国内最大級の水素製造プラント 伊藤忠、仏大手と提携

国内最大級の水素製造プラント 伊藤忠、仏大手と提携
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ186ZE0Y1A210C2000000/

『産業ガス世界大手の仏エア・リキードと伊藤忠商事は2020年代半ばに、世界最大級の液化水素製造プラントを中部地方に設置する。液化天然ガス(LNG)から製造する方式を採るとみられ、現状よりも価格を抑えながら燃料電池車(FCV)など向けに供給する。世界が水素活用の取り組みを加速する中、普及のカギを握る水素生産の体制作りが国内で本格化してきた。

【関連記事】
水素供給網の整備加速 ENEOSは給油所で来春販売
水素争奪戦に備えを 脱炭素が迫る資源安保
グリーン水素を豪州で事業化 住友商事、太陽光由来
脱炭素で脚光 水素ビジネスまとめ読み

政府は50年に温暖化ガス排出を実質ゼロにする戦略の中で、水素…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り1294文字

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

有料会員に登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGM010QT001022021000000&n_cid=DSPRM1AR07

無料会員に登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGM010QT001022021000000&n_cid=DSPRM1AR07#free

ログインする
https://www.nikkei.com/login

政府は50年に温暖化ガス排出を実質ゼロにする戦略の中で、水素を有力な脱炭素エネルギーと位置づけている。同戦略では30年に年間最大300万トンの水素供給を掲げており、実現に向けた供給整備が課題になっている。現状、日本で供給される水素の大半は産業用途の圧縮水素だが、大量輸送が可能なことなどからエネルギー利用は液化水素が今後の本命技術で、エア・リキードと伊藤忠の連合も液化に対応する。

このほど日本での水素供給網の構築を巡る戦略的協業の覚書を結んだ。新プラントが生産する1日あたりの液化水素はFCV4万2000台分をフル充填できる約30トンを想定。現在、国内での液化水素は岩谷産業を中心に1日約44トン程度が生産されており、これに匹敵する規模となる。

投資額はエア・リキードが米ネバダ州で約200億円を投じて建設している世界最大級の液化水素プラントと同等規模になる見通しだ。水素の製造方法はLNGを水素と二酸化炭素(CO2)に分解する方式を軸に検討する。製造段階で発生するCO2は回収し、飲料品向けの発泡剤やドライアイスなど工業用途で外部に販売する。

セ氏0度、1気圧、湿度0%の基準状態での体積をノルマル立方メートルと呼ぶが、1ノルマル立方メートルの水素単価が足元で100円程度なのに対し、政府は30年に3分の1以下となる30円の水準とすることをめざしている。

大規模設備で水素普及の壁となっているコストを削減する。現在、LNGからつくる液化水素はCO2の回収費用も含めて1キログラムあたり1100円前後の最終価格で企業間取引がされている。水素を用いた発電コストを電力換算(1キロワット時)すると約52円と一般電力の約2倍する。エア・リキードなどは1000円以下での提供を目指す。

水素の供給先は国内にある自動車向けの水素ステーションを見込む。20年12月時点で国内の水素ステーションは137カ所あるが、政府は30年に900カ所に引き上げる方針だ。現在FCVの国内保有台数は4000台程度だが、伊藤忠ではトラックなど商用車を含めたFCV市場が膨らむと想定し水素供給のビジネスを強化する。

火力発電や製鉄業界に対しても水素の利用を促していく。石油化学業界など工業向けとあわせエア・リキードと連携して販路を開拓する。

水素普及で先行する欧州連合(EU)は20年7月に「水素戦略」を公表した。EUはCO2を発生させないように再生可能エネルギーを使って水を電気分解し水素を得る「グリーン水素」に注力している。30年にグリーン水素だけで1000万トンの導入を目指す。1キログラムあたり300~700円で製造できるとされる。

日本でも福島県に再生エネを活用して水素を製造する世界最大級の設備があるが、再生エネのコストが高い日本で欧州並みを実現するには時間がかかる。当面は化石燃料由来の製造法で水素普及を急ぐ。

エア・リキードは水素製造では独リンデなどと並ぶ世界大手。20年12月期の連結純利益は3100億円、売上高は2兆6000億円だった。水素ステーションでも世界に存在する約500カ所のうち約120カ所を設置している。日本国内でも13カ所を運営し、22年中に4カ所を新設する。

カーボンゼロ
この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Spotlight/Environment/Climate-Change/Itochu-and-France-s-Air-Liquide-to-build-giant-hydrogen-plant?n_cid=DSBNNAR
Nikkei Asia