[FT]米、日豪印とアジアへのワクチン配布で協力へ

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『米国は日本、インド、オーストラリアと協力し、中国の影響力拡大に対抗する広範囲な戦略の一環として、アジア諸国に新型コロナウイルスのワクチンを配布する計画を進めている。

米政権はここ数週間にわたり、外交・安全保障構想である日米豪印の枠組み(英語で4を意味する)「QUAD(クアッド)」関係国と協議を重ねてきた。協議内容に詳しい関係者6人が明らかにした。

事情に詳しい2人の関係者によると、近く発表すること…

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事情に詳しい2人の関係者によると、近く発表することを目指す措置の中には、影響力の拡大を狙う中国に対抗するワクチン配布の取り組みも含まれるという。

バイデン米大統領は、同盟国とより緊密に連携していく姿勢を強調している。中国が軍事的、経済的に攻勢を強めていることに対して、(インド太平洋)地域で警戒感が高まっていることも支援材料となっている。

「バイデン政権は、クアッドを米国のアジア政策活動の中核にすえようとしている」と戦略に詳しいある関係者は説明する。

高まる4カ国の協力機運

米政権のインド太平洋調整官で、クアッドの取り組みを率いるカート・キャンベル氏は、関係国の大使とすでに何度か会談している。2004年、インドネシアと東南アジアの一部に壊滅的な被害をもたらしたインド洋大津波に対応したのがもともとの出発点だ。

現在協議されている戦略は、ワクチン配布よりも野心的で、長期にわたって影響を及ぼすものだとある関係筋は話す。「米国がインド太平洋地域で目指す大規模かつ大胆な取り組みに向けた準備は、最終段階に入っている」という。

この関係筋はさらに、クアッドがパンデミック(世界的大流行)や気候変動、そして地域の安全保障問題など国際的な問題に対応する必要性について「深く認識している」と指摘し、海洋協力を深め、サイバー防衛などの分野でも関係をどのように強化できるかを協議中だという。

中国はこの枠組みをアジア版「北大西洋条約機構(NATO)」と呼び、地域の緊張を高める引き金になると批判している。

クアッド4カ国は取り組みを純粋な中国対抗策ではなく、建設的な構想に沿う動きだとしている。しかし、複数の関係者が本音で明かしたところによると、中国が攻勢を強めていることを受け、もっとやらなければならないという機運が高まっている。

トランプ前政権時代の枠組み

米シンクタンク、ブルッキングス研究所のインド専門家であるタンビ・マダン氏は、コロナワクチンに焦点を当てることで、クアッドは中国の封じ込めだけを目的としているという他のアジア諸国の懸念を緩和することができるとの見方を示す。

「大津波の後のように、地域に価値を示すことができれば、4カ国だけではなく、地域全体にも付加価値をもたらすことを目に見える形で伝えられる」

トランプ前米大統領は、オーストラリア、日本、インドの政治的な理由もあって機能していなかったクアッドを復活させた。バイデン大統領は、インド太平洋地域の同盟国で親米ムードが強まっている機会をとらえ、構想を強化させたい考えだ。

「米国はクアッドを、これまで築き上げてきた取り組みを基盤に、この地域で決定的な役割を果たすレベルにまで引き上げようと大きく推進している」と交渉に詳しい消息筋は話す。

中国の「威圧的な行動」に懸念

バイデン大統領は、中国が米国の外交政策の最重要課題であることを表明している。最近の演説では、中国政府に対して「経済的虐待と威圧的な行動」をしていると非難し、中国政府の軍事的な圧力も批判している。

中国は、東シナ海の日本が実効支配し中国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺で(領海への侵入など)挑発的な行動を強めている。また、オーストラリアに対しては、豪政府が新型コロナウイルスの発生源の調査を求めた後、経済的な圧力をかけている。

インドと中国の関係は、係争地域を巡って昨年両軍が衝突した際にインド側で21人、中国側で少なくとも4人が死亡した後、急速に冷え込んでいる。インドはそれ以降、中国への経済的な依存を断ち切ろうとしている。

米政府は計画についてコメントしなかった。インドの高官は、海外に配布するためのワクチンをインドで製造し、その費用をより豊かな国が支払う方向で協議が進んでいることを認めている。

インドには、輸出志向の巨大な医薬品産業があり、その中の何社かは海外の組織と提携してワクチンを生産している。インドはすでに約4100万回分のワクチンを新興国市場や国連、そして世界保健機関(WHO)主導で低・中所得国にコロナワクチンを分配する国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」プログラムを通じて輸出している。

By Demetri Sevastopulo and Amy Kazmin

(2021年3月3日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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