中南米、権力者のワクチン優先接種が次々発覚 汚職横行

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『【サンパウロ=外山尚之】中南米で閣僚や政府高官が秘密裏に新型コロナウイルスのワクチンを接種していることが続々と発覚し、各国で社会問題となっている。ワクチンの確保がままならない中、権力者がルールを無視する姿勢は市民の怒りを買う。格差や汚職といった中南米社会が抱えるひずみが新型コロナ禍で露呈した形だ。

「ワクチンの列の先頭に人を入れたとしても、それは犯罪ではない」。アルゼンチンのフェルナンデス大統領は…

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アルゼンチンのフェルナンデス大統領は23日、訪問先のメキシコでの記者会見でこのように釈明した。同国ではゴンサレス保健相が家族や知人にワクチンを秘密裏に接種していたことが発覚し、辞職。「VIPワクチン」と呼ばれるスキャンダルとなっていた。

メディアが次々と優先接種の実態を明らかにする中、政府は接種したグスマン経済相ら70人のリストを公表。アルゼンチンでは医療従事者や高齢者などが優先されており、経済相は含まれていなかった。

政治家や政府高官などの特権階級が医療従事者や高齢者などを追い抜いてワクチンを接種するのはアルゼンチンだけではない。ペルーでは海外との交渉窓口になっていたアステテ外相やビスカラ前大統領など約480人がワクチンを提供する中国医薬集団(シノファーム)から「厚意の接種」として、秘密裏にワクチンを提供されていたことが判明。アステテ氏は辞職に追い込まれた。

エクアドルでもセバジョス保健相が自身の親族にワクチンを優先していることが発覚した。チリでも3万7000人の健康な人々が優先的に接種を受け捜査対象となっているほか、ブラジルでも少なくとも4000人以上が順番を無視していることが発覚している。ワクチンの盗難も相次いでおり、一部が闇市場を通じて流通している可能性も指摘される。

欧州による植民地支配の経済構造を引きずる中南米は格差が大きく、貧富の差を示すジニ係数では多くの国が上位に並ぶ。また、世界の汚職を監視している国際組織トランスペアレンシー・インターナショナルが定める腐敗認識指数でも、評価が低い国が多い。これまでに明らかになっている優先接種の実態も、氷山の一角との見方がある。

製薬産業が未発達で十分な資金がない中南米では多くの国で人口に対して十分なワクチンを確保できていない。加えてコロナで死亡しているのは劣悪な住環境の中で暮らし、適切な医療サービスを受けることができない貧困層が中心だ。政治家や富裕層などの特権階級がルールを無視していたことが発覚し、市民の怒りは大きい。今後、ワクチンの接種が遅れれば遅れるほど、社会不安の要因となりかねない。