就職難、不動産価格高騰が直撃 韓国人口、初の減少

就職難、不動産価格高騰が直撃 韓国人口、初の減少
経済成長の抑制要因に
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『【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の2020年の出生数が死亡者数を下回り、初めて人口減少に転じた。就職難や重い教育費負担、住宅価格の高騰で結婚や出産をためらう人が急増していることが背景にある。出生率の低下は今後も続きそうで、韓国は本格的な人口減少時代を迎える。労働人口の減少につながれば経済成長の抑制要因にもなる。

韓国統計庁が24日発表した人口動向調査(暫定値)によると、20年に生まれた子どもの数(出生数…

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韓国統計庁が24日発表した人口動向調査(暫定値)によると、20年に生まれた子どもの数(出生数)は前年比10%減の27万2400人で、過去最少となった。死亡者数は30万5100人となり、出生数を3万2700人上回った。行政安全省によると20年末時点の人口は5182万9000人で前年比で約2万人減った。

1人の女性が生涯に産む子どもの推定数である合計特殊出生率も0.84と過去最低を更新した。韓国の出生率は世界でも最低水準だ。経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国の18年の出生率平均は1.63。韓国は最下位で、1を下回っているのは韓国だけだ。

結婚する人も急減している。統計庁によると20年の婚姻数は21万3500件で、前年比11%減少した。9年連続のマイナスだ。

人口減は21年、さらに加速する可能性が高い。新型コロナウイルス感染拡大の影響が顕在化するからだ。統計庁は「新型コロナで20年の婚姻数が大幅に減ったため、21年の出生数はさらに減る。高齢化で死亡者は増え続けるので、自然減も急激となる」と予想する。

出産や結婚が減る大きな背景は経済的な要因だ。大企業に勤務するキム・ミラさん(41)は結婚12年目だが子どもがいない。結婚のさい子どもは持たないと夫と合意したという。「両親からの経済的支援がないなかで家を買い、一定の生活水準を維持するには、子育てはとても無理だと判断した」

学歴信仰が強い韓国は教育費負担が重い。名門大学への進学実績が高いソウルの有名学習塾に通わせるとなれば月200万~500万ウォン(約19万~約48万円)かかることもあるという。

重い教育費負担も出産をためらう一因に(ソウルの保育園)

住宅価格の高騰も深刻だ。KB国民銀行によると、ソウルのマンションの平均価格は10億6000万ウォン。文在寅(ムン・ジェイン)政権発足から4年で75%も上昇し、マイホームを断念する人も増えた。

雇用環境も悪化している。1月の就業者数は2582万人と、前年同月比で98万人減った。11カ月連続の減少で、落ち込み幅は通貨危機後の1998年12月に同128万人減となって以来の大きさだ。失業率も同1.6ポイント悪化の5.7%となった。若者への打撃が大きく、15~29歳の失業率は9.5%と、同1.8ポイント悪化した。

文在寅政権は2018年から少子高齢化対策に約100兆ウォンをつぎ込み、出産・育児費用の支援拡大や育児休暇の取得促進などに取り組むが、後手に回る。

ソウル大の金碩鎬(キム・ソクホ)教授は「出生率を高めるには少子化対策だけでなく、労働、福祉、教育、男女平等も含めた総合対策で若年層が人生設計できる環境を整える必要がある」と指摘。「婚外出産を認め、社会的に支援することも必要だ」と提言する。

日本と同様、韓国も結婚して子供を産むのが社会通念だ。結婚せずに出産する未婚出産率は2.2%と、OECD平均(40.7%)にはるかに及ばない。未婚出産率が60%を超えるフランスは出生率も1.8と高い。婚外子への差別をなくし支援を手厚くすることが、出生率上昇の一助になるとみる。

韓国政府も21年から5カ年の「第4次低出産・高齢社

会基本計画」に、多様な家族のあり方を認める法改正の推進を盛り込んだ。未婚の親子への差別を禁ずる「平等法」制定の国会議論を促し、出生にまつわる不必要な情報開示を制限する。出生率の低下は複合的な要因の結果だけに、成果を上げるには時間がかかりそうだ。