東アジア「人口減時代」に突入 想定より10年早く

東アジア「人口減時代」に突入 想定より10年早く
編集委員 村山宏
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 ※ まあ、「老いていくアジア」だ…。

 ※ 労働人口の減少は、必然的に「低成長」をもたらすから、せいぜい「未富先老」にならないように、頑張らないとな…。

『東アジアが日本に続いて人口減少時代に突入した。韓国、台湾、香港では2020年に出生数が死者数を下回る人口の自然減となり、中国も出生数が大幅に減ったもようだ。新型コロナウイルスの影響で21年はさらに出生数が落ち込む可能性がある。想定より約10年も早い人口減少は、長期的な経済成長に重くのしかかる。

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韓国、台湾、香港の20年の人口はそれぞれ3…

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韓国、台湾、香港の20年の人口はそれぞれ3万2700人、7900人、6700人の自然減を記録した。さかのぼれる統計での自然減はいずれも初めてだ。この3カ国・地域では新型コロナ対策が奏功し、死亡者数は例年とさほど変わらなかったが、出生数が大幅に減った。出生数は前年に比べそれぞれ10%、7%、18.5%も減った。

人口14億人とされる中国も自然減へと近づいている。公安省によると、20年の新生児数は15%減の1003万5000人。中国の毎年の死亡者数は1000万人弱で推移しており、出生数と死亡数がほぼ並んだようにみえる。もっとも公安省の集計は登録ベースのため、未届けが大量に存在すると考えられていることには留意が必要だ。国家統計局は20年に実施した10年に1度の「人口センサス」を踏まえ、4月以降に20年の出生数を公表する予定だ。

妊娠期間を考慮すると、新型コロナが20年の出生数に与えた影響は限定的だったとみられる。出生数の減少は新型コロナよりも、むしろこれまでの婚姻数の減少が直接的な原因だった可能性が高い。中韓台はコロナ前から結婚の減少が続いており、いずれも婚姻数は15年から19年で1~3割ほど減少した。住宅費の高騰などで、若い世代が厳しい経済環境に置かれていることが理由に挙がる。コロナの影響もあって20年の婚姻件数が前年比で1割ほど減っており、21年の出生数が一段と落ち込む要因になりそうだ。

少子化は経済水準との関連性が高い。1970年代の日本は合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)が2.0前後で推移し、人口の維持に必要な数の子どもがほぼ生まれていた。だが1人あたり国内総生産(GDP)が1万ドルを上回った80年代半ばに低下が顕著となり、90年代半ばに1.5を下回った。韓台は90年代前半に1万ドルを超えたが、やはり10年後の2000年代に1.5を割った。中国も19年に1万ドルを超えており、経験則からみて、出生率が急低下する時期を迎えつつある。

日本と他の東アジア地域が異なるのは少子化のスピードだ。日本は00年代に人口の自然減が始まったが、合計特殊出生率はおおむね1.3以上を維持してきた。これに対して韓国は18年に0.98となり、20年は0.84に低下した。台湾は1.0前後で推移している。一部の試算では中国も1.2~1.3まで低下している。急激な人口減少は「人口の崖」をつくるが、このままでは日本以上に険しい崖ができかねない。

これからの十数年は、急激な少子化に歯止めをかけられる最後のチャンスとなる。中国、韓国、台湾のいずれも2000年まで出生数が現在の2倍前後あった。20歳以上の人口比率はまだ高く、この世代が出産を増やせば人口減少を食い止められる。だが、ベビーブームが終わった01年以降はいずれの国・地域も少子化が急速に進んだため、十数年後は親となる世代の人口が急減する。

すでに各国・地域とも人口減少の時期が予測や想定より10年ほど早まっている。韓国統計庁は16年末の段階では人口減少が32年から始まると予測していた。国連の人口予測も19年の段階で韓国の人口減少は25年、台湾は30年からとしていた。中国については中国社会科学院が30年、国連が32年から減少に転じると予測しているが、最近の数字を見るかぎり早まる可能性が高い。

人口減少が早まったことで超長期の経済予測にも修正が迫られるだろう。経済成長との関連性が高い生産年齢人口(15~64歳)はすでに中国、韓国、台湾とも減少に転じているが、出生率低下が続けばこちらも想定を上回るスピードで進む。

気がかりなのは人口増加が続く東南アジアの減少も早まる可能性だ。タイやベトナムの人口もあまり伸びなくなってきている。

日本総合研究所でアジア経済を担当する野木森稔主任研究員は「緩やかに進んだ日本の人口減少に比べ、アジアの人口減少はどこも急激だ。人口増加に支えられた経済成長は終わりを迎えつつある。IT(情報技術)利用などで生産性を劇的に向上させなければ日本以上に長期の低成長に見舞われかねない」と警鐘を鳴らす。21世紀はアジアの世紀になるといわれてきたが、人口減少という大きな壁を乗り越えなければならない。

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