米、対中抑止へ「インド太平洋」重視 国務長官ら来日 日米豪印首脳協議、来週にも実施

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『米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官の3月中旬の来日が固まった。バイデン政権発足後、両閣僚の外国訪問は初めてで、韓国など他のアジア諸国も訪れる方向だ。米国が最大の脅威と位置づける中国の抑止を念頭に、インド太平洋地域を重視する姿勢を鮮明にする。

米国は両閣僚を日本に派遣するのに先立ち、来週にも日本やオーストラリア、インドとの4カ国首脳によるオンライン形式での協議も実施する。これまでは外相級…

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これまでは外相級で開いてきた。首脳レベルの話し合いは初めてとなる。

米国務省のプライス報道官は4日の記者会見で「米国はインド太平洋地域に深く関与していく」と強調した。ブリンケン氏らの具体的な訪問日程への言及は避けた。

2閣僚の来日は15~17日で調整しており、日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開く。日本以外の訪問先に韓国やオーストラリアなどが候補に挙がる。

新型コロナウイルスの影響で対面での外交は滞っている。

ブリンケン氏が2月末に実施した隣国のカナダやメキシコの外相らとの協議もオンライン形式だった。ブリンケン氏は「次善の策」と位置づけ、プライス氏も「長期的にみて対面外交の代替になるわけではない」と認めていた。

そうした厳しい制約のなかで両閣僚がわざわざ来日するのは米国が対中戦略で日本をはじめ、アジアの関係国との緊密な擦り合わせが必要とみているためだ。

同盟国重視を掲げるバイデン政権は戦略の策定にあたっても、同盟国や友好国の意見を十分に踏まえると明言している。「米国第一」を唱えたトランプ前政権との違いを打ち出す。

「2026年までは中国が軍事力を増強し、武力によって地域の現状変更をする可能性がある期間だ」。米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は4日の講演で中国の軍事行動への警戒感を示した。「現状変更が起きれば恒久的なものになるだろう」との懸念も表明した。

日米豪印4カ国の枠組みについては「協力を前向きに進める民主主義の集まりだ」と述べ、重視する方針を強調した。

日本政府は米国のインド太平洋重視の姿勢を歓迎する。バイデン政権との間での強固な日米同盟を国際社会に訴える好機と捉える。

国務長官らの来日に先立ち、日米両政府は4日にオンライン形式で外務・防衛当局の審議官級の協議を開いた。

米国務省によると、中国が2月に施行した海警局を準軍事組織に位置づける「海警法」への懸念で一致し、東シナ海や南シナ海での一方的な現状変更の試みに強く反対すると申し合わせた。日米2プラス2に向けた調整の一環にあたる。

日本にとって安全保障上の足元の懸案は沖縄県尖閣諸島周辺への中国海警局の船による相次ぐ領海侵入だ。中国の海警法施行後、緊張が高まっている。

日米両政府は1月以降、米軍の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約5条が尖閣にも適用されると繰り返し確認した。日本側には領海侵入という「有事」ではない事態でも米国が関与する姿勢を発信する狙いがある。

日米の役割分担のあり方はこれからの課題になる。バイデン政権は新型コロナ対策や国内の分断解消など内政を優先し、安保協力に割く余力は乏しい。日本側では安保面でさらなる負担増を求めてくるとの見方がある。

例えばサイバー攻撃への対処能力や宇宙を使ったミサイル防衛体制などで日本の役割に期待をかけるとみられる。米政府が検討する中距離ミサイル網の構築も論点の1つとなる。

中国の人権状況への対応も日米で擦り合わせる必要がある。米国は香港や新疆ウイグル自治区での人権問題に厳しい姿勢で臨む。

バイデン政権は議会に提出した通商政策報告書で中国の人権侵害問題に「最優先で対処する」と記載した。日本は中国との経済的な結びつきが強い。安保面で連携を強めつつ、人権問題で米国とどこまで足並みをそろえるかは難しい判断となる。

(ワシントン=永沢毅、加藤晶也)