[FT]20年の豪への中国投資、ピークの16年から94%減

[FT]20年の豪への中国投資、ピークの16年から94%減
規制強化が影響
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『中国企業によるオーストラリアへの投資額が2020年に大きく減少した。豪政府の審査厳格化や豪中関係の悪化、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による海外投資の世界的な落ち込みが影響した。

豪州が米英など5カ国と機密情報を共有する枠組み「ファイブ・アイズ」の他の参加国も、安全保障の観点から外国からの投資への監視を強めている。

20年の投資案件、20件にとどまる
最新のデータによると、20…

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最新のデータによると、20年の中国企業の対豪投資額は10億豪ドル(約830億円)と、前年の26億豪ドルから61%減少した。16年のピーク時は165億豪ドルだった。同年は両国が自由貿易協定を結ぶなど関係が良好だった。対照的に20年に記録された投資案件はわずか20件だった。

オーストラリア国立大学が管理する中国投資データベースによると、20年の投資は不動産、鉱業、製造業の3業種にとどまった。前年は全業種にわたっていた。

同大学のシロー・アームストロング東アジア経済研究所長は、新型コロナウイルスの影響および豪政府による海外資本、特に中国資本への監視強化が投資急減の主な理由だと指摘した。

同氏は国連のデータを引用し、パンデミックが始まって以降、世界の海外直接投資は42%、対豪投資は46%それぞれ減少したと話した。

「コモディティ(商品)ブームの最盛期には豪州が中国マネーの最大の投資先だったことを考えると驚くべき話だ。米国より多くの投資を受け入れてきたが、それが消えてしまった」と同氏はフィナンシャル・タイムズ(FT)に話した。

海外からの投資に対して国が横やり可能に

豪中関係は過去数十年で最低の水準にある。豪政府が新型コロナウイルスの起源について国際的な調査を要求したほか、外国からの干渉を禁じる法律を制定するなど外国投資への監督を強化したためだ。

また豪政府は20年3月に投資制度を一時的に変更し、全ての外国からの投資案件が外国投資審査委員会(FIRB)の審査を受けることになった。案件に関わる銀行家によると手続きが大幅に遅れており、特に中国企業が影響を受けているという。

さらに政府は、中国の蒙牛乳業によるキリンホールディングスの子会社ライオン・デイリーへの6億豪ドルでの買収と、中国国有ゼネコンの中国建築による南アフリカ企業が保有する建設企業プロビルドへの3億豪ドルの買収を、非公式に反対の意向を示して断念させた。

「豪政府は中国投資は歓迎しないという非常に明確なメッセージを出した」と中国企業の顧問を務める元駐中国大使のジェフ・レイビー氏は話した。

「最もひどい例はライオン・デイリーだ。戦略上も安全保障上もまったく正当化できない。FIRBは承認したが財務相が阻止した」

豪政府は1月に外国投資規制を強化した。安全保障に関する審査を追加し、FIRBの承認後でも「最終手段」として取引を中止できるようになった。これにより中国の嵐橋集団による北部ダーウィン港の買収など論争を巻き起こした案件を政府が再検討する可能性がある。

中国政府は豪州が中国からの投資を阻止するため、安全保障の概念を「武器」にしていると非難するが、豪政府は否定している。一方、中国が17年に導入した投資制限も同国企業による海外投資が減少している理由の一つだ。

フライデンバーグ豪財務相は、規制強化で「豪州が魅力的な投資先であり続けること、この国の投資枠組みが国民から信頼されること、そして我が国の国益と安全保障を守ることのバランスを保てる」と主張した。

貿易への影響も必至か

投資急減は今のところ豪中貿易には影響していない。中国は一部の輸入品目に関税などの貿易障壁を課しているが、鉄鉱石価格の急騰で貿易は好調だ。

しかし専門家は投資環境の悪化がいずれ貿易にも影響を及ぼすと指摘した。

「投資の減少で豪中貿易が次第に低調になる。豪州が政治的に逸脱した動きをみせていると考える中国政府が積極的に望んでいる結末だ」と豪ローウィー研究所のリチャード・マクレガー氏は話した。

中国の影響を懸念する英政府は、外国企業が安全保障上重要な資産を買収するのを防ぐため、20年11月に過去20年で最も大規模な外国投資規制の見直しを行った。その1カ月後、米連邦議会は米会計ルールに従わない中国企業に対し、国内の証券取引所での上場を廃止させる法案を可決した。

By Jamie Smyth

(2021年3月1日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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