民主国家の浮沈かかる5年 中国に経済再生・連携で対峙

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『仏皇帝ナポレオンが「眠れる獅子」と評した中国は、とうに目覚めた。そしてますます大きく、強くなっていく。

5日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)。李克強(リー・クォーチャン)首相は政府活動報告でコロナ対策の成果を誇り、プラス成長を維持したと自賛した。香港の民主化を封じ込める選挙制度の見直しにも取り組む考えを示した。

2021~25年の5カ年計画では経済成長率の目標を見送ったが、計画終了時には中…

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2021~25年の5カ年計画では経済成長率の目標を見送ったが、計画終了時には中国の国内総生産(GDP)が米国に近づきそうだ。28年には世界最大の経済大国に躍り出るとの予測もある。

世界に冠たる製造強国やネット強国、強軍などを目指す計画も着々と進む。共産党の統制は一段と強まり、香港だけでなく台湾の将来も危うい。そんな異形の権威主義国家が、米国に肩を並べる時代が目前に迫る。

世界の覇権を争う米中は、100年続くマラソン競争を演じているというが、最も過酷なのは今後10年のスプリント競争だ――。米政治学者のマイケル・ベックリー氏らは、いまが米国を中心とする民主主義国家の勝負どころだと論じた。

GDPで米国を抜き去れば、中国は現体制への自信を深める。国際秩序への挑戦や人権の弾圧を抑え込むのが、より困難になるかもしれない。だからこそ中国と対峙しつつ、決定的な衝突を回避する体制づくりをこの5年間で急ぐ必要がある。

問題は民主主義国家そのものの揺らぎだ。米国は独善的なトランプ前政権の下で政治の劣化や社会の分断が深まり、国際的な威信も低下した。欧州連合(EU)は英国を失い、ハンガリーやポーランドなどの強権政治を止められずにいる。

米人権団体フリーダムハウスによると、20年は世界人口の75%近い国・地域で民主主義が後退した。権威主義国家の伸長ばかりではない。コロナ禍の影響もあって、民主主義国家の変質も鮮明になりつつある。

米政治学者のヤシャ・モンク氏は、いまや民主主義のプロモーション(促進)でなく、プロテクション(保護)に力点を置かざるを得ないと説いた。その努力を怠ったままでは、中国との長い戦いを続けるスタミナも影響力も維持できない。

「より良き再建」。米バイデン政権に限らず、民主主義国家の経済再生は喫緊の課題だ。コロナ危機の克服はもちろん、その後も見据えたグリーン投資やデジタル投資の戦略を練り、中長期的な成長の基盤を固めたい。

同時に民主主義国家と国際機関が連携し、中国に圧力を加え続ける必要がある。存在感の低下が著しいとはいえ、日米欧7カ国(G7)のGDPが世界に占める割合は25年時点でも4割を超え、中国の2割を上回る。「目覚めた獅子」と対峙するには、そんな王道を地道に歩むしかない。

(編集委員 小竹洋之)

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