FRBは「悪い金利上昇」を食い止めるか(NY特急便)

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『26日の米株市場でハイテク株が多いナスダック総合株価指数は反発した。前日に株安を招いた長期金利上昇が一服し、押し目買いが入った。半面、景気敏感株は売られ、ダウ工業株30種平均は大幅続落した。

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前日に一時1.61%と昨年2月以来の水準に上昇した長期金利は1.41%に低下して終えた。値ごろ感からの買いや、機関投資家が保有債券の平均残存年数を延ばすための月末特有の買いも入ったようだ。

もっとも、投資家の…

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もっとも、投資家の警戒感はまったく和らいでいない。債券版の恐怖指数とされ、米国債の予想変動率を示す「MOVE指数」は25日に74と前の日から2割近く上げ、26日も75台と小幅に上昇した。昨年4月以来の高水準にある。

米投資調査会社アクション・エコノミクスのキム・ルパート氏は「重要経済指標が相次ぐ来週は要注意」と指摘する。3月1日には米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況感指数、5日は2月の米雇用統計が発表される。市場予想を上回る内容なら景気回復の観測が強まり、債券売りが再燃しかねない。

4日には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米メディア主催のイベントで「経済はどうなっているの?」と題した公開インタビューに応じる。関心を集めそうだが、ルパート氏は「物価や雇用情勢に慎重な従来の発言を繰り返すだけで、相場を意識した踏み込んだコメントをするとは思えない」とみる。

長期金利の上昇は新型コロナワクチンの普及や大型経済対策で景気回復が加速するとの見方が背景だ。さらにパウエル氏などFRB高官が警戒する姿勢をみせていない点も大きい。ただ、市場は長期金利上昇の中身を気にし始めている。

我々が普段目にする長期金利は名目金利であり、名目金利は「期待インフレ率」と「実質金利」の合計だ。米長期金利は終値でコロナ後最低の0.50%を付けた昨年8月4日から、今年1月末の1.06%まで0.56%上昇した。この間に期待インフレ率も0.56%上昇し、長期金利上昇のすべてを説明できる。FRBが昨夏に2%を超える物価上昇を目指す方針を掲げ、インフレ観測が強まった。

一方、長期金利は1月末から2月25日の1.52%まで0.46%上昇したが、このうち0.45%は実質金利の上昇が理由だ。金利上昇の原動力が期待インフレ率から実質金利に変わった。

インフレ率の高まりによる金利上昇はさほど問題はない。企業の売上高や労働者の賃金も上がるため、金利上昇の負担感は小さい。一方、実質金利の上昇は経済を冷やす。

追加経済対策やインフラ投資により、2021年度の米財政赤字は国内総生産(GDP)比で戦後最高になる可能性がある。夏場にかけて国債の需給懸念が強まり、金利上昇を誘発するリスクもある。

実質金利の上昇はインフレ期待の低下を招く。ゴールドマン・サックスのプラヴィーン・コラパティ氏は「現段階で中央銀行としては受け入れがたいだろう」とみる。経済を冷やす「悪い金利上昇」に転化するなら、FRBのスタンスにも変化が出てくる可能性がある。それまで債券相場が落ち着くシナリオは描きにくいのも実情だ。

(NQNニューヨーク=松本清一郎)