欧州、炭素税導入で先行 ノルウェー3倍、企業は反発も

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『【ブリュッセル=竹内康雄】欧州で二酸化炭素(CO2)の排出に課す炭素税を拡充する動きが広がっている。ノルウェー政府は炭素税を従来の3倍強に引き上げる計画を公表。温暖化ガス排出の大幅削減には、炭素の価格付け(カーボンプライシング)が欠かせないとの認識から、オランダやドイツなども動き出している。他地域に先駆け、温暖化対策を主導する。

2月半ば、欧州市場で取引される温暖化ガスの排出枠の価格が1トン当たり…

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2月半ば、欧州市場で取引される温暖化ガスの排出枠の価格が1トン当たり40ユーロ(約5200円)を超え、過去最高を記録した。排出枠はCO2を排出できる権利で、足元では約40ユーロを払えばCO2を1トン排出できることを意味する。

欧州連合(EU)では排出量取引制度(ETS)のもとで企業などが排出削減義務を負う。削減を自力で達成できる企業は排出枠として余剰分を市場で売り、自力で達成できない企業は購入して不足分を穴埋めする。価格高騰の背景にはEUなどが2050年に域内の温暖化ガスを実質ゼロにする目標に向け、環境対策を強化していることがある。

排出量取引と並ぶ「カーボンプライシング」の手法の一つが炭素税だ。CO2の排出に税金を課せば、できるだけ負担を減らそうと企業が排出減に取り組む。技術革新が進む期待もある。世界が今世紀半ばでの実質排出ゼロに踏み出す中、カーボンプライシングは実現の有力な手段と位置づけられている。EUでは排出量取引が中心だったが、一段の環境対策を進めるために炭素税を拡充する動きが相次ぐ。

ノルウェー政府は1月、炭素税を引き上げると表明した。石油関連など幅広い大規模事業者に課す税を段階的に引き上げて30年に現行の3倍以上の1トンあたり2000クローネ(約2万5千円)にする。ノルウェーは西欧最大の産油国。国内の排出量でも石油・ガス産業が最も多い。温暖化ガスの排出を30年までに90年比50~55%、50年に90~95%減らす目標を達成するには、炭素税の引き上げが欠かせないと判断した。

オランダでは、21年から製造業など産業部門を対象に1トンあたり30ユーロの炭素税を課す制度が始まった。1年ごとに10ユーロ強引き上げられ、30年には125ユーロになる。アイルランドやルクセンブルク、デンマークなどでも同様の動きがある。

ノルウェーやオランダが課税対象とする分野は、EUのETSの対象でもある。ETSにはEU非加盟のノルウェーやアイスランドなども参加する。ノルウェー、オランダともETSでの負担分を差し引いた上で、企業から炭素税を徴収する。オランダ政府は「ETSだけでは、排出削減目標を達成できない可能性がある」とみて上乗せに踏み切った。30年には排出枠などの炭素価格は100ユーロを超えるとみる欧州の国は多い。

ドイツでは21年からETS対象外の運輸と建物を対象に独自の排出量取引制度を導入した。輸送・暖房用燃料からの排出が対象で約4千の事業者が参加する。1トンの排出価格は当初25ユーロから25年までに55ユーロに上がり、その後は企業間で取引される。

欧州の外でも炭素税を拡充・導入を検討する国は相次いでいる。カナダ政府は30年までに現行の5倍強にする方針を表明。日本でも、炭素税などカーボンプライシングの制度設計の検討が始まっている。

温暖化ガスの大規模な削減は、短期的には企業などに痛みが伴うこともあるため、反発もある。ノルウェーの石油・ガス協会は「コストが増え、ノルウェーの世界での競争力を低下させかねない」と政府の政策を批判。炭素税の引き上げを表明したカナダのトルドー政権も負担増につながるとの批判を受けている。