米の空爆、日本は立場明示せず 規模限定・対イランが背景

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『日本政府は米軍によるシリアの親イラン武装勢力への空爆を受け、明確な立場を示さない見通しだ。米国が「防御的だ」と主張し規模が限定的なのに加え、イランと友好関係を保つ背景もあり、当面は静観する。

茂木敏充外相は26日の記者会見で「高い緊張感を持って注視している。関係国と緊密に連携しつつ地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けて外交努力を継続していきたい」と述べた。

27日も岸信夫防衛相が都内で記者団に「情勢…

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27日も岸信夫防衛相が都内で記者団に「情勢を注視する」と語った。同日時点で政府としての声明などは出ていない。

英国のラーブ外相は米国の行動を支持すると自身のツイッターで表明した。フランスは声明で支持を打ち出した。

過去に米軍が中東で空爆に踏み切った際には日本は米国への「理解」や「決意を支持」との表現でメッセージを発したこともあった。

2017年4月に米軍がシリアを攻撃した際は数時間後に国家安全保障会議(NSC)を開いて情勢分析をしたうえで、当時の安倍晋三首相が「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を支持する」と言明した。

米国の行動は「事態の深刻化を防ぐための措置だと理解している」と言及した。18年4月に米国、英国、フランスがシリアを攻撃した際も「決意を支持」との表現だった。いずれもアサド政権が化学兵器を使用したとされることに対する措置だった。

日本政府は今回は性質が異なると分析する。イラクにある米国関連施設に対するロケット弾攻撃への報復の側面が強い。米国は「防御的な精密攻撃だ」と主張する。

2国間の駆け引きでもあり「化学兵器の使用が疑われたアサド政権への攻撃とは違う」と政府高官は語る。

イランとは歴史的に関係が深く立場を鮮明にしにくい事情もある。

トランプ前政権時代の20年1月に米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した時も「支持」などの立場を明確にしなかった。米軍の攻撃の根拠が定まらなかったのも理由の一つだった。

当時首相の安倍氏は緊張が高まる状況でも中東訪問を予定通り実施して緊張緩和を周辺国に呼びかけた。

菅義偉首相は現時点で中東情勢に積極的に関与する姿勢は見せていない。新型コロナウイルスなど国内の対応に追われているのも影響する。

一方で米国はトランプ政権からバイデン政権に代わりイランと直接対話をする構えだ。そうなれば日本が間に立つ必要性が薄れる。

三菱総研の中川浩一主席研究員は「日本は石油の輸入の9割近くを中東に依存している。米国、イランなどと直接ハイレベルでやりとりして、日本の国益に関わる問題だというメッセージをもっと強く発信すべきだ」と提起する。