スーパーサイクル説にご用心

スーパーサイクル説にご用心
十字路
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『緩和マネーがマーケットにあふれ、株式市場が活況を呈している。海外報道からは、商品相場の「スーパーサイクル」という約20年前のバズワード(流行語)を、投資銀行が再び使い始めたと伝わる。

1990年代に資源相場が低迷した時に資源開発の「上流投資」が減退した。2000年代になって新興国経済が急成長する過程で資源が供給不足となり、石油、石炭、非鉄金属などの相場が急騰。10年以上続く超長期のサイクルだと、言…

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2000年代になって新興国経済が急成長する過程で資源が供給不足となり、石油、石炭、非鉄金属などの相場が急騰。10年以上続く超長期のサイクルだと、言い立てられた。リーマン危機とともにサイクルは消滅したが、12年たって再び金融筋がはやしている。

確かに、世界を新型コロナウイルスが襲った20年春を大底にして銅、ニッケル、コバルト、銀、白金などの金属資源価格は物によって2倍超に急騰している。資源の雄である原油のマイナス40ドルから60ドルへの急反発は象徴的だ。

新型コロナ禍対策の金融緩和を背景にした投機的な側面は否めないが、スーパーサイクル論者はマネーゲームではないという。今回は脱炭素とエネルギー転換が背景にある。価格が2倍に跳ね上がった商品は、すべて自動車の電動化や再エネルギーに不可欠な原材料だ。二酸化炭素排出を30年後に実質ゼロにする目標達成に向け供給量を増やす必要があり、スーパーサイクル説には説得力がある。

そんな中で原油1バレル=100ドル説まで現れた。化石燃料の筆頭であり脱炭素を進める中で消費が減るのが石油だ。油価を引き上げたのは産油国による協調減産で、石油に経済を依存する彼らの台所事情は非常に苦しい。新型コロナが収束して世界の石油需要が回復すれば産油国は増産せざるを得ない。油価が長期にわたって上昇するシナリオは描きがたい。これから始まるスーパーサイクルでは、投資する資源の選別が重要である。

(欧州エネルギー取引所グループ 上席アドバイザー 高井 裕之)