日本勢、海外で脱・石炭火力広がる  三井物産や三菱商事

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『日本企業の間で海外での脱・石炭火力の動きが広がり始めた。三菱商事はベトナムでの計画から撤退する方針。三井物産はインドネシアの発電所の権益を売却する意向を示した。これまで途上国支援の名目で石炭火力を推進してきたが、脱炭素の流れに逆行するという国際社会からの批判が強まっている。電力や重電メーカーなど他の企業でも海外での石炭事業を撤退する可能性がある。

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三菱商事が計画するビンタン3はベトナム南部に建設予定だ。総事業費は20億ドルで発電容量は約200万キロワット。最新鋭の超々臨界方式で2024年の稼働を予定していた。三菱商事が計画中の石炭火力から撤退するのは初めて。

今回の撤退について、小泉進次郎環境相は26日の閣議後会見で「日本が揺るぎない脱炭素の意思を国際社会に示せるよう官民連携をしっかりやっていきたい」と歓迎した。

再生エネを推進

一方で日本政府と三菱商事は同じベトナムで石炭火力の「ブンアン2」の新設を計画する。だが4月に米国で開く「気候変動サミット」や、6月に英国で開く主要国(G7)首脳会議では「化石燃料の公的融資の取りやめ」が協議される方向であり、国際会議で正式に各国が同意すれば、計画の遂行は厳しくなる。

三井物産はインドネシアで稼働している「パイトン発電所」の株式を売却する意向をインドネシア政府に伝えたもようだ。投資家からの脱石炭を求める動きに対応した形だ。三井物産が同発電所で所有する株式は45.5%。売却先や株式数については今後詰める。

ベトナム政府は太陽光や風力などの再生可能エネルギー、液化天然ガス(LNG)火力発電の推進で石炭火力の発電量を補う戦略を掲げており、今回の撤退の影響は軽微とみられる。インドネシアも28年以降は石炭火力発電所の新設を認めず、再生可能エネルギーに移行する方針だ。

脱炭素の流れから海外の石炭火力の大型プロジェクトは近年、相次ぎ中止や撤退に追い込まれている。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は20年9月に石炭火力事業の撤退を発表。独シーメンス・エナジーも今月、石炭火力発電の新設から撤退を決めた。

背景には投資家が石炭火力を「座礁資産」と位置づけて圧力を強め、金融機関が融資から手を引くケースが増えているためだ。ビンタン3も英スタンダードチャータードや英HSBCが「脱炭素に逆行する」と融資から撤退した。

銀行が融資敬遠

米エネルギー経済・財務分析研究所によると、既に世界で130以上の大手銀行や保険会社が石炭火力発電への関連投資に制限をかけている。ベルギー金融大手のKBCグループは21年1月に石炭採掘会社と、石炭火力発電の比率が25%を超える電力会社への投資から撤退した。

日本は途上国支援の名の下に官民で新設計画を推進していた。気候変動に関する国際会議などの場で批判の的になる場面が増えていることを受け、国際社会と歩調を合わせる動きが活発になっている。20年にみずほフィナンシャルグループも石炭火力向け新規融資を停止し、40年度までに与信残高をゼロにする目標を定めた。東邦銀行も新規建設する石炭火力発電所向けの投融資を行わないとの方針を示した。

丸紅、住友商事、伊藤忠商事も18~20年にかけて、石炭火力の新規事業に原則取り組まない方針を掲げている。今後は温暖化ガスの排出が少ないLNG火力や、太陽光発電などの再生可能エネルギーによる途上国支援を促進する方針だ。

(川口健史、ジャカルタ=地曳航也)

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