米2閣僚来日、コロナ下の対面協議 中国名指し批判で調整

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『日米両政府は16日にも、都内で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開く。共同発表する文書は、沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入などを繰り返す中国を名指し、懸念を示すよう調整する。バイデン米政権が安全保障や技術力で中国との対抗意識を鮮明にするのを踏まえ、日米の対中協力を広げる。

日本側は茂木敏充外相と岸信夫防衛相、米側はブリンケン国務長官とオースティン国防長官がそれぞれ参加する。日米2プラス2はワシン…

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日米両政府は16日にも、都内で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開く。共同発表する文書は、沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入などを繰り返す中国を名指し、懸念を示すよう調整する。バイデン米政権が安全保障や技術力で中国との対抗意識を鮮明にするのを踏まえ、日米の対中協力を広げる。

日本側は茂木敏充外相と岸信夫防衛相、米側はブリンケン国務長官とオースティン国防長官がそれぞれ参加する。日米2プラス2はワシントンで2019年4月に開いて以来。今年1月のバイデン政権発足後、閣僚の来日も初めてになる。

今回の最大のテーマが中国への抑止力強化だ。日米4閣僚は米軍による日本の防衛義務を定めた日米安保条約5条を尖閣に適用すると改めて確認する。中国が2月に施行した海警局を準軍事組織に位置づける「海警法」についても懸念を示す。

日米2プラス2は両国の安保政策を擦り合わせる最上位の協議体だが、これまで中国の海洋進出を名指しして批判することはしなかった。日米ともにサプライチェーン(供給網)を中国に依存しており、対中関係の悪化を経済などに飛び火させたくないとの思惑があった。

前回19年の2プラス2の共同文書は東シナ海での「現状を変更しようとする一方的かつ威圧的な試みに深刻な懸念」を表明した。中国の海洋進出が念頭にあるが、直接の言及は避けた。17年の前々回も名指しせず「東シナ海の平和と安定」のための日米協力と記すにとどめた。

今回の2プラス2で中国へのメッセージを明確に出すのは、日米の対中認識の変化がある。バイデン政権は3日に暫定版の国家安全保障戦略をまとめ、中国を経済や技術力などあらゆる面で「国際秩序に挑戦する唯一の競争相手」と位置づけた。「新しい国際規範や合意を形作るのは米国だ」と強調した。

中国に依存する半導体や電池、レアアース(希土類)の供給網を見直す方針も打ち出した。バイデン大統領が2月に署名した大統領令は同盟国との連携を明記し、日本や韓国、オーストラリアなどからの調達を増やしていく。米国内の生産拡大も促す。

国防総省のカービー報道官は2月23日、海警局による尖閣周辺の領海侵入について「誤算につながり、物理的な損害を生む可能性がある」と批判した。

バイデン政権が対中強硬戦略をとるうえで、日本との協力は欠かせない。日本にとっても米側のこうした姿勢は追い風となる。尖閣周辺の接続水域では中国海警局船による航行が常態化し、領海侵入も相次ぐ。海警局に武器の使用を認める海警法の施行により、現場海域で警備にあたる海上保安庁の緊張感が高まっている。

日本は日米安保条約5条の適用という「有事」にとどまらず、米国の関与を発信する好機と捉える。日米両政府が4日にオンライン形式で開いた外務・防衛当局の審議官級協議でも海警法について意見交換し、深刻な懸念を共有した。

2プラス2では香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権問題でも中国への懸念を確認する方針だ。北朝鮮の核・ミサイル開発の抑止や、宇宙・サイバーといった新たな領域での防衛協力も話し合う。

日米は豪州とインドを交えた日米豪印4カ国の枠組みも活用する。12日にも初めての首脳会合をオンライン形式で開き、安保面の連携を申し合わせる。新型コロナウイルス対策を巡ってはワクチンでの協力を探る。中国が自国産を各国に供給する「ワクチン外交」に対抗する。

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岩間陽子のアバター
岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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ひとこと解説 言葉ではっきり立場を示すことはもちろん大事です。しかし、力と行動に裏打ちされていない言葉に限界があることは、オバマ政権時代のアジア政策で明白です。今回は、日米共同で東アジアでの抑止力を強化していくためのロードマップをしっかり示してもらえればと思います。
2021年3月9日 14:50いいね
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細谷雄一
慶應義塾大学法学部 教授
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分析・考察 現段階では、日米両国政府とも、安全保障研究の「教科書」にあるような、きわめてオーソドックスで、合理的な対応を進めており、かなりの程度安心してみることができます。日米両国政府とも、中国に対して現状変更の軍事力行使を抑制するための、明確な意思表明と、必要な軍事態勢を整えており、さらには日米両国での同盟関係強化と同盟関与の確認、さらにはクアッドのような拡大した結束を強める。ただし、アメリカ政府は同様の措置をとりながらも(経済制裁、安保協力強化、明確な意思表示)、1941年12月の日本は、「清水の舞台から飛び降りる」つもりで、真珠湾攻撃という非合理的に思える冒険に出ました。それほど国際政治は複雑です。
2021年3月9日 14:01いいね
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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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分析・考察 米国の尖閣への関与を深めるのは日本に得策です。一方で米国内には尖閣での日中間の衝突には巻き込まれたくないとの消極論もあります。いざとなった場合の混乱の現場に米軍が速やかに援軍に駆けつけてくれる保証はありません。大型の武装漁船が尖閣上陸を試みるといった平時とも有事ともつかないグレーゾーン事態で海保と海自がどう連携して対処するか、足りないものはないか。日本の問題として国内で詰めた議論を急ぐべきだと思います。
2021年3月9日 12:47 (2021年3月9日 12:49更新)
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