生保はそれでも株を買う 金利上昇、持続に懐疑的

生保はそれでも株を買う 金利上昇、持続に懐疑的
証券部 佐伯遼
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD0126S0R00C21A3000000/

『米金利上昇を受けて株価が急落した前週末から一転、日経平均株価は1日に大幅に反発した。自律反発の面もあるが、米金利が上がっても株を買い続ける機関投資家の存在は見逃せない。本来なら債券で運用したいが、それでも株しかない。現状では「株から債券」のマネー急転換が生じる可能性は低いといえそうだ。

1日の東京株式市場で日経平均は前週末比697円(2.4%)高の2万9663円で引けた。前週末に1202円安と歴代…

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前週末に1202円安と歴代10位の下落幅となった後だけに、この日は自律反発狙いの買いが入りやすかったが、見逃せないのが機関投資家の買いだ。

「株を買わざるを得ない局面は続いている」。国内生命保険の運用担当者は話す。米10年物国債の利回りが前週に一時1.6%まで上昇し、国内外で債券利回りの水準が高まった。市場では生保マネーの株式から債券へのシフトを予想する声も上がるが事情は異なるようだ。

生保各社は4月からの新年度に向けて、1社数十兆円にもなる一般勘定資産の運用計画を作っている。資産の2割前後を外債で運用することが多いが、米国債の利回りは2018年秋の3%から急低下。足元で上がったとはいえ1年前の水準にも及ばない。

生保が運用の目安とする利回り(予定利率)は一般に平均2%前後とされる。「予定利率との対比で言えば米国債などの利回りは少なくとも2%は欲しい」と別の生保の担当者はいう。結果として国内株式での運用は減らせない可能性が高い。

富国生命保険の小野寺勇介財務企画部長は今後の運用環境について「各国中央銀行による大規模な金融緩和が終わるわけではない」と指摘。「結局は株高・金利低下という流れに戻るのではないか」とみる。

上昇しかけた長期金利を中央銀行が抑え込む動きも見られる。オーストラリア準備銀行は1日、通常の2倍の規模の国債の買い入れを実施。豪10年国債の利回りは前週末に比べて約0.2%低下した。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は現時点では「経済再開や経済成長への市場の期待の表れだ」と静観の構えを崩していないが、景気を冷やす懸念があれば量的金融緩和の強化に動くとみる市場関係者は多い。

株式投資の指標の一つである配当利回りを見ると低下基調にあった。前週、米S&P500種株価指数の配当利回りは、米国債の利回りを下回り、株安の材料になったが、その逆転現象は一時で終わった。

生命保険協会がまとめた一般勘定の利回りは15年度の1.92%から19年度には1.48%まで低下し、運用難はさらに悪化している。内訳をみると、19年度は公社債が1.69%、外債を含む外国証券が1.22%だったのに対して、株式は3.21%。残高は資産全体の1~2割程度にとどまるが、下支え役となっている。

来年度の運用計画が低金利の継続を前提としたものになれば、利回りを確保するためリスク運用をやめるわけにはいかない。世界的な金利上昇の追い風がそよ風にとどまる限りは一定の利回りを見込める株式への資金流入が続きそうだ。(佐伯遼)