豪州で相次ぐ製油所の閉鎖、中国の「メガ製油所」脅威に

豪州で相次ぐ製油所の閉鎖、中国の「メガ製油所」脅威に
エネルギー安保と脱炭素 両立険しく 商品部 山本裕二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODJ163OH0W1A210C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『オーストラリアで製油所閉鎖が加速している。中国や中東で大量に石油製品をつくれる「メガ製油所」の新設が相次ぎ、豪州の製油所は価格競争力の面で太刀打ちできないためだ。石油製品の輸入依存度が高まりエネルギー安全保障の議論も活発になっている。脱炭素の流れから、国内の製油所新設は難しくジレンマに陥っている。

「(石油精製をやめて)石油製品の輸入基地への転換がベストな選択と判断した」。BPオーストラリアは20…

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BPオーストラリアは2020年10月末に豪州西部のクイナナ製油所を6カ月以内に閉鎖し、輸入基地にすると発表した。同製油所は65年の歴史に幕を閉じ、雇用人数は650人から60人程度に減る。

これに続き米エクソンモービルも今年2月10日にビクトリア州のアルトナ製油所を閉鎖する方針を発表。国内の製油所は約20年前の8カ所から2カ所に減る見込みで、そのうちの1カ所も停止を検討している。政府は製油所維持のために支援金の提供を決めたが、閉鎖の流れは止まらなかった。

豪州はガソリンや軽油を多く輸入しており、今後さらに海外依存度が高くなる。19年の石油製品の輸入量は日量63万8千バレル程度と国内需要の6割に達する。精製停止で20年7月~21年6月の輸入量は78万5千バレルに増えるとの試算もある。

相次ぐ閉鎖の背景には中国や中東での大規模かつ輸出志向の「メガ製油所」新設により、豪州産の石油製品の競争力低下があるうえ、新型コロナウイルス禍による需要減も追い打ちをかけた。世界的な脱炭素の流れで、天然ガスや石炭の一大生産地である豪州も、水素事業の推進など施策を打ち出している。

国際エネルギー機関(IEA)によると中国の石油精製能力は19~25年にかけて日量180万バレル、中東は同160万バレル増える見込み。米国の増加幅(同70万バレル)を大きく上回る。世界での石油製品のシェアは中国で4%、中東で30%に達する見通しだ。中国は21年にアジア地域でのシェアは50%を超え、この比率は一段と高まる見通し。

「メガ製油所」の脅威により、国内の製油所が淘汰されるのは豪州にとどまらない。IEAは米国など先進国の製油所は市場のシェアを失い続け、30年にはそのうち約14%が低稼働や閉鎖のリスクに直面するとみている。日本でも石油元売りENEOSは1月14日に根岸製油所(横浜市)の一部装置を22年10月をめどに廃止すると発表した。国際競争の激化や新型コロナによる需要減を受けて廃止を決めたという。

豪州では「外国によって燃料輸送が中断されたら、軽油などを使う国防軍をどのように運営するのか」との疑問も浮上し、懸念は安全保障にも及んでいる。コロナ発生源の調査をめぐり豪州は、石油製品の調達先である中国との関係が悪化。すでに食肉などの貿易が一部停止している。世界的な脱炭素の流れから、製油所は将来、「座礁資産」になる恐れもあり巨額な投資は難しい。

石油製品の貿易について「中国にとって豪州への石油製品の輸出は利益が多いため制限しないだろう」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の李智雄チーフエコノミスト)との声もある。電気自動車(EV)など電動車に移行するまでの間、ガソリン、ディーゼル車に依存せざるを得ない。同様のケースは世界でも今後増えそうで、先行して淘汰が進む豪州の次の一手が注目されている。