中国5カ年計画、研究開発費を年7%増 成長目標見送り

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『【北京=多部田俊輔】李克強(リー・クォーチャン)首相は5日、2021~25年の5カ年計画で研究開発費を年7%以上増やすと表明した。ハイテク分野で米国に対抗するが、同計画では平均成長率の目標設定を見送る異例の措置も取った。米国を刺激しないよう配慮したとの見方があり、硬軟両様で対米長期戦に備えるとみられる。

5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告に「科学技術の自立自強を国家発展の戦略の柱として、かなめとなる技術開発の攻防戦に打ち勝つ」と盛り込んだ。官民あわせた研究開発費を年平均7%増とし、5年間で4割以上増やす。

20年の研究開発費は2兆4400億元(約41兆円)だった。10年前の3.5倍まで増えた。文部科学省科学技術・学術政策研究所によると、中国の研究開発費は09年に日本を上回り、足元で世界首位の米国に匹敵する。

最重視するのは基礎研究だ。習近平(シー・ジンピン)国家主席は昨年9月の会議で「我々は(半導体など)『弱点』の技術問題に直面しており、基礎分野の遅れが根っこにある」と指摘した。5カ年計画では基礎研究費を全体の8%以上に高める。20年は6%なので大幅な増加となる。

次世代人工知能(AI)、量子情報、半導体、脳科学、遺伝子・バイオテクノロジー、臨床医学・ヘルスケア、宇宙・地球深部・極地観測という7つの重点分野を挙げた。基礎研究の10年実施計画を策定する。政府からの財政投入を増やし、企業の基礎研究で優遇税制を導入したり、ファンドを立ち上げたりする。

世界知的所有権機関(WIPO)によると、特許の国際出願件数で中国は19年に米国を抜いてトップを奪い、20年も16%増と加速して1位を持続した。企業別では中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が4年連続で1位となった。

サプライチェーン(供給網)の整備も進める。米国から弱点として狙われた半導体では材料や製造設備などの技術開発などに力を入れ、米国の制裁にも対応できる「より安全で、より確実なサプライチェーン」の形成をめざす。

5カ年の目標として「国家経済安全保障を強化する」と掲げるが、中国だけで先端技術をすべてそろえるのは難しいうえ、コスト負担は重い。中国経済の成長を下押しする恐れがあるほか、自由な発想が求められる研究開発が統制色の強い体制下で進むのか懐疑的な見方もある。

一方、5カ年計画では市場関係者らが注目していた平均成長率の数値目標を設定しなかった。78年の改革開放後に策定した5カ年計画で、目標の見送りは初めて。

トランプ前政権で急速に悪化した米中関係は、バイデン政権の発足後も好転の兆しがない。神戸大学の梶谷懐教授は「米国との対立で技術者の交流が停止する恐れがある。こうした不確実性が高いから目標を見送ったのではないか」と話す。高い目標を公表し、米国の警戒感を高めることを避けた可能性もある。

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