米IT、記事利用料で歩み寄り 米欧メディアと合意相次ぐ

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『グーグルなど米IT(情報技術)大手が米欧のメディア企業との協調に動き始めた。各国が法整備などで記事利用料の支払いを求めるなか、合意する事例が増えている。無料で記事を表示する行為を「ただ乗り」と批判してきたメディアは広告収益の一部還元を受けられる一方、IT大手の報道への影響拡大を懸念する声も出ている。

「ジャーナリズムと社会双方の強化につながる」。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)など有力紙…

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ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)など有力紙を傘下に持つ米メディア大手、ニューズ・コーポレーションのロバート・トムソン最高経営責任者(CEO)は17日の声明で説明した。

同社はグーグルから今後3年にわたって記事利用の対価などを受け取る。グーグルは2020年10月から記事の利用料を払う取り組みを本格的に始め、提携先は英ロイター通信や英フィナンシャル・タイムズ(FT)など500社に達した。

ニューズのルパート・マードック会長はグーグルなどを「記事にただ乗りしている」と批判してきた。厳しい姿勢をとってきたニューズを含む各国のメディアが相次いで利用料の支払いで合意した背景には、事業環境の変化がある。

英電通インターナショナルによると、21年の世界の広告市場は10年前より4割近く拡大し、5790億ドル(約61兆円)になる見通しだ。

21年はグーグルや米フェイスブックが高いシェアを握るインターネット広告が全体の5割に達する。10年前は2割近かった新聞の構成比は5%台まで低下する見通しだ。

この結果、広告への依存度の高い米国などで新聞社の経営が悪化し、米ノースカロライナ大学によると19年までの15年間に米地方紙の約4分の1に当たる2100紙が廃刊になった。WSJは19日、米ロサンゼルス・タイムズのオーナーが売却を検討中と報じた。

欧州を中心にメディアは見出しや抜粋に対する著作権などの権利を求めてきた経緯がある。苦境が深まるなか記事の利用料を払うことを義務付ける法律を制定する動きが広がり、欧州連合(EU)は19年に著作権法を見直した。

フランスが国内法を整備し、オーストラリアなどでも法制化の動きが進んでいる。

IT大手、妥協点探る

IT大手は法制化に反発する一方、妥協点を探った。既存サービスを利用料の支払い対象から外すことを求めつつ、新たなサービスを用意して条件に合意したメディアに収益の一部を還元する取り組みだ。

グーグルは20年10月にドイツなどで新サービス「ニュース・ショーケース」を始めた。スマートフォンのアプリなどにメディアから提供を受けた記事の見出しなどを表示し、記事は各社のサイトで読む。ニューズなどはこの枠組みに加わった。

グーグルは豪州でニュース・ショーケースを開始

フェイスブックもニューズなどと組んで19年に米国で新サービス「ニュース」を開始し、1月に英国にも広げた。ただ法制化の動きが進むオーストラリアでは当局と合意できず、今月18日に現行の「フィード」にニュースを投稿できなくした。

IT大手の「妥協」を歓迎する声があるものの、メディアへの適正な収益還元を巡ってはなお議論が続きそうだ。

グーグルが新サービスを始めたオーストラリアでは大手メディアへの支払額は年25億円規模と報じられた。各社の売上高の3%に満たない水準だ。

グーグルが3年間でニュース・ショーケースに投じる10億ドルは過去3年間の営業利益の1%未満にとどまることもあり、専門家の間には「寡占問題などへの批判回避がIT大手の狙いで、メディアの収益改善効果は乏しい」との見方がある。

編集権の独立に懸念も

IT大手の影響力が強くなり編集権の独立が揺らぐ懸念も出ている。米ニューヨーク市立大学のジェフ・ジャービス教授は「グーグルの報道に対する影響力が高まり、メディアへの恐喝が可能になる」と指摘した。

グーグルはニュース・ショーケースの準備を日本でも進め、メディアと交渉を進めている。同社の担当者は「複数の報道機関と合意した」と説明し、早ければ今春にも開始するとの見方がある。

事業環境が大きく変わるなか、日本のメディアもIT大手との向き合い方を問われている。

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