[FT・Lex]英シティー、黄金時代の終わり

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『数世紀を要したものの、オランダのアムステルダムが1月、欧州の株式取引拠点トップの座を英ロンドンから奪取した。世界初の証券取引所を擁し、戦費や治水対策に資金を投じてきた前者にとっては快挙だが、ロンドンの金融街シティーにしてみれば不愉快だ。英政府が欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後のEUとの通商協定に金融サービスを盛り込めなかったことで、金融サービス分野でのシティーの優位性が崩れている。

英国は2…

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英国は2019年、EU向け金融サービスの収支で180億ポンド(約2兆6200億円)の黒字を誇っていた。ところが取引所大手CBOEヨーロッパのデータでは、20年末のブレグジット後の移行期間の終了とともに、先月は株式の1日平均売買代金が86億ユーロに急減した。一方、ユーロネクスト・アムステルダムと、CBOEヨーロッパおよびロンドン証券取引所(LSE)傘下のターコイズのオランダ部門での同売買代金は、4倍増の92億ユーロに達した。かつて英国が独占していた金利スワップ市場では、同国のシェアが半年で70%超からわずか20%程度にまで縮小している。

こうした潮目の変化は、英国の金融規制がEUと「同等」との評価を得られなかったことでもたらされた。同等とみなされていれば、国境をまたぐ取引を途切れなく続けることが可能だった。規制当局がいら立ちを強めるなか、最近では比較的経営規模が小さく地域に根ざした証券会社が、相次ぎ欧州に拠点を開設したり人員を移転させたりしている。

市場は地域の枠を超える
大局的な判断が求められている。証券取引は無駄な経費を抑えた「筋肉質」のビジネスだ。英イングランド銀行(中央銀行)によると、金融サービス部門の雇用減は今のところ7000人を超えておらず予想より少ないが、驚くには値しない。昨今の証券取引は自動化が進み、資金の振り向け先を簡単に変えられる。金融業界で働く人たちの賞与を基本給の20%に制限しているアムステルダムのような場所へトレーディング部門を完全に移す必要はない。

それでも、80年代の金融証券市場改革「金融ビッグバン」を起点とするシティーの黄金時代は今や終わりを迎えつつあるとの見方が強まっている。流動性は流動性を呼ぶ。新たな場所へ移行する取引が増えるほど、追随する動きが広がるだろう。金利スワップ取引が昨年10月以降、急減したことがその証左といえる。

ロンドンもそうだが、アムステルダムや仏パリ、独フランクフルトには厄介な現実も存在する。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)、そしてアルゴリズム投資や手数料無料の取引アプリ、指数連動型ファンドといった業者の仲介が必要ない自動化の流れに伴い、市場は地域の枠を超えていく可能性がある。新たに黄金時代を迎えるのは新しいタイプの投資家や仲介業者であって、昔ながらの証券取引所を中心とした金融ハブではないのかもしれない。

(2021年2月12日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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