コロナ変異型、抑制正念場 米は200億円投入

コロナ変異型、抑制正念場 米は200億円投入
EU、ワクチン強化 新規感染下げ止まり
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『日米欧で変異した新型コロナウイルスへの警戒が高まっている。経済活動の制限やワクチン接種の開始で、新規感染者はピーク時に比べて減少したが、感染力が強いとされる変異型の広がりが足元で目立ち始めている。米国では政府が2億ドル(約210億円)を投じて、変異型の監視態勢を強化。欧州連合(EU)も巨額予算を投じて対応ワクチンの開発支援を強化するなど対策強化を急いでいる。

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米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、米国の1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)はピークだった1月上旬の約30万人から2月下旬は7万人程度まで7割強減少。英国やドイツ、フランスもピーク時と比べて6~8割減少した。

ただ足元では新規感染者数に下げ止まりの兆しも出てきた。米独仏では2月中旬以降、前日比で新規感染者が増加する日が目立ち始めた。背景にあるのが、変異型の感染の広がりだ。

「感染者が再び増える可能性がある。警戒をゆるめるときではない」。26日、米南部テキサス州のワクチン接種施設を視察したバイデン大統領も、変異ウイルスによる感染の再拡大リスクに警鐘を鳴らした。

米国ではこれまでに発見された「英国型」「南アフリカ型」「ブラジル型」の変異ウイルスに加え、新しい変異型がニューヨーク、カリフォルニアの両州で確認された。米国の研究者らによると、いずれも「米国型」の新しい変異ウイルスの可能性がある。

米メディアによるとニューヨークの変異型は入院患者の比率が従来より高いという。カリフォルニアの変異型についても、米疾病対策センター(CDC)のウイルス遺伝子分析の責任者が従来型より感染力が高い可能性があるとの見方を示した。

米政府は17日、2億ドルを投じて変異ウイルスの分析能力を高めると発表。CDCが分析できる変異型の件数を、従来の3倍にあたる週2万5000件に引き上げて監視を強めている。

米国よりも変異型の感染拡大が深刻なのが欧州だ。EUのミシェル大統領は25~26日にオンラインで開いた首脳会議に先立ち、加盟国首脳に送った書簡で「多くの加盟国で、変異型が最も支配的になっている」と指摘。従来型より感染力が高いとされる変異型の域内での感染拡大へ強い警戒をみせた。

新規感染者数が再び増加傾向を見せ始めたドイツでは現地メディアによると、新規感染に占める変異型の割合は3割程度にまで高まっている。フランスでも英国型が新規感染に占める割合がパリで約5割に達する。カステックス仏首相は25日の記者会見で「感染者数がここ1週間で増えている。原因としてもっとも明らかなのは変異ウイルスで、日増しに拡大している」などと警戒感をあらわにした。

EU首脳会議では変異ウイルスに対応するワクチンの開発や原材料調達、生産拡大の支援策を拡充するとの声明を採択。EUの執行機関である欧州委員会は少なくとも7500万ユーロ(約96億円)を変異ウイルスの検査手法の開発にあてるほか、1億5千万ユーロを研究開発に投じる。承認ずみの既存ワクチンをベースに変異型に対応できる改良をめざす場合には、欧州医薬品庁(EMA)が迅速に承認する制度も整える。

日本も監視体制拡充

国内での変異ウイルス感染例は26日時点で158件、17都府県に広がった。緊急事態宣言が解除されても変異ウイルスを抑え込まないと感染再拡大につながるおそれがあり、国などは監視体制を強化している。

変異ウイルスの判定は1月半ばごろまで、国立感染症研究所(感染研)が全国の地方衛生研究所(地衛研)などから陽性検体の1割程度を集め、ゲノム(全遺伝情報)を解析して実施していた。判明まで約2週間かかり、効率も良くなかった。

そこで感染研は、PCR検査とゲノム解析を組み合わせた新しい検査方法を開発し、ノウハウや試薬を全国の地衛研に伝えた。早ければ数日で変異ウイルスを検出できるといい、国は自治体と協力して感染者の5~10%を新たな検査方法で調べる方針だ。

厚生労働省によると、新しい検査方法は25日までに41都道府県で導入された。同日までに実施した検査数は東京の1742件が最も多く、静岡が387件、滋賀が374件で続く。菅義偉首相は3月から全都道府県で新しい検査方法を実施すると表明しており、検査数はさらに拡大する見通しだ。

民間の力も活用する。田村憲久厚労相は新しい検査方法を検査会社にも公開する方針を示した。感染研は第1弾として17日、臨床検査受託大手H.U.グループホールディングス傘下企業のSRLと契約。検体の検査からゲノム解析まで請け負ってもらう体制を整えた。同省は「今後も民間との協力を広げていきたい」とする。

新しい検査方法は万能ではない。英国や南アフリカで見つかったタイプには対応するが、国内外で確認されている「E484K」という変異をもつタイプは検出できず、ゲノム解析で見分けるしかない。専門家によると、このタイプに感染すると既存ワクチンが十分効かない可能性がある。次々に登場する変異ウイルスに対応した検査方法の開発も必要になっている。