[FT]中国、国内のワクチン接種なかなか進まず

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『中国は新型コロナウイルスのワクチン数億回分を海外に供給すると約束しているが、国内では接種が思うように進んでいない。このため、海外への渡航制限が少なくとも2022年まで続くのではないかとの懸念が高まっている。

中国は20年7月に世界で初めて新型コロナのワクチン接種に乗り出し、21年2月上旬までの接種回数は4050万回と米国に次いで2番目に多い。だが、人口100人あたりの接種回数は2.9回と他の主要国…

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だが、人口100人あたりの接種回数は2.9回と他の主要国よりもはるかに少なく、集団免疫の獲得に必要な水準にはほど遠い。現時点の接種回数は目標の8割にとどまる。

成功した感染封じ込めの影響も

中国のワクチン接種プログラムは感染封じ込め策の成功のあおりを受けたといえる。20年の迅速な介入により感染拡大が収束して感染者数は激減し、ワクチン接種の意義は薄れた。

同時に、中国でワクチンを開発する中国医薬集団(シノファーム)、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)は包括的な臨床試験(治験)データを公表しておらず、一部の医療従事者の間でワクチンへの信頼が損なわれている。一方、中国の多くの市民はまずは他の人へのワクチン接種で副作用を引き起こすかどうかを見定めようとしている。

北京に拠点を置く調査会社プレナムのパートナー、チェン・ロン氏は「今の中国でワクチンを接種してもメリットはほとんどない」と言い切る。「つまり、国境の開放は大幅に遅れることになる」と指摘した。

海外に渡航した中国人は、ワクチン接種の有無にかかわらず帰国時に14日間の隔離措置を義務付けられている。一部の外交官と一握りの企業幹部を除き、外国人の入国は20年3月以降ほぼ完全に途絶えている。

世論調査会社イプソスの調査では、ワクチンを接種するつもりだと答えた中国人は85%と世界で最も高水準だった。だが、この調査ではいつ接種するかについては尋ねていない。北京に拠点を置く市場調査会社、龍洲経訊(ガベカル・ドラゴノミクス)が主に都市部の専門職従事者を対象に実施した調査では、回答者307人(一部はワクチン未接種)のうち、現状のワクチン接種プログラムに参加する予定はなかったと答えた人は半数以上に上った。

医療関係者も接種に抵抗感

ドイツや米国の一部などと同様に、中国でも特に医療関係者の間でワクチン接種への抵抗感が強いようだ。中国の医学誌が2月に発表した調査では、医療従事者はワクチン接種を望まない傾向が強いことが明らかになった。浙江省の医療従事者756人のうち、ワクチンを接種するつもりだと答えたのは28%にとどまった。

ガベカルの調査でも医療従事者を対象にした調査でも、ワクチン接種を控える最大の理由は副作用への懸念だった。医療従事者はワクチンの有効性の低さも不安視している一方、2つの調査の回答者はともに地域での感染リスクが非常に低く、ワクチン接種は必要ないと考えていたという。

北京在勤の匿名希望の医師は「私たちはそもそもワクチンについてほとんど何も知らず、安全性や有効性を裏付けるエビデンス(科学的根拠)も示されていない。しかも、北京ではここしばらく感染は収まっている」と語った。

この女性医師は病院の同僚でワクチンを接種したのは2割程度だろうと話す。もっとも、多くの場合には他の薬を服用していたり、妊娠を考えていたりするなどの健康状態が理由で接種の対象外になったという。

シノファームとシノバックのワクチンの年齢制限も接種がなかなか進まない一因だ。両社のワクチンは18~59歳の健康な人のみに推奨されており、接種を最も望んでいる層は対象外となっている。中国政府はむしろタクシー運転手など感染を拡大させる可能性が高い人たちへの接種に力を入れている。

国民の大半への接種完了は22年か

今の接種ペースでは、人口の大半がワクチン接種を終えるのは22年になるとアナリストは予測している。

北京市当局は1月以降、ワクチン接種の対象となる居住区を拡大し、住民に接種への参加を促す通知を送っている。

ワクチン接種を強制的に進めている国有企業もある。北京の一部地域では市の担当職員がバーの従業員に対し、ワクチンを接種するか新型コロナ検査を毎週受けるよう要請している。北京市当局はタクシー運転手へのワクチン接種も義務付けている。

シノファームとシノバックは年内に合計20億回分のワクチン生産能力があるとしている。もっとも、この目標を達成できるかどうかは定かではない。シノバックの1日あたりの生産量は公表済みの生産能力を大幅に下回っている。

ワクチンメーカー各社はワクチンを入れるガラス製のバイアル瓶の不足にも悩まされている。瓶は大半を輸入に頼っている。シノファーム製ワクチンは1瓶に1回分しか入らないため、瓶の確保に特に苦労している。一方、独ビオンテックと米ファイザーが共同開発したワクチンは6回分、英オックスフォード大学と英アストラゼネカが開発したワクチンは10回分が入る。

シノファームとシノバックは国内の需要と海外への供給の約束とのバランスもとらなくてはならない。中国外務省は新型コロナのワクチンを平等に分配する国際的枠組みCOVAX(コバックス)に1000万回分を提供すると約束している。さらに、ガべカルによると、中国のワクチンメーカー各社は各国と個別に計5億回分以上を供給する契約を結んでおり、既に約2100万回分を提供している。

もっとも、状況は改善しつつある。2月6日にシノバックのワクチンが承認されるまでは、一般向けに承認されていたのはシノファームのワクチン1種類しかなかった。2月25日にはカンシノ製ワクチンとシノファーム系列の2つめのワクチンも承認され、利用可能なワクチンは計4種類に増えた。

By Yuan Yang

(2021年2月28日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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