米ハイテク株が乱高下、ナスダックは調整局面入り迫る

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05EMF0V00C21A3000000/

『【ニューヨーク=宮本岳則】5日の米国株式市場ではハイテク株が乱高下をみせた。電気自動車(EV)大手テスラなど主力銘柄への売りでナスダック総合株価指数は午前に直近高値からの下落率が10%を超え、一時「調整局面」の水準に入った。ところが売り一巡後に急速に下げ幅を縮め、プラス圏で終えた。米長期金利の動向をにらみながら、しばらく不安定な値動きが続きそうだ。

【関連記事】
NYダウ反発572ドル高 雇用統計で景気回復期待強まる
米、2月は雇用37万人増 失業率も6.2%に改善
「空箱」上場400社、米M&Aを席巻 緩和マネーが拍車

足元の株式相場を動かしているのは米国の金利動向だ…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り1464文字

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

有料会員に登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGM010QT001022021000000&n_cid=DSPRM1AR07

無料会員に登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGM010QT001022021000000&n_cid=DSPRM1AR07#free

ログインする
https://www.nikkei.com/login

足元の株式相場を動かしているのは米国の金利動向だ。5日の米債券市場で10年物国債の利回りが一時1.62%と前日に比べて上昇した。2020年2月以来の高水準となる。同日公表の2月の雇用統計で、市場予想を上回る雇用者数の増加となり、今春以降の景気回復見通しが強まった。ハイテク株は金利上昇局面で「割高感が意識されやすい」(米インバーネス・カウンセルのティム・グリスキー氏)。テスラ株は一時前日比13%安まで売られたほか、ビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズも8%安まで下げた。

ハイテクETFからの資金流出を注視

大型ハイテク株ファンドからの資金流出が売りの一因とみられている。市場が注視するのは米資産運用会社アーク・インベストが手掛ける上場投資信託(ETF)。運用資産総額210億ドル(2兆2000億ドル)超の旗艦ファンド「アーク・イノベーションETF」から断続的に資金が流出している。組み入れ銘柄首位はテスラだ。ファンドの換金売りが株安を招き、株安がさらなるファンド解約を誘発する悪循環が警戒されている。

ナスダック総合株価指数は5日午前に一時、2.6%安まで下落した。2月12日に付けた史上最高値からの下落率が12%となり、「調整局面入り」の目安とされる10%を超えた。調整局面に入ると相場停滞がしばらく続きやすい。ハイテク売りを受けて、別名「恐怖指数」と呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は一時、前日比5%高い30台に上昇した。相場のけん引役だったハイテク株が変調をきたせば、先行き不透明感が強まる。

もっとも午後に入ってハイテク株売りが一巡すると、ナスダック指数はプラス圏に浮上した。終値ベースでは4日ぶりの反発となり、調整局面入りの水準からも脱した。テスラ株にも押し目買いが入り、4%安で5日の取引を終えた。「市場全体から資金が出ているわけでなく、組み入れ銘柄の入れ替えにすぎない」。米サスケハナ・ファイナンシャル・グループのデリバティブ戦略共同責任者、クリストファー・マーフィー氏はこう指摘する。

投資家は金利上昇と景気回復見通しを受けて、ハイテク株偏重の組み入れを見直し、エネルギー株や素材、資本財に資金を移していた。景気敏感株の構成比率が高いダウ工業株30種平均は5日、主要指数の中でいち早くマイナス圏を脱し、前日比1.9%高で終えた。サスケハナのマーフィー氏の見立てでは、投資家による銘柄入れ替えが終盤を迎えており、ハイテク株の反発につながった。

来週も金利動向をにらみながらの展開になりそうだ。市場では良好な経済指標などを受けて、インフレ加速の観測が出ている。FRBは早ければ今年中にも資産購入の減額に着手するとの思惑も浮上しており、金利上昇圧力は強い。「市場関係者は来週実施される米10年債と30年債の入札に注目している」。米プルデンシャル・ファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏はこう話す。入札不調で金利上昇に弾みが付けば、再びハイテク株売りがかさむ可能性がある。

SPAC市場に変調の兆し
特別買収目的会社「SPAC」市場では、変調の兆しがみられる。SPACとは有望企業との合併のみを目的とする「箱」のような会社だ。20年以降、カネ余りを背景にSPACの上場が急増し、今年に入ってからはSPACと新興企業の合併が相次ぐ。合併前のSPACと合併新会社で構成するSPAC指数は年初来のリターンがマイナスになった。「SPAC指数の下落はバブル崩壊のサイン」(米運用会社GMO創業者のジェレミー・グランサム氏)との指摘もあり、一部で警戒を呼んでいる。