[FT]ロシア製ワクチン、実は割高 アフリカで露見

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『アフリカ連合(AU)はロシアの新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」に、英オックスフォード大学・英アストラゼネカ製と米ノババックス製のワクチンの3倍の値段を払う。調達について事情を知る関係者が明らかにした。

ロシアの国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所が開発したスプートニクVは接種3億回分が供給され、価格は1回分9.75ドル(約1040円)。ロシア政府は欧米製のワクチンに手が届かない国々に安価な…

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ロシア政府は欧米製のワクチンに手が届かない国々に安価なワクチンを提供するとしているが、それとは食い違う価格水準だ。

世界有数のワクチンの買い手になりつつあるAUが交わした契約から、製薬会社が伏せておこうとしてきた価格の実態が珍しく浮かび上がった。

スプートニクVの海外販売を監督するロシアの政府系ファンド、ロシア直接投資基金(RDIF)は「アフリカはスプートニクVの主要市場」であり「1回分10ドル弱という国際販売価格は全市場で同一」と表明している。

1人分が20ドル弱
スプートニクVは2回接種型で、1人分20ドル弱となる。

RDIFは、ロシア製ワクチンの価格は「同様の有効性を持つ他種のワクチンの半値」とうたい、他の製薬会社が先進国を優先するなかで途上国と供給契約を交わしていると強調している。

RDIFのキリル・ドミトリエフ総裁はフィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、「世界の国々は、とてつもない二重基準を目の当たりにしている。西側の一部諸国は平等なアクセスを約束しながら、基本的に全てを自分たちのために買い入れているのだ。ワクチンの配分は豊かな国々に大きく偏っている。率直に言って倫理にもとることだ」と語った。

24日、ガーナの空港に到着したCOVAXによる新型コロナワクチン(ユニセフ提供)=AP
だが、AUのワクチン調達の関係者によると、スプートニクVがアフリカに届くのは5月以降で、AUはオックスフォード大・アストラゼネカのワクチンと、インドのセラム・インスティチュート・オブ・インディア(SII)が製造するノババックスのワクチンをそれぞれ1回分3ドルで購入する契約を交わしている。

AUは独ビオンテック・米ファイザー製ワクチンを1回分6.75ドル、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の1回接種型のワクチンを1回分10ドルで調達する。1回分32~37ドルで2回接種の米モデルナ製ワクチンは購入しない。

AUは3億回分のスプートニクVに加え、他種のワクチン計6億7000万回分を仮発注している。世界保健機関(WHO)の支援を受けてワクチンを公平に分配するための国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」による供給分を補う目的で、AUは加盟国向けにワクチンを購入している。COVAXは多くのアフリカ諸国を含む世界92カ国にワクチンを無償提供している。

AUは価格についてコメントの要請に応じなかった。

RDIFは、スプートニクVの有効性は92%で、価格と保存のしやすさは「比類がない」としている。だが、米食品医薬品局(FDA)の専門家は今週、同じく一般的な冷蔵庫で保存できるJ&J製ワクチンについて、米国での臨床試験(治験)で86%、変異ウイルス「501.V2 」の感染が広がる南アフリカで82%の重症化予防効果が確認されたと発表した。接種1回で済み、1回分10ドルなのでスプートニクVのほぼ半値となる。 

オックスフォード大・アストラゼネカのワクチンの治験での有効性は約70%、冷凍保管が必要なビオンテック・ファイザーのワクチンの有効性は95%だ。

高値で早期確保
アフリカ諸国の政府はワクチンの供給遅れに失望しており、早期確保のために高値で裏取引する動きも出てきている。南アは、SIIが製造するオックスフォード大・アストラぜネカのワクチン150万回分を1回分5.25ドルの価格で発注したが、その後、同国で最初に検出された変異株501.V2による中等症の予防効果に疑問が生じたことを受けて、供給を停止した。

今週、COVAXの分配によるアストラゼネカのワクチンの第1便がアフリカに到着した。ガーナへの60万回分の供給だ。COVAXは、インドで製造されるワクチンを1回分3ドルで調達しているという。

COVAXは当初、2月中に1500万回分のワクチン、3月に4000万回分をアフリカに配分したいと考えていたが、遅れが出ているようだ。COVAXは2021年内に、条件を満たす国々の人口の少なくとも2割に接種できる量を供給すると約束している。

世界銀行のマルパス総裁は、製薬会社が高値で買う豊かな国々に供給を振り向けているのは事実だと述べ、透明性を高める必要があるとした。

「彼ら(製薬会社)のCOVAXとの契約と、途上国がCOVAXから得られる量について、透明性が必要だ」とマルパス氏は語った。「この2つが供給計画の鍵になる」

アフリカ諸国はワクチンの確保に、アフリカ輸出入銀行(本部エジプト・カイロ)が設置した20億ドルの基金と世銀の金融支援を利用できる。

中国は現時点でアフリカにほとんどワクチンを提供しておらず、中国側の供給に制約が生じた可能性が疑われている。中国政府は2月、経済破綻寸前のジンバブエにワクチン20万回分を無償提供した。両国は深い関係にあるが摩擦も抱えている。

ビオンテックは価格についてはコメントしないとする一方、多くの低・中所得国に原価でワクチンを提供していると強調した。コロナ下で高所得国にも「通常の基準から大幅に割り引いた」価格になっているという。

By David Pilling & Henry Foy

(2021年2月25日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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