[FT]米司令官「インド太平洋での米軍優位に陰り」

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『中国が攻撃的な行動への準備を示唆する形で、急速に軍を増強するなか、米軍はインド太平洋で優位性を失いつつある――。同地域の米軍トップが警鐘を鳴らした。

米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は、地域の軍事バランスが米国にとって「より好ましくない状況」になり、抑止力の低下により中国が軍事行動を取るリスクが高まっていると述べた。

中国の核保有量、20年代末までに米軍上回る可能性
デービッド…

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デービッドソン氏は、中国は急激に海軍を増強しており、2025年までに空母を3隻配備できる見込みだと述べた。

さらに、中国が配備を増強していく様子を表した図も示した( https://d1e00ek4ebabms.cloudfront.net/production/uploaded-files/Appendix%20I%20to%20CDRUSINDOPACOM%20Sec.%201251%20Indendent%20Assessment%20-%20Executive%20Summary%20-%2027%20Feb%202021-c22ba69c-4e88-4d8d-90d0-1885b2589e20.pdf )。

司令官の発言は、台湾周辺での中国の攻撃的な軍事行動について米国が懸念を募らせるなかで出た。公聴会で、米国は台湾に対する攻撃にどう対応するか明言しない「戦略的曖昧さ」の長期政策を変えるべきかどうか問われると、検証すべきだと答えた。

「40年間に及ぶ戦略的曖昧さは、台湾が現状を保つ上で役立ったが、ご存じのように、こうしたことは定期的に再検討すべきだ。自分も、そうした議論に期待している」と述べた。なお、米軍の広報担当者はこの発言はあくまで一般論として話したもので、政策変更を推奨したわけではない、と語った。

また、デービッドソン氏は中国は過去20年間で核能力を4倍に増強しており、一部の専門家が予想しているように現在のレベルが4倍になれば、20年代末までに米国を追い抜く可能性があると語った。

アーカンソー選出のコットン上院議員は最近延長された新戦略兵器削減条約(新START)により、米国が配備できる核兵器は800基に限られるが、中国は無制限に増強できることを指摘した。

そして、「もし中国が核保有量を3倍あるいは4倍に引き上げたら、中国は20年末までに核能力で米国を追い抜くということか」とデビッドソン氏に問いただした。

司令官は「もし中国が核保有量を4倍に引き上げたとしたらそうなります」と答えた。

一部専門家はこの推計について、米国はまだ中国には追い抜かれないという見方を示した。

「もし中国が核兵器の保有量を増やした場合、200基前半から約900基になる」と米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の中国専門家、ボニー・グレーザー氏は言う。「新STARTでは米国は核兵器を1550基まで配備可能で、現在の保有量は3800基だ。なので、中国の核保有量が4倍になっても米国のそれを大幅に下回る」と説明した。

中国、「ゆでガエル方式」で南シナ海に軍事力配備か

バイデン米大統領はこれまでの発言で、台湾周辺や南シナ海のその他海域、東シナ海での軍事活動をめぐって中国に対して厳しい姿勢をとってきた。大統領は12日、インド太平洋で中国に対抗する協力体制について話し合うため、4カ国協力「クアッド」のメンバーである日本、インド、オーストラリアとの首脳会議を主催する。

こうした状況に呼応するように、先月、米軍の空母2隻が南シナ海で共同軍事演習を実施した。この地域で空母2隻が参加する演習が実施されたのは、12年以来2度目のことだ。また、中国の戦闘機と爆撃機が、南シナ海での軍事演習に参加した空母「セオドア・ルーズベルト」に対するミサイル攻撃のシミュレーションをした後には、米軍の軍艦が台湾海峡を航行している。

中国の軍事的脅威に対応すべく、米軍の空母2隻が南シナ海で共同軍事演習を実施している=ロイター
米インド太平洋軍の情報司令官を務めるマイケル・スチュードマン海軍少将は先週、中国は引き続き、南沙(スプラトリー)諸島を含め、領有権が争われている南シナ海の島々を軍事拠点化していると述べた。

さらに、地対空・沿岸防衛用巡航ミサイルの配備に加え、中国が戦闘機も配備するとみていると述べた。戦闘機の配備は、15年に島を軍事拠点化しないと述べた習近平(シー・ジンピン)国家主席の約束をたがう動きだ。

「どこかの段階で、戦闘機を見ることになるだろう」。スチュードマン氏はこう語った。「最初は数機配備され、その後、少しずつやれば誰も気づかず、大して押し返してこないだろうという、ゆでガエル式のアプローチを取ろうとする。そうしたら、現地に好きなだけ配備できる状況になっている」

By Demetri Sevastopulo

(2021年3月10日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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