[FT・Lex]デジタル通貨、中銀による銀行支援の必要は

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『みなさんは暗号資産(仮想通貨)が混乱をもたらすと思っているのではないか。実際、イタリアの投資銀行メディオバンカが描いた極端なシナリオによると、欧州中央銀行(ECB)が発行するデジタル通貨「デジタルユーロ」が大規模に採用された場合、ECBは金融機関を支援するために介入せざるを得なくなりそうだ。

歴史的に見て、小口資金の取引管理は手間がかかる。各国の中央銀行はおおむねその仕事を銀行に委託してきた。現金…

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各国の中央銀行はおおむねその仕事を銀行に委託してきた。現金を使用する場面が減り技術が進歩する中、デジタル通貨が導入されれば、中央銀行はこうした仲介が一部必要なくなるかもしれない。

欧州連合(EU)は、検討を始めたばかりのデジタルユーロの導入を戦略上の理由から急ぐ可能性が高い。その一つは、あるフランスの政治家の言葉を借りれば、ドルの「法外な特権」に挑むことだ。仮想通貨や他の中銀のデジタル通貨(CBDC)がユーロに取って代わるのを未然に防ぐ狙いもあるだろう。

中国人民銀行(中央銀行)はデジタル通貨で先行している。選ばれた都市では、スマートフォンを使ってデジタル人民元による支払いができる。来年、デジタル人民元による小口決済が開始されれば、続いて国境をまたいだ貿易決済もそうなるだろう。

約1兆ユーロが交換される可能性
 
現在のデジタルユーロ計画では、利用は小口決済に限られる。金利がマイナスまたは極めて低い水準にとどまるなら、現金をデジタルユーロに替えようと貸し出し原資の一部となる預金が口座から引き出され、資金が枯渇する恐れがある。アンドレア・フィルトリ氏らメディオバンカのアナリストは、仮にユーロ圏の世帯と非金融機関がデジタルユーロを上限額の3000ユーロ(約38万円)までそれぞれ保有した場合、1兆ユーロ近くがデジタル通貨に交換されると推定する。

それでも調達コストは小幅な増加で済むだろう。だが危機が起き、家計も企業も預金の大半を交換したとすれば、コストは膨らむ。ECBは市場が混乱し銀行の収益が激減しそうな事態に直面して、銀行を支えるために介入に動かざるを得なくなるはずだ。

こうしたシナリオを見て、陰謀論者は「超国家としての欧州」を恐れるのは正しかったと結論づけるかもしれない。現実には、中央銀行もそうした責任を背負わされる可能性を同じくらい恐れているに違いない。それでも仮想通貨が法定不換紙幣(政府が発行したお金)に置き換わる兆しがみられた場合、CBDCが代替通貨だと広く言い立てられるのは確実だ。

(2021年3月9日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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