従って、「二つの擁護」をきちんと行い、思想、政治、行動の面で終始、習近平同志を核心とする党中央と高度の一致を保たねばならない。

 「二つの擁護」とは、習氏の党中央の核心、全党の核心としての地位を断固として擁護し、党中央の権威と集中的、統一的指導を断固として擁護することを指す。党内では「『二つの擁護』は本質的には一体だ」と公式に説明されているので、「習氏個人に忠誠を誓え」ということに等しい。

 王氏は、絶対的な最高指導者だった毛沢東主席から後継者に指名された華氏がいかに「党性」を重視し、党の団結維持を考えて行動したかを強調することで、習氏への服従を求めた。習氏の意向を受け、イデオロギー・宣伝担当の王氏がひねり出した理屈だろう。

◇トウ小平氏の華氏批判否定

 王氏の演説の華氏に対する評価は「中国共産党の優秀な党員、長い試練を経た忠実な共産主義戦士、プロレタリア階級革命家」で、08年の死去時に発表された公式の訃報と変わらなかった。他の政治局常務委員経験者たちと違って、プロレタリア階級革命家に「偉大な」もしくは「傑出した」という形容詞は付かず、「卓越した指導者」という言葉も使われていない。

 だが、訃報にはなかった「中国革命、建設、改革に終生精力をささげた」という一文が加わったほか、文革後に「科学技術の学習、経営管理の経験学習を含め、外国の良い経験を必ず学んで、広範な経済協力を進める必要がある」と考えていたことも指摘された。全体として「華氏は改革・開放に貢献した」という意味にも読める。

 いずれの表現も、生誕90年記念の時に当時の党中央党史研究室が発表した論文から流用したものだが、政治局常務委員の公式演説に盛り込まれたことで党指導部認定の評価となった。

 少なくとも、華氏が文革後に党主席兼首相として外国からの設備・技術導入を本格的に開始し、後の対外開放政策の先駆となったのは事実。性急な導入で問題が生じたからといって「洋躍進」として全否定せず、先見の明をたたえるのは公正な評価と言える。

 トウ氏は華氏について、左寄りの毛沢東路線を引き継いだだけの過渡的人物で、「独立したものは一つもない」と断じたが、今回追加された評価はそれを否定した。毛時代への回帰志向がある習政権は華氏にも好意的なようだ。こうした姿勢には、トウ氏に対する政治的評価をなるべく相対化したいという思惑もあるとみられる。 』

中銀デジタル通貨 米中競争激化の兆し

中銀デジタル通貨 米中競争激化の兆し 
編集委員 西村博之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH10ACT0Q1A310C2000000/

『中央銀行が発行するデジタル通貨をめぐり、バイデン米政権下で米中の競争が本格化する兆しが出てきた。中国は国内外でのデジタル人民元の利用をにらみ実験のアクセルを踏む。静観してきた米国も重い腰を上げつつある。世界の中銀の対応にも影響するのは必至だ。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。
「今年は重要な年だ。国民と活発に対話する」。2月24日の米下院金融サービス委員会。パウエル米連…

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パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はかつてない前向きな表現でデジタルドルに言及した。前日の上院銀行委員会でも「非常に優先順位の高いプロジェクトだ」と発言。慎重姿勢を転換させた。

直前、香港の中銀にあたる金融管理局などの発表文が、金融関係者の注目を集めていた。中銀デジタル通貨の越境取引に関して香港とタイの中銀が進める実験に、中国人民銀行とアラブ首長国連邦(UAE)の中銀が加わるとの内容。「デジタル人民元を一帯一路に広げる布石か」(日銀OB)との声が上がった。

中国から西は中東、南は東南アジアをつなぎ、他の中銀も加えるというから確かに中国主導の広域経済圏構想と重なる。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使った企業間決済や資本取引の可能性をさぐるという。

中銀デジタル通貨は今回の実験のようなホールセール(大口)向けと一般消費者が使うリテール(小口)向けがある。

小口向けでも中国は2月の春節(旧正月)前後に北京市などの住人にデジタル人民元を配り使ってもらう実験を行った。2022年の実用化を視野に入れる。

北京市内でのデジタル人民元の実証実験(2月)

ただ小口向けは国内利用を想定した設計とされ、そのまま国外に広がるとみる専門家は少ない。一方、大口の越境取引は研究こそ初期段階だが、実現すれば元の国際化に弾みをつける。ここで中国は攻勢を強めている。

1月には人民銀が傘下のデジタル通貨研究所や人民元の国際銀行間決済システム(CIPS)とともに、送金情報を仲介する民間組織、国際銀行間通信協会(SWIFT)と合弁会社を設立。データや技術で協力する。

SWIFTはドル覇権の要で、米国が敵対国の資金源を断つ金融制裁にも使う。これを嫌い中国が15年に立ち上げたのがCIPSだ。なのに、なぜ手を組んだのか。

CIPSに参加する金融機関は足元で約100カ国の1000社ほど。SWIFTの約200カ国、1万社強に遠く及ばず、SWIFTがCIPSを補っているのが実情だ。中国はデジタル人民元の普及をにらみ、まずはSWIFTと組むのが有利と踏んだのだろう。

中国は似たような布石を随所で打っている。1月、モーリシャスとの間で発効させたアフリカ諸国との初の自由貿易協定(FTA)。そこにはデジタル金融の協力と「モーリシャス領内への人民元の清算・決済機関の設置」が盛られた。

むろん人民元の普及には資本規制や中国政府への信頼など課題も多く、ドルの地位が揺らぐ状況にはない。だが経済規模の米中逆転が迫るなか、基軸通貨国の米国は技術革新も踏まえた骨太な戦略が求められている。

イエレン米財務長官も中銀デジタル通貨構想を後押しする=AP

「デジタルドルは迅速で安全、安価な支払いに役立つ」。イエレン米財務長官は2月、国内の弱者対策の観点からFRBの背中を押した。

バイデン政権とその周辺にはほかにもデジタルドルの支持者が多い。大統領が米証券取引委員会(SEC)委員長への起用を決めたゲンスラー氏は、FRBと米マサチューセッツ工科大(MIT)が昨夏始めたデジタルドルの共同研究で窓口をつとめた。

FRBで中銀デジタル通貨の検討を主導するブレイナード理事は民主党に近く、次期FRB議長の有力候補。夫で新設の「インド太平洋調整官」に起用されたキャンベル氏は中国の台頭を警戒し、国務次官補(東アジア・太平洋担当)を務めたオバマ政権で「アジア回帰」を進めた立役者だ。

バイデン政権は国内と国外、政治と経済を通じ一貫性のある政策をめざしている。デジタルドルの検討が大きく前進する兆しを中国は察知しているのだろう。

編集委員が独自の切り口で分析「Nikkei Views」一覧へ https://www.nikkei.com/opinion/nikkei-views/

[FT]独与党、メルケルなきメルケリズムの道(社説)

[FT]独与党、メルケルなきメルケリズムの道(社説)
新党首は中道路線を維持するも看板不在で求心力低下は必至
FT
2021年1月19日 13:15 [有料会員限定]
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM190BO0Z10C21A1000000/

『ドイツで「ポスト・メルケル」の時代が、二度目の幕を開けた。当初、後継者候補として与党キリスト教民主同盟(CDU)の党首に選ばれたメルケル首相側近のアンネグレート・クランプカレンバウアー氏が就任1年余りで辞任、新たな人物がメルケル氏の後継候補となった。16日の党首選で、メルケル首相に近く、その中道路線の継承を約束するアルミン・ラシェット氏が新党首に選ばれた。

CDUは、最有力の対抗馬だったフリードリ…

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CDUは、最有力の対抗馬だったフリードリヒ・メルツ氏の下で保守化にかじを切るより、従来路線を維持することに賭けた。独西部ノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州で首相を務めるラシェット氏は、メルケル氏に連邦議会選で4回連続の勝利をもたらしたオープンな中道路線を共有している。9月26日の連邦議会選を前にCDUの世論調査での支持率は高い。だが、程なく同党はその最強の人材であるメルケル氏不在の運営を迫られることになる。

ラシェット氏はメルケル氏の後を継ぐ次期首相の最有力候補ではあるが、その将来の地位が約束されているとは言えない。CDUが同党の姉妹政党でバイエルン州を地盤とするキリスト教社会同盟(CSU)と共同で首相候補を擁立するのは3月。全国的な選挙戦を勝ち抜ける手腕と知名度がラシェット氏にあるか疑問視する向きは多い。ラシェット氏がチャンスをものにするためには、早急に自らの存在を知らしめる必要がある。バイエルン州のトップとしてはるかに高い人気を誇るCSUのマルクス・ゼーダー氏に、首相候補の座をさらわれる可能性もある。

深刻な党内分裂

ラシェット氏にとって最優先の課題は党内の結束だが、これは容易ではない。党首選での自身の得票率は53%で、メルツ氏が47%を獲得しており、党内に保守路線の鮮明化を求める勢力は相当大きい。メルツ氏は2018年の党首選で敗北した後、鳴りを潜めていたが、今回は今後の党運営に影響力を行使する決意を見せている。16日の落選後、経済相として入閣できるようラシェット氏に求めた。メルケル氏は断った。

2つ目の課題は、メルケル氏が舞台を去ろうとする中でCDUの支持率を維持することだ。3月には南西部バーデン・ビュルテンベルク州と西部ラインラント・プファルツ州で、重要な州議会選挙が控えている。同時並行してラシェット氏は、NRW州で新型コロナウイルスの感染対応を率いる責任がある。昨年は初めのうち指導力をあまり発揮できず、その後はより厳格なロックダウン(都市封鎖)を呼び掛けて世論の支持を得たメルケル氏に追随した。現状では、ワクチン普及の成否が待ったなしで政治生命の明暗をはっきりさせる。

最後に、ラシェット氏はCDUの政策綱領を改め、メルケル政権が残した課題に対処する必要がある。国内インフラの老朽化、デジタル技術の遅れ、積極性に欠ける気候変動対策目標などが上げられる。石炭産業を支持し、中国やロシアに寛容なラシェット氏のスタンスは、連邦議会選後にCDUの連立パートナーになるとみられる緑の党との連携の障害になりかねない。ただメルツ氏よりは、ラシェット氏のような穏健派の方が、緑の党と協力できる余地は大きい。

CDU、ドイツ、そして欧州にとっては、メルツ氏がトップに立たない方がよいだろう。経済や社会に関するメルツ氏の見解は、過去の時代にとらわれている。欧州連合(EU)におおむね好意的とはいえ、メルツ氏陣営が連邦議会選でEUに懐疑的な極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」から支持者を取り込もうと緊縮的な財政・金融政策に傾斜すれば、厄介な事態を招きかねない。フランスびいきのラシェット氏なら、メルケル氏の慎重な欧州主義を受け継ぎつつ、こじれた独仏関係を修復できる可能性がある。

だがその前に、ラシェット氏は党員と国民の信頼を獲得しなければならない。彼は党大会で16日、ドイツ人の多くがまず選好するのはメルケル氏であり、CDUはその次だという不都合な真実を知らしめた。メルケル氏抜きでは、CDUにも、ラシェット氏にも、明るい未来が保証されているとは言えない。

(2021年1月18日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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