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『日米豪印の協力、迅速に
日中関係が改善傾向にあったとしても、中国が尖閣諸島周辺を巡り日本の主権の主張に繰り返し違反しているのにどうしてさらに高いレベルで良くなることがあるだろうか。習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓訪問も議論がどこかに飛んでしまった。日本が外交的に中国の海洋進出を抑制できるとは言いがたい。
中国海警局に管轄下の海域で船舶を強制的に排除できるなどの権限を与えた新法が成立した。イン…
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インド太平洋での動きを広げるための選択肢を増やすという中国の長年のキャンペーンの最新の措置にすぎない。他国も同様の法律があり、中国は単に追いついただけだと言うだろう。
日本はオーストラリアやインドと同様に一国だけで中国の海洋進出に対応できない。それぞれが米国との同盟関係や安定したパートナーシップを維持することが今まで以上に重要だ。
日本はアジアで中国に次ぐ軍事能力を備えた成熟した海洋国として不可欠である。日米豪印4カ国の枠組みでも迅速に協力を習慣づける必要がある。
東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国から協力を取り付けることも欠かせない。ASEANは米国か中国かスタンスをとることを嫌がるが、中国に反対しないことで、事実上、中国側に立っている。
菅義偉首相は安倍晋三前首相と同じく経済と安全保障の双方でASEANからパートナーとしての信頼を得続ける必要がある。例えば各国の沿岸警備隊への協力でASEAN諸国の海上安保の能力構築をもっと促すべきだ。米国か中国かの白黒で物事を強制する手法は機能しない。
中国が国際社会で責任ある大国になるよう促すために日本が果たすべき役割は大きい。一方でこの議論に欠けているようにみえる。
数年前まで日本は中国の行動を世界に警告してきた。世界が中国に目覚めた今、比較的静かである。良好な関係を維持するのと現実への対応に折り合いをつけようと苦労しているようだ。早晩、台湾や東シナ海の問題で選択を迫られるだろう。
(ジャカルタ=地曳航也)