中国首相「米中、互いに内政不干渉を」 対話も呼びかけ

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『【北京=川手伊織】中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は11日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の閉幕を受けて記者会見した。中国にとって核心的利益である香港などに対する米国の「内政干渉」をけん制した。一方で「協調できる分野がたくさんある」と米国に対話も呼びかけた。

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「過去数年間、米中関係は大きな困難に直面し、世界にマイナスの影響をもたらした」。李氏はまずトランプ前政権時の両国関係を振り返った。貿易戦争やハイテク制裁など対立が激化し、対話の窓口はほぼ全て閉ざされた。

李氏は「互いに核心的な利益を尊重し、内政干渉はすべきではない」と強調した。選挙制度を全面的に見直す香港問題や新疆ウイグル自治区の人権問題への口出しをけん制した。台湾問題でも「独立運動や外部勢力の干渉に反対する」と言い切った。

核心的利益と位置づける香港や台湾の問題でけん制を強めた一方、過去最悪と言われる米中関係の改善への期待もにじませた。李氏は「たとえ一時的に共通認識に至らずとも、意見交換して疑いを晴らすことはできる」と指摘した。多くの分野で多層的に対話できる機会の再構築を求めた。

18日には両国の外交トップが米アラスカ州アンカレジで初の対面協議に臨む。習近平(シー・ジンピン)国家主席は2020年9月、二酸化炭素(CO2)の排出量を60年までに実質ゼロにするとの努力目標を掲げた。バイデン政権も21年2月、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰した。中国は気候変動問題でも米国と協調の余地を探る構えだ。

李氏から協調的な言葉も目立った背景には、経済制裁など強硬手段が目立ったトランプ前政権からバイデン政権に代わっても、簡単には関係改善が見込めないとの警戒感がある。外交が専門の中国人民大学の時殷弘教授は「台湾や南シナ海などの重要分野でトランプ政権末期よりも緊張が高まっている」とみる。トランプ前政権の関心が薄かった新疆ウイグル自治区などでの人権問題もバイデン政権は追及を緩めない。

米欧で動き始めた中国経済とのデカップリング(分断)の動きも、中国の懸念を強める。米欧はデジタル競争力にかかわる半導体などのサプライチェーン(供給網)を見直し、基幹部品を中国に依存しない生産体制づくりを急ぐ。

中国も経済安全保障の一環として供給力を強化する。米制裁の影響を受けずに最先端の部材をつくれるようにする。李氏は「科学技術の自立自強と国際協調は矛盾しない」と語るが「技術の海外依存を解決するには5~10年かかる」(中国国際経済交流センターの張燕生首席研究員)との声もある。米中対立が長引けば中国経済成長の足を引っ張りかねない。

中国の名目国内総生産(GDP)は20年に初めて米GDPの7割に達した。日本経済研究センターなどは28年にも米中の経済規模は逆転すると予測するが、李氏は「中国はなお発展途上国であり、現代化の道のりはかなり長い」と述べるにとどめた。米国をいたずらに刺激したくないとの思惑がありそうだ。

21年のマクロ経済政策は、新型コロナウイルス対応で拡充した財政政策などの調整を「適度な範囲で行う」。財政赤字の削減は小幅だ。21年の財政赤字のGDP比率は3.2%前後と計画した。中国政府が一貫して重視してきた3%のラインはなお上回っている。

「マクロ政策はなお雇用問題を優先課題と位置づける」と力を込め、金融政策も「急旋回する必要はない」とした。

インターネット金融など新業態への監督を強める考えも示した。「新業態の看板を利用した詐欺行為は断固としてくじく」と語った。

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