香港、「親中派」選挙委の権限拡大 候補者指名や議会に選出枠

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『【香港=木原雄士】中国は5日に開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で香港の選挙制度見直しの骨格を示した。親中派が多数を占める行政長官選挙委員会が、立法会(議会)選挙の全候補者を指名し、同委メンバーが議員になる議席枠も新たにつくる。香港に高度の自治を保障した「一国二制度」が終わる。

王晨・全人代常務委員会副委員長は同日、全人代で行政長官と立法会の選挙制度を定めた香港基本法の付属文書を全面的に改正すると説明した。香港の立法作業を経て適用する。

最大の特徴は行政長官を選ぶ選挙委員会の役割拡充だ。現在は産業界の代表ら1200人で構成する。香港メディアによると、中国の国政助言機関である全国政治協商会議(政協)のメンバーなど親中派を大幅に増やし1500人にする。民主派の総取りが予想される区議会議員枠(117人)は減らし、親中派が確実に過半数を握る構成にする。

そのうえで、選挙委に立法会の候補者を指名する権限を持たせる。選挙委の一定数の推薦がなければ、立候補できない仕組みが想定されている。さらに立法会の議席の一部は新たに選挙委メンバーに割り当てる。ネットメディア「香港01」によると、立法会の定数を70から90に増やし、うち選挙委が40議席を占める。

一般市民が投票で選ぶ直接選挙枠は現行の35から20に減らす方向だ。民主派が強い区議枠もなくし、民主派が過半数を取る可能性は限りなくゼロに近くなる。

香港基本法は「最終的に全議員を普通選挙で選出することを目標にする」と定める。同法に従い、1997年の中国返還以来、一般の投票枠を徐々に広げてきた経緯がある。王氏は「これが香港の特色ある新たな民主制度だ」と主張したが、幅広い民意を反映しない、形ばかりの選挙になる恐れがある。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は5日、全人代の方針を支持し、立法作業の準備を進めるとの声明を出した。大幅な改正になるため、9月に予定する立法会選は昨年に続いて延期になるとの観測が出ている。昨年は新型コロナウイルス流行を理由に1年延期した。

香港民主派重鎮の劉慧卿(エミリー・ラウ)氏は「香港人に何の相談もなく政治システムを解体する決定が行われている。一国二制度の終わりで、もはや自治は存在しない。中国政府は基本法の約束を尊重すべきだ」と批判した。

欧州連合(EU)は5日「このような見直しは民主主義の原則や民主的に選ばれた代表に幅広い悪影響をもたらす可能性がある」とする報道官の声明を出した。

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