金利上昇と波乱懸念、マネーの行き先は(NY特急便)

金利上昇と波乱懸念、マネーの行き先は(NY特急便)
米州総局 宮本岳則
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2604L0W1A220C2000000/

 ※ 最低限、ダウと日経先物の動きだけは、見ていた…。

 ※ しかし、こういう「金融相場」の局面においては、米国債の金利動向も、見ておかないとならない…。

 ※ 「パラメーター」が増えて、大変だ…。

 ※ そのうち、VIXも見ないとならない…、とか言う話しになったら、ますます大変だ…。

『25日の米株式市場ではリスク回避ムードが広がった。米国上場株の9割が下げるほぼ全面安の展開で、ダウ工業株30種平均の下げ幅は一時、600ドルを超えた。市場が最も警戒するのは、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を示唆し、大混乱に陥った2013年5月の「テーパー・タントラム(かんしゃく)」の再来だ。インフレ率と金利の動向をにらみながら、神経質な展開が続く。

「私はそれほど懸念していない」。25…

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25日午後にオンライン形式で開かれたニューヨーク・エコノミック・クラブの会合。登壇したゴールドマン・サックスのエコノミスト、ヤン・ハチウス氏は終始、楽観的だった。市場ではインフレ率の上昇を受けて、FRBによる資産購入縮小の議論のみならず、利上げ時期の前倒しを警戒し始めた。ハチウス氏は複数の理由を挙げて市場の懸念は行き過ぎだと一蹴した。

まずインフレ率について。FRBは物価の目安として食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数に注目している。1月は前年比で1.5%上昇だった。ハチウス氏は4月までにFRBが目標とする2%を超え、2.5%に達すると予想する。ただし前年が新型コロナウイルス禍の真っただ中だった要因などが大きいという。「特殊要因」のなくなる22年には再び2%を下回ると予想する

次にFRBの物価目標について「市場は織り込み切れていない」と主張する。FRBは平均2%の物価目標を掲げ、短期的には2%を超えるインフレを許容するとしている。過去10年あまり、インフレ率はほぼ2%を下回っており、少なくとも今後5年くらいは2%超えの世界を許容してもおかしくない。ハチウス氏は市場でにわかに浮上する「利上げ前倒し論」にくみしない姿勢をみせた。

足元のインフレ上昇は「だまし」――。25日、米債券運用大手ピムコのダン・アイバシン最高投資責任者(CIO)の発言がフィナンシャル・タイムズ(FT)で伝えられ、市場で話題になった。テクノロジー革新によるコスト削減などで構造的な低インフレが続くと主張する。足元の金利上昇についても、バイデン米政権の財政出動による経済成長加速を反映したものと指摘した。

有力エコノミストや大物投資家の見方が伝わっても、市場は警戒を緩めていない。10年物国債利回りが一時1.61%に急上昇し、ナスダック総合株価指数も4%近く下落した。もしFRBがインフレに緩和縮小で対処する姿勢を示せば、株価は大幅に下落するとともに、FRBは現在の約束(平均2%の物価目標)を破ることになる。ハチウス氏の言うとおり、市場の懸念は行き過ぎのようにもみえる。

「投資家は足元の事象を必死に理解し、運用資産への影響を精査しているところだ」。米PGIMフィクスト・インカムのエコノミスト、ネイサン・シーツ氏はこう明かす。顧客などとのミーティングで「波乱」を過度に警戒する声は少ない。ただ超低金利が長期にわたって続く前提でポートフォリオを組んでいたため、見直しが急務になっている。銘柄の入れ替えが不安定な値動きを生んでいるわけだ。シーツ氏はポートフォリオ調整に少なくとも数週間はかかるとみる。

では投資家による「銘柄の入れ替え」が終わった先はどのような展開が待っているのだろうか。シーツ氏はマネーが再び株式に向かうと予想する。足元で新型コロナ予防ワクチンの接種が広がり、新規感染者は減っている。経済対策の成立も期待できる。こうした良いニュースに再び注目が向かうとの見立てだ。

ロイター通信によると24日までの1週間で世界株式ファンドに314億ドルの資金流入があった。金利上昇とハイテク株売りへの警戒がくすぶるなかでも、投資家は株式に資金を振り向けている。今後の展開について見極めは難しいが、「カネ余り」相場が続いていることだけは確かだ。

(ニューヨーク=宮本岳則)