ドル基軸続くか「3極」化か、大きな節目に 清水順子氏 パクスなき世界 学習院大教授

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『新型コロナウイルス対応で米国の政府債務は第2次世界大戦に並ぶ水準に達した。ドルは今後も基軸通貨の地位を保てるのか。国際金融に詳しい学習院大の清水順子教授に聞いた。

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――新型コロナが世界で拡大した2020年春、ドル需要は一時的に高まりました。

「リーマン・ショックや欧州債務危機でも繰り返された構図だ。多くの国でドルに頼った貿易・資本取引をしており、危機時は金利が高くてもドルを確保しようとする。ただ日本以外ではドルに頼らなくてもよい体制にしようとの意識が強まっている」

――ドル依存を減らそうとする理由はなんでしょうか。

「リスクヘッジだ。各国の外貨準備をみると、地政学的なリスクの高まりを受けて多角化している。国際通貨基…

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国際通貨基金(IMF)が公表している全体のデータをみれば、ドルが多くて人民元は大したことないと言いがちだが、個々の国でみるとロシアのようにドルを減らして人民元を持つ動きは顕著に増えている」

――中国は人民元の国際化を掲げてきました。

「コロナ禍に対応する金融緩和で先進国は軒並み金利が下がり、中国国債の金利は投資家には魅力的に映る。なおかつ、有力な指数算出会社が中国国債を代表的な指数に組み入れている。指数に連動した運用を手掛ける金融機関は一定の中国国債を買うようになる」

「中国の金融市場が成熟すれば、人民元の魅力は一気に高まるだろう。市場開放と情報開示がどこまで進むかに注目している」

「貿易でも人民元決済は増えつつある。欧州にとって中国は最大の貿易相手だ。輸出先として中国のシェアが大きくなり、中国企業が人民元建ての決済を求めてくれば応じざるを得ない。アジア域内の貿易でも人民元や円建てが増え、ドル建てが減っている」

――米国にとって脅威になります。

「米国は基軸通貨の地位を守りたい。自国通貨で貿易・資本取引をしていれば、為替リスクがなくメリットは大きい。財政赤字は各国の外貨準備が埋めてくれる非常に有利な立場だった。米国は巨額の財政出動に動くが、規模が大きくなるほど外国為替相場ではドル安圧力になる。外貨準備の分散が進めば、一気にドル安になる。米国もリスクをはらんでいる」

「ドルが基軸通貨を維持できるのか節目を迎えている。現状を維持できるのか、ユーロ・人民元の3極体制になるのか。政策的に決められるものではなく、貿易などの取引を手掛ける企業の動向が決め手になるだろう」

(聞き手は高橋元気)