中国、チベット開発に5兆円投資 鉄道やダム建設

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『【北京=多部田俊輔】中国はチベットの経済開発を加速する。中国のインフラ建設プロジェクトとしては最大の約5兆円を投じて四川省とチベット自治区を結ぶ川蔵鉄道の主要区間の建設工事に着手し、三峡ダム3基分に相当する水力発電所の開発に乗り出すことも決めた。経済振興を通じて統治を強め、豊富な資源の利用も視野に入れる。

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「習近平(シー・ジンピン)国家主席の指導を堅持して、中国共産党創立100周年とチベット解放70周年を特に優れた実績で迎えよう」。1月に開かれたチベット自治区の人民代表大会でチザラ主席は強調した。

2021年からの中長期計画で、チザラ主席は「国家安全の確保」や「国民生活レベルの向上」などを掲げ、インフラ建設を加速する。習氏が20年11月に開かれた川蔵鉄道の主要区間の着工式で「川蔵鉄道は国家統一を守り、民族の団結を促し、辺境の安定を固めるうえで非常に重要な意義を持つ」と強調したことに応じた施策だ。

川蔵鉄道は辛亥革命の指導者、孫文が100年ほど前に提唱した鉄道路線。これまでに高低差が少ない四川省成都―雅安間を先行して開通させ、チベット自治区の一部区間の工事も手掛けてきたが、習指導部は山あいで工事が難しい主要区間で着工した。

主要区間の投資額は3198億元(約5兆円)。中国メディアによると、三峡ダムの約2500億元を上回る過去最大の建設プロジェクトとされる。設計速度は時速120~200㌔㍍。成都―ラサの総延長は約1800㌔㍍で、鉄道で十数時間で結ぶ見通し。現在は甘粛省や青海省を経由して40時間前後かかるため、半分程度の時間の短縮につながるとみられる。

中国政府は同鉄道を重要プロジェクトに位置づけ、30年前後の開通をめざす。06年に開通した青海省とチベット自治区を結ぶ青蔵鉄道とあわせ、観光客やビジネス客を伸ばし、チベット自治区の経済を振興。08年にラサで起きた騒乱につながる不満を抑え込むことをめざす。

習指導部は外需への依存を修正する経済政策「双循環」にあわせて、チベット自治区で豊富な資源開発を加速するとみられる。新しい鉄道があれば、資源そのものや加工製品を大都市に搬送するコストや時間を節減できるためだ。

中国メディアによると、チベットは銅鉱山が豊富で銅の埋蔵量は全国の省別でトップ。車載電池などに使われるリチウムの主要産地としても知られる。様々な金属製品などに使われる亜鉛鉱や耐火物などに使うクロム鉄鉱、希少な金属のベリリウム鉱など中国有数の鉱山を抱える。

多くの企業が資源開発に乗り出している。中国国有の鉄鋼大手、中国宝武鋼鉄集団はクロム鉄鉱や銅鉱、リチウムの開発を手掛けるチベット自治区鉱業発展総公司に5割近く出資することを決めた。紫金鉱業集団は銅鉱を開発する西蔵巨竜銅業の株式の過半を取得した。政府幹部は「チベットには多くの資源が眠っており、海外に依存しないために資源開発を加速していく」としている。

鉄道建設や資源開発にあわせて、経済振興に不可欠な水力発電所の建設も進める。習指導部は21年からの5カ年計画と35年までの長期目標にチベット自治区を流れるヤルンツァンポ川の電力開発を盛り込んだ。世界最大級の三峡ダムの3基分に相当する6千万キロワットの発電容量を見込むという。

ただ、同河川はチベット高原からインドに流れ込む。中国とインドはヒマラヤ山脈などでの国境が画定しておらず、現地ではにらみ合いが続く。同河川の開発でインドに達する水量に影響が出る恐れがあることなどから、インドが反発するとの見方も出ている。

中国政府はチベットでの大規模な暴動を受けて、インフラ投資などを拡大。16年1月から20年10月までに同自治区に投資した金額は当初計画比で17%増の3136億元に達した。20年の同自治区の域内総生産(GDP)の成長率は7.8%で、全国1位だった。21年も9%以上をめざすとしている。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Economy/China-pours-49bn-into-Tibetan-railway-in-development-push?n_cid=DSBNNAR
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