バイデン氏、中東の緊張拡大警戒 イスラエル首相と電話

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『【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は17日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話協議した。ホワイトハウスによると、イスラエルが敵視するイランへの対応をめぐり「継続的かつ緊密な連携」を確認した。イランは核合意破りを続けており、イスラエルが単独で対抗措置を講じて中東の緊張が高まる事態を米国は警戒しているとみられる。

ホワイトハウスはバイデン氏が「強固な防衛協力を含む2国間連携の強化に取り組む」立場を伝えたと説明した。イランを念頭に置いているのは明白。イスラエルのメディアによると、同国首相府も声明で「イランの脅威」がテーマにあがったと明らかにしており、イランが電話協議の主要テーマの一つとなったのは確実だ。

両首脳の電話協議はバイデン氏の大統領就任から約1カ月が経過し、ようやく実現した。サキ米大統領報道官は11日の記者会見で「電話(協議)はもうすぐだ」と言及していたが、先送りが続き、米国がイスラエルを冷遇しているとの観測も浮上した。

トランプ前米大統領は就任の2日後にはネタニヤフ氏と電話で話し、緊密な関係をアピールしていた。

電話協議の背景には中東情勢の緊張がある。国際原子力機関(IAEA)は16日、イランが同国にある未申告の核関連施設に対する抜き打ち査察の受け入れを23日に停止すると通告したと明かした。実現すればイランの核活動の実態把握が困難になる。

15日にはイラク北部で、親イラン武装勢力の関与が疑われるロケット弾による攻撃があり、米国人が負傷した。いずれもイスラエルを刺激する出来事だ。

バイデン政権の対応は抑制的だ。米国務省のプライス報道官は17日の記者会見でIAEAの査察拒否を巡り「イランは撤回すべきだ」と批判したが、「外交手段が残っている」とも述べた。サキ氏もイラクでのロケット弾攻撃をめぐり「この政権では外交が優先だ」と指摘した。軍事行動の選択肢は排除しなかったが、報復措置には慎重な立場を示した。

こうした対応はトランプ前政権と大きく異なり、イスラエルが不満を募らせている可能性はある。トランプ氏は2020年11月にイランの低濃縮ウランの貯蔵量が核合意の上限を大幅に超えると、同国への軍事攻撃を検討したとされる。

19年12月にイラクでのロケット弾攻撃で米国人に死傷者が出ると、2日後には親イラン武装組織の犯行だと断定し、5拠点への空爆を実行した。軍事力を行使してイランに対抗するトランプ前政権をイスラエルは支持した。

バイデン政権がイランへの対抗措置を打ち出しにくい背景には、同国に対する国際包囲網の構築に着手したばかりだとの事情もある。ブリンケン米国務長官は18日、英国、ドイツ、フランスの外相とテレビ会議を開き、イラン問題を協議する。

バイデン政権は欧州と協調し、イランに挑発行動を控えるよう求める戦略だ。こうした状況でイスラエルが報復行動に踏み切れば、米国の対イラン外交は機能不全に陥る公算が大きい。

米ハドソン研究所のピーター・ラフ上級研究員は「バイデン政権が欧州と協調してもイランへの対抗措置が弱いものならば、イランの新たな挑発行動を招く可能性がある」と指摘する。イスラエルもバイデン政権のイラン政策を見極め、今後の対応を精査するとみられる。

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