[FT]ミャンマー抗議デモ、中国にも批判の矛先

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 ※ 今日は、こんなところで…。

『ミャンマーの軍事クーデターに全土で抗議する「市民不服従運動」の参加者が、中国に怒りの矛先を向けている。ミャンマーの国軍幹部がアウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆させるのを支援したと主張している。

抗議活動の参加者は、中国政府を非難する文言や、習近平(シー・ジンピン)国家主席が国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官の人形を糸で操るイラストが入ったプラカードを手に、最大都市ヤンゴンにあ…

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抗議活動の参加者は、中国政府を非難する文言や、習近平(シー・ジンピン)国家主席が国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官の人形を糸で操るイラストが入ったプラカードを手に、最大都市ヤンゴンにある中国大使館前にこの1週間ほど集結している。

ここ数日は中国製品の不買を呼びかけるオンライン活動が広がっている。一部では、中国雲南省とミャンマー西部のチャオピュー港を結ぶ基幹インフラである天然ガスパイプラインを攻撃すべきだと求める声が上がっている。

中国の手借りてネット検閲システム導入との観測も

国軍は3夜連続で夜間のインターネット接続を遮断するよう通信事業者に命じている。これを受け、軍は中国の助けを借りてネット検閲システムを設置しているとの観測が強まっている。

「中国よ、ミャンマーにインターネットを遮断するファイアウオールを作るな」。大使館前の最近のデモで参加者が掲げていたプラカードの1つにはこう書かれていた。

国軍の報道官は16日、中国がファイアウオールの設置を進めているとの観測を否定し、ミャンマーにはその分野の専門家がそろっているため独力で構築できるとの見解を示した。

クーデターの発生以来、中国当局は曖昧かつ時に矛盾したシグナルを発している。しかし、クーデターの失敗を願ってミャンマーの街頭やソーシャルメディアで活動する若者たちは、中国が関与していると決めてかかっている。

米シンクタンク、スティムソン・センターでミャンマー・中国関係を専門とするユン・スン氏は、「中国が『ザ・レディー(スー・チー氏の愛称)』を見捨てたという理由から、中国人や中国の事業を攻撃するよう呼びかける反中のヘイトスピーチが横行している」と指摘する。

反中感情が再び表面化したため、ミャンマー最大の貿易相手国である中国は、地政学的に重要な同盟国との関係で微妙な立場に立たされている。その上、1967年の反中国暴動をはじめ犠牲者を伴う人種間対立に苦しんできた国での抗議活動に、予断を許さない要素が加わった形だ。

上海国際問題研究院の外交専門家、趙干城氏は、中国にとって喫緊の懸念は依然として、混乱が広がってミャンマーが一段と不安定になることだとみる。「中国は当然ながら、政治情勢が手に負えなくなることを最も心配している」という。

中国の雲南省昆明市を飛び立った一連の貨物機が、ミャンマーの空域制限下でヤンゴンに着陸した(航空機の航路追跡サイトで確認された)ことを受け、ミャンマーのソーシャルメディアは先週来、うわさ話であふれている。

クーデターに反対する人々の間では、この貨物機で運ばれたのはインターネットを遮断するためのソフトウエア、あるいは中国人兵士だったなどと臆測が飛び交っている。

「軍政の復活望む理由見当たらない」との声も

ミャンマーで携帯通信事業を手がけ、クーデター以降は国軍当局からの命令を全て自社サイトで公表しているノルウェーの通信大手テレノールは14日、今後は命令を公表できないとし、「目下の事態に深刻な懸念」を覚えるとの見解を示した。英フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューに応じたシグベ・ブレッケ最高経営責任者(CEO)は、その経緯について言及を控えた。

在ミャンマー中国商工会議所も広まるうわさを沈静化できず、「デマ」を拡散しないよう訴えたことで反クーデター派の批判を浴びた。貨物機の往来は通常の輸出入の一環で、海産物などの物資を運んだと説明している。

経済的なつながりを強めつつある2国間だが、従来の複雑な関係がこうした摩擦であぶり出されている。クーデター発生前、ミャンマーは中国にとって、自国製品が消費される市場として、育ちつつあった。そして中国は、ミャンマー国軍と数十年に及ぶ武器取引の実績があるうえ、軍上層部とビジネス面でひそかにつながっている。

一方で中国は、今月のクーデターで覆された文民政権とも、時に緊張をはらむものの揺るぎない関係を築いている。習主席が昨年ミャンマーを訪問した際、スー・チー氏は中国の広域経済圏構想「一帯一路」の一部となるインフラ建設を巡り覚書を交わした。中国は、イスラム系少数民族ロヒンギャの迫害問題でミャンマーが国際社会の非難を浴びた際にも、スー・チー政権に肩入れしている。

香港大学の韓恩澤・准教授(政治学)は、「2国間関係は多くの点で、スー・チー氏の下で安定を保っていた」と語る。「だからこそ、制裁のような結末を伴う軍政の復活を中国が望む理由は見当たらない」という。

国連安保理ではロシアとともに「深い懸念」を表明

しかしながら、ミャンマーではクーデターの発生以来、中国の思惑を巡って懐疑的な見方が広がっている。中国国営の新華社通信は当初の報道で、スー・チー氏ら多数の政府当局者の拘束を「大規模な内閣改造」と表現した。

国連安全保障理事会では、英国がまとめたクーデターを非難する決議案に、中国と、同じくミャンマー国軍と昔から友好関係にあるロシアが当初難色を示した。だが、その週の後半には、安保理が報道声明で「深い懸念」を表明するとともに、拘束された当局者の解放を求めることを中ロ両国とも支持した。

ロシアと中国は拘束者の解放を求める国連人権理事会の決議にも支持を表明したが、後にこの決議には関わらない考えを示した。中国の陳旭・国際機関代表部大使は、ミャンマーでの出来事は同国の「内政問題」だとし、全ての関係者と協力して緊張の緩和や「事態の正常化」に努めていると述べた。

By John Reed in and Edward White

(2021年2月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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