メキシコ、電力産業法を国営優先に改定 日本企業も懸念

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『【メキシコシティ=宮本英威】メキシコの電力分野で国営企業を優先する法改定が決まった。国営公社が不足電力を補うために民間企業と結んだ売買の契約条件を修正できるなど、民間企業に不利な内容を含んでいる。ロペスオブラドール政権は民間のビジネスをさまたげる政策を重ねて導入しており、国内外の企業や経済団体の反発が強まっている。

連邦議会上院は2日、電力産業法の改定法案を賛成多数で可決した。下院は2月24日に通…

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下院は2月24日に通過しており、ロペスオブラドール大統領の署名を経て、近く公布される見通しだ。

政府は2月1日、議会に優先法案として提出しており、1カ月あまりのスピード決着だった。ロペスオブラドール氏は3日朝の会見で「電力公社CFEの強化に役立つ」と強調した。

今回の法改定を通じ、過去にCFEが民間企業と結んだ売買契約の条件が、公社側に有利に変更される可能性がある。ロペスオブラドール氏は「CFEは3000億ペソ(約1兆5000億円)払いすぎている」と主張している。

国家エネルギー管理センター(CENACE)が管理する電力を巡っても、火力中心のCFEが発電した電力の採用が優先される。発電コストが低い順から受け入れられ、民間企業が有利な現在の規則が改まる。

こうした改定は消費者の負担増になるとの見方が一般的だ。代表的な経済団体CCE(企業家調整評議会)のカルロス・サラサル会長は3日、「民間事業者の発電コストはCFEよりも26%も低い」と強調し、法改定への懸念を改めて表明した。

CCEによると、法改定で国の電力調達コストは2022~26年の5年間で158億2600万ドル(約1兆7000億円)増え、電力料金の17%引き上げにつながる可能性があると指摘する。

今回の改定が、メキシコ憲法の保障する自由競争の原則や通商協定に違反するとの見方も多い。ペニャニエト前政権で経済相を務めたグアハルド氏は、北米自由貿易協定(NAFTA)にかわる新協定USMCAや環太平洋経済連携協定(TPP)に違反すると指摘する。協定が定める投資や国有企業の条項に反するとの見方を示し、「投資家に対して反競争的な条件をつくることはできない」と話す。

米国務省幹部も2月末に「メキシコには利害関係者の話を聞くように促している。投資の自由と透明性の環境があれば企業はメキシコへの投資を続ける」と表明している。メキシコによる火力中心の国営企業重視は、バイデン米政権の環境重視とも逆行し、将来的な両国間の火種となる可能性もある。

外国企業の間での懸念は特に強い。在メキシコの米商工会議所や日本商工会議所は2月、法改正への懸念を表明した。日本企業では三井物産、三菱商事、東京ガスなどがメキシコで発電プロジェクトに参画している。ある日本企業の現地法人幹部は「弁護士と相談して訴訟の準備を進めている」と明かす。

諸外国からの懸念に対してロペスオブラドール氏は「我々は独立国だ」と述べ、反発を示している。

メキシコのエネルギー政策を巡っては、12~18年のペニャニエト前政権下で自由化が進んだ。再生可能エネルギーを中心に民間の関与は増えたが、国営企業の経営には打撃となった。

18年12月に発足した左派のロペスオブラドール政権は、国営企業の役割を重視し、民間投資を阻害する事例が目立つ。新空港建設や油田入札などを取りやめ、米企業が建設中のビール工場の操業許可を取り消したこともある。

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