米、アフガン和平へ多国間協議 タリバン包囲網狙う

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『【ワシントン=中村亮、ニューデリー=馬場燃】バイデン米政権はアフガニスタン和平に向け、ロシアや中国、イランなどを交えた多国間協議を開く検討に入った。アフガンの治安改善や戦争終結に向けて共通の立場を示し、アフガンの反政府武装勢力タリバンに対話を促す。和平進捗を踏まえ、米軍撤収の是非を判断する。

米国のアフガン和平担当特別代表を務めるザルメイ・ハリルザド氏は7日までにアフガンの首都カブールでガニ大統領、カタールの首都ドーハでタリバン幹部とそれぞれ会談した。バイデン政権の発足後、ハリルザド氏がアフガン和平をめぐり関係者と面会するのは初めて。

トランプ前政権は2020年2月にタリバンと結んだ合意で、21年5月1日までに米軍が完全撤収すると約束。その代わりにタリバンも暴力行為を減らしたり、国際テロ組織との関係を断絶したりするとした。合意はアフガンの統治体制や恒久停戦のあり方について、アフガン政府とタリバンの直接対話に委ねた。

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日本経済新聞はブリンケン米国務長官がアフガンのガニ氏に宛てた書簡を関係者から入手した。ハリルザド氏がカブールで会談した際にガニ氏に渡したとみられ、アフガン和平に向けたバイデン政権の新たな指針となる。バイデン政権はタリバンが合意事項を順守していないとの見方を強めており、トランプ政権の方針を修正する構えだ。

書簡によると、米国はアフガン隣国の中ロやイラン、インド、パキスタンを交えた6カ国協議を開くよう国連に要請する。「アフガン和平を支援するための共通のアプローチを議論する」と目的を説明した。バイデン政権が外交政策の理念とする国際協調を体現するもので、トランプ政権は地域外交を軽視していた。

パキスタンは01年の米同時テロ前の旧タリバン政権を支援し、米国はいまもパキスタン軍がタリバンの一部を支援しているとみる。ロシアとイランは今年に入ってタリバン代表団と会談し、中国もタリバンと頻繁に接触しているとされる。各国ともタリバンと緊密な関係を構築し、アフガン政府とタリバンが直接対話を経て、中長期的に発足を探る新政権に影響力を行使する思惑がある。インドはアフガン政府と近い関係にある。

トランプ政権は18年、パキスタンへの軍事資金支援を停止。タリバンに和平対話に向けて圧力をかけるようパキスタンに促したが、十分な協力は得られなかったとの見方が多い。国際危機グループのアンドリュー・ワトキンス上級分析官は「パキスタンは圧力をかけるほどタリバンが中ロ・イランに接近し、自国の影響力が低下すると懸念している」と指摘。タリバン包囲網を構築するには関係国を交えた多国間外交が必要だとみる。

多国間協議は各国の利害が対立し、アフガン和平に向けて統一した方針を示せるかどうかは流動的だ。

ブリンケン氏は書簡で、多国間協議でアフガン政府とタリバンに対話を迫り、両者が数週間内にトルコで会談し、和平合意を結ぶよう促すとした。バイデン政権がたたき台として示した和平合意案はアフガンの民主化を進めるため、女性の権利保護や言論の自由を憲法で尊重するよう促した。和平合意に達すれば、タリバンの代表者を含む暫定政権を発足させるという。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは6カ国の多国間協議にアフガン政府やタリバンの代表者が参加し、暫定政権発足に向けた対話を進める案があると報じた。国務省のプライス報道官は5日の記者会見で「我々は同盟国や地域の周辺国と緊密に協議しており、さまざまな案を検討している」と説明しており、和平に向けた方式や手順をさらに詰める。

目先の焦点は5月1日に期限を迎える米軍撤収だ。米国の意向に反し、撤収期限までにアフガン政府とタリバンの和平交渉が一気に進むことは難しい。アフガンの治安悪化を防ぐために駐留延長が必要だとの見方が多い。

ブリンケン氏は書簡で、期限通りの撤収を検討しているとしつつも「別の選択肢も検討している」と説明した。「米国が米軍撤収後にアフガン政府軍に財政的支援を続けても治安状況が悪化し、タリバンが支配地を早期に奪取すると懸念している」と指摘。撤収延期の可能性を示唆した。

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