日経平均一時900円安 「本格調整の瀬戸際」「我慢のしどころ」 市場関係者の見方

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD261UD0W1A220C2000000/

『26日午前の東京株式市場で日経平均株価が一時前日終値比で900円超下落した。米国で長期金利の指標となる10年物国債の利回りが急上昇(債券価格が急落)し、株価を押し上げてきた低金利環境が変わるとの警戒感が日本株の売りにつながった。今後の注目点や見通しについて株式市場関係者に話を聞いた。

本格調整に入る瀬戸際、実質金利のプラス転換に懸念

ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト

日経平均の一時900円安は、「いいとこどり相場」が現実に戻ったという印象だ。金利が暴走し始めたことを市場は警戒している。現状は調整が一時的なもので済むのか、本格的な調整局面に入るのかの瀬戸際だ。今日発表される米国の物価上昇率であるPCE(個人消費支出)デフレーターは1.4%が見込まれる。米国の長期金利が1.5%より上なら、金利と物価上昇率の差である実質金利がプラスに転じることになる。これまでの実質マイナス金利が株価を押し上げる局面が転換する恐れがある。

急激な金利上昇を受けて株式の益回りと金利の差であるイールドスプレッドも3%を割り込む水準まで来ている。2018年には3%を下回った水準で株価が調整に入った。ただ業績拡大で益回りが上昇し、イールドスプレッドが再び3%を回復するシナリオもあり得ることには注意が必要だ。

本格調整局面入りしたとしても、下値のメドは2万5000~2万6000円程度だろう。新型コロナウイルスの変異株が広がれば2万5000円割れもあり得るだろうが、現状ではそこまで深い調整は想定しづらい。午後には久しぶりに日銀のETF(上場投資信託)買いが入るとみられる。

業績相場への移行前、変動率に我慢が必要

ピクテ投信投資顧問の松元浩グローバル資産運用部長

米長期金利の上昇が嫌気された下げで、必ずしも日本特有の材料が出たわけではない。当初は金利上昇に伴うグロース(成長)株からバリュー(割安)株へという資産配分の変更にとどまっていた。だが、足元ではインフレ懸念も含んだ「悪い金利上昇」のムードが漂っている。悪い金利上昇だと金融資産全体に悪影響が出るので、「投資すべきではない」という判断になり、全面安につながった。ただ米長期金利の1.5%程度はフェアバリューと考えており、まだあわてるような水準ではない。

先行きは今の相場を「バブル」と考えるのか、「業績相場の入り口」と考えるのかで変わってくる。前者であれば投資自体を手控えする人が多いだろう。ただ我々はむしろ後者で業績相場への移行局面だとみている。そうならばボラティリティーが高くなるのは仕方ない。日本企業の業績に対する目線が高まっており、未達などが相次げば失望感が出やすい。このぐらいの変動率を我慢できないと業績相場では利益は取れない。

3月末までの下値のメドは2万9000円程度で、米長期金利は1.5%くらいの水準に落ち着くとみている。債券投資家の中には、昨年にかなり債券を売っていた人も多くいる。買い戻しも入りやすく、アンダーウエートから中立に少しずつポジションを移す人も出てくるだろう。

スピード調整にすぎず、半値押しの2万9172円がメド

野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジスト

米長期金利の1.5%到達は予想している人が多かったが、予想外だったのは到達時期の早さ。他国に比べて日本株の上昇が速かったこともあり、スピード調整が起きている。2月以降の上昇局面における高値と安値の中間である半値押しが2万9172円で、まずはこの水準が下値メドになる。米金利もいいところまで来ており、上昇が止まれば再び株価も上昇に転じる。金利水準は「コロナショック」前に戻ったにすぎない。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も急激な引き締めには動かないだろう。

今回の株安の特徴は円高を巻き込んでいないことだ。通常の米株安局面では金利低下→円高という経路を通じて日本株をさらに下押しするが、今回は米金利上昇で円高は進んでおらず、下落が加速しづらい状況といえる。

コロナ・ショック後の局面で押し目はほとんどなく、買えていない投資家も多いため押し目買い意欲は強い。米金利の上昇余地が乏しいとみる投資家はそろそろ日本株買いに動き始める局面とみている。』