米大手銀が中国シフト 成長余地大きく関係緊密

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『【ニューヨーク=宮本岳則】米大手金融機関が中国への傾斜を強めている。中国企業による資金調達やM&A(合併・買収)が活発で、米銀が得意とする投資銀行業務の成長余地が大きい。半導体や電池など重要部材の調達では中国依存を見直す動きがあるが、米銀は中国事業の拡大を急ぐ。中国政府やバイデン米政権の出方次第では、事業拡大が狙い通り進まない可能性がある。

米ゴールドマン・サックスは中国本土で働くスタッフの拡充を…

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米ゴールドマン・サックスは中国本土で働くスタッフの拡充を急いでいる。2021年は70人を採用し、24年までに現行の400人から600人に増やす計画だ。職種は投資銀行業務に従事するバンカーや証券ブローカー、技術系の人員などが中心となる。

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ゴールドマンは20年公表の中期計画で中国事業を成長の柱に据えた。20年12月には証券業務を手掛ける現地合弁会社の完全子会社化を当局に申請した。実現すれば外資系として初めてとなる。中国企業による資金調達やM&A(合併・買収)が活発で、ゴールドマンが得意とする投資銀行業務の成長余地は大きいと判断した。

JPモルガン・チェースも今年の投資計画で中国事業の拡大を盛り込んだ。同社は21年の全社の投資額を前年に比べて24%増やす。テクノロジー強化に加え、中国での資産運用・富裕層向け事業や投資銀行業務の拡大にも資金を振り向ける。米モルガン・スタンレーは現地の合弁パートナーが株式の売り出しを公表しており、完全子会社化によって事業の強化に乗り出す可能性がある。

米銀にとって中国含むアジア事業の重要性は増している。金融情報会社リフィニティブが投資銀業務で顧客が金融機関に支払った手数料の総額を集計したところ、20年に初めてアジア・太平洋地域が欧州を抜き、米州に次ぐ第2位の市場となった。「アジアは世界でもっとも成長力の高い市場の一つだ」。JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は1月の決算説明会でこう強調していた。

特に中国市場の成長は著しい。中国企業が支払った手数料は前年比36%増の総額201億ドルとなり、2000年の集計開始以降の最高となった。アジア・太平洋地域の手数料総額の7割を中国が占める。ゴールドマンは20年代半ばに1000億ドルを超えると予想する。

中国では現地資本の金融機関が圧倒的な事業基盤を確立している。中国における投資銀業務手数料の獲得ランキングをみても、中国中信集団(CITIC)など現地資本の金融機関が上位に並ぶ。それでも米銀には中国の高い成長力が魅力的に映る。

米中関係も事業の行方を左右する。トランプ前政権下の米中摩擦で産業界に混乱が広がったが、ウォール街はむしろ恩恵を受けていた。米政権側が通商協議の場で金融市場の開放を要求し、中国側も譲歩の一つとして外資系金融機関の出資規制撤廃を提案。20年1月の第1段階合意に盛り込まれた。

一方、格差是正を掲げるバイデン政権はウォール街の事業拡大を後押しする機運に乏しい。大統領補佐官(国家安全保障担当)のジェイク・サリバン氏は20年12月の米メディアインタビューで「JPモルガンやゴールドマンのために中国と規制緩和交渉をしても、米国内の中間層の収入は増えない」などと発言し、トランプ前政権の交渉姿勢を批判した。

中国では出資規制が撤廃されたとしても、様々な「参入障壁」が存在する。たとえば当局の許認可には不透明な部分が残る。米銀が現地で中国勢のシェアを大きく奪うようなことは認めない可能性が高い。米政権による後押しがないまま、現地の金融機関との厳しい競争に挑むことになりそうだ。