スー・チー氏出廷 新たに2件で訴追 拘束長期化へ

スー・チー氏出廷 新たに2件で訴追 拘束長期化へ
国軍、解放要求を無視 デモ制圧継続の構え
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『【バンコク=村松洋兵】ミャンマー国軍のクーデターから1カ月の1日、拘束後に訴追された民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏の審理があった。2月28日には同氏の解放を求める市民らのデモに治安部隊が発砲し、死者は1日あたりで最悪となった。欧米は非難を強めたが、国軍は軟化しない。行政や経済のマヒ状態が続けば再び強硬な手段を使う可能性はある。

スー・チー氏はこれまで、無線機を違法に輸入した輸出入法違反、新型コロナウイルス対策を怠った自然災害管理法違反の2つの容疑で訴追されていた。いずれも量刑は最大で禁錮3年。だが、同氏の弁護士によると、1日の審理では、新たに2件の容疑で訴追されたとわかった。国軍側は訴追を積み上げ、裁判を長引かせる狙いだ。

新たな容疑は、無線機を無許可で使用した電気通信法違反(最大禁錮1年)と、スー・チー氏が党首の国民民主連盟(NLD)のメンバーらの組織「連邦議会代表委員会(CRPH)」の声明が社会を混乱させたとの刑法違反(同2年)の2件だ。

CRPHは2020年11月の総選挙(上下院選)で当選した議員らが参加し、連邦議員としての正統性を主張する。国軍はNLDの大勝という結果を受け入れていない。

1日の審理はビデオ会議方式で開かれた。スー・チー氏の弁護士によると、出廷した同氏の姿が、2月1日の政変後で初めて、画面を通じ確認できた。弁護士は「健康そうにみえた」と記者団に語った。

弁護士によると、1日の審理でスー・チー氏は裁判官に「弁護士と面会したい」と求めた。だが、弁護士のキン・マウン・ゾー氏は法廷で弁護を務めるための正式な手続きを終えておらず、審理に参加できなかった。次回の審理は15日の予定だ。

国軍は裁判を長引かせることで、スー・チー氏の政治への影響力を低下させる狙いだ。その間にデモを制圧し、国内の正常化を目指す。しかし、抗議デモは1日も続き、国軍には焦りもみえる。

1日、ヤンゴンで、指3本を掲げて抵抗の意思を示す抗議デモの参加者=ロイター

2月28日には各地で治安部隊がデモに発砲し、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は声明で「少なくとも18人が死亡した」と指摘した。クーデター後のデモでは、1日あたりで最悪の犠牲者数になった。

欧米は声明の発表直後から国軍を批判。28日にはグテレス国連事務総長が「暴力的な弾圧を強く非難する」と表明した。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は「暴力行為やクーデターの実行者に打撃を与える追加措置を準備している」と説明し、追加制裁の検討を明かした。

中国外務省の汪文斌副報道局長は1日の記者会見で、国際社会はミャンマーの主権を尊重したうえで「民主化のプロセスを支援すべきだ」と指摘。「中国はミャンマー情勢の沈静化を後押しするために、引き続き建設的な役割を発揮していく」と語った。

国軍は国際社会の批判や懸念に戸惑いを隠せない。デモ制圧の当事者はもっぱら警察で、兵士は目立たないようにしている。23日の国営紙は、国軍のミン・アウン・フライン総司令官が、その時点でのデモの死者が「4人だけだ」と述べたと伝えた。

国軍が本格的なデモ制圧に乗り出せば、犠牲者は格段に増えるはずだ。1988年に軍事政権がデモを弾圧した際は数千人が死亡したとされる。総司令官は、現状でも国軍が自重していると考えているフシがある。

このように人命を軽視する国軍側の認識は、人権重視の欧米とは大きな開きがある。国軍は当面、クーデターの正当性を主張し、デモの強制排除を進める構えだ。危惧するのはミャンマー企業の利益を損なう経済制裁の適用だといわれる。国軍は傘下の企業を通じて事業を広く手がけ、その利益が幹部らを潤しているからだ。だが、欧米諸国や日本は国軍を追い詰めると中国に接近すると考え、本格制裁にはなお慎重だ。

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